Genpatsu

(2012年11月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 203号より)




六ヶ所再処理工場、2013年4月本格運転予定



10月27日、東京の日比谷で屋内集会とデモがあった。前日の金曜には恒例の官邸前抗議行動があり、連日のためか、日比谷の集会はこじんまりとしたものとなった。

屋内集会では、原発ゼロ政策や核燃料サイクル、そして原子力規制がテーマだった。スピーカーの一人に青森から佐原若子さんが加わってくれた。




青森には、原発、核燃料再処理、放射性廃棄物の埋設や一時貯蔵などの核関連施設がある。この中で原発ゼロ政策と強く関連するのは、再処理工場と大間原発の建設再開だ。

再処理工場は、原発で使い終わった燃料を化学処理してプルトニウムを取り出す工場だ。プルトニウムは原発の燃料に利用する。原理としては成立するのだが、経済性がない。事故の危険性もいっそう高くなる。世界的に見てもフランス以外は撤退している。そのフランスも再処理工場を造ったから続けているので、規模を増やす計画はない。




青森の工場は地名から、六ヶ所再処理工場と呼ばれている。佐原さんによれば、工場は1993年から8年の歳月をかけて完成し、試験運転に入ったが、その後トラブル続きで、現在も試験中だ。本格運転の時期は2013年10月とされている。

建設費は当初の3倍以上の2兆2000億円に達している。沖縄を除く各電力会社が再処理契約をしているから、建設費を負担させられているのは私たち消費者だ。さらに、この工場が本格的に動き出せば、原発が1年の間に大気や海に放出する放射能を1日で出すと言われるほど、環境への影響の大きい施設だ。




また、大間原発は本州最北端の大間崎のすぐ近くで建設中だ。40%程度進んだところに福島原発事故がおきて、工事は止まった。しかし、政府が認めない新増設には当たらないとの枝野大臣の発言を受けて、10月に工事を再開してしまった。再処理との関連が強く、プルトニウムの多くをこの原発で使用することが可能だ。

津軽海峡をはさんで対岸の函館は市をあげてこの建設計画に反対している。地震や近くの海底火山の影響などが事故につながるのではないかと、懸念されている。

これらを止めるのは私たちみんなの問題なのだと佐原さんは参加者の心に切に訴えた。






伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)