こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集長のイケダです。現在発売中の最新号から、読みどころをピックアップしてご紹介いたします。




暗闇を取り戻す「ダーク・スカイ・ムーブメント」



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深夜でも煌々と輝く街路灯……「治安」や「進歩」の象徴でもある街にあふれる光の数々は、見方を変えれば「光公害」をもたらす悪者としても捉えられます。なんでもイギリスでは人口の9割が、人口の光によって天の川を見ることができなくなったとか。

最新号で紹介されているのは、そんな「人口の光」を街から減らし、いま一度、自然な暗闇を取り戻そうとする「ダーク・スカイ・ムーブメント」

特に自然公園や観光地での「暗闇化」が進んでおり、スコットランド官公庁がギャロウェイ森林公園に「ダーク・スカイ」を取り入れ、サーク島においても、暗闇を楽しみむため、あえてオフシーズンに来訪する観光客が増加しているそうです。




また、観光的な事情とは別に、経済的な理由からも「暗闇化」は進んでいます。つまり、節電、節約のために、自治体が街路灯を削減する動きがすすんでいるのです。

自治体によっては明るさのレベルを落とすだけでなく、午前0時から朝5時までを完全消灯とするところも。これによって、たとえばハートフォードシャーでは年間130万ポンド(約1.87億円)の予算削減になるというから、そのインパクトに驚きます。




街路灯を減らすことでコストが削減されるのは喜ばしいことですが、気になるのは治安への影響。住民からも防犯の面から、反対意見が上がっています。

が、実際に統計を見ると、必ずしも暗闇が犯罪をおびき寄せるということはないようです。

米国シカゴで00年に行われた調査報告は、その逆を示唆している。裏道に街路灯を追加して明るくしたところ、犯罪は減らず、むしろ増えたというのだ。

(中略)英国内でも、ワトフォード警察が最近発表したところによると、昨年11月からワトフォードの自治体が実施している午前0時から朝6時までの街路灯の消灯について、住民の犯罪に対する不安は増加したものの、実際の犯罪件数は増加していないとのことだ。





記事は、「ダーク・スカイ・ムーブメント」を牽引する天文学者のスティーブ・オウエンス氏の「次の数十年の間に、町や都市をよりよく効率的に灯すことができれば、暗い夜空が見られるようになるかもしれません」ということばで締めくくられています。




ぼくは比較的夜空が暗い、東京都多摩市に住んでいます。以前品川区に住んでいたときは、いつ見ても夜空が灰青色で、なんだか寂しい気分になったものです。

昨年末に引っ越してからは夜空を楽しむことができるようになり、夜の帰り道が気持ちよくなりました。日本でも「ダーク・スカイ・ムーブメント」、広げていきたいですね。




最新号の表紙はこちら。街で見かけたらぜひご購入を!









photo credit: Space Ritual via photopin cc