(2012年7月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第194号より)
フランス、パリテから10余年、新閣僚の半数が女性
5月に就任したオランド大統領は、“公約”どおり、男女同数閣僚による新内閣を発足させた。
34閣僚のうち半数の17人を女性が占める。今回創設された女性権利省の大臣には、モロッコ生まれのヴァロー=ベルカセムさんが任命された。貧しい家庭で育ち、親とフランスに移住した経歴をもつという。彼女は最年少(34歳)ながら、政府報道官も兼任する。
大統領選挙直後に民間の世論調査会社が発表した結果では、79%のフランス人が「男女同数が望ましい」と回答し、新内閣にもおおむね好意的のよう。女性団体は、「前回の社会党政権では何も変化しなかった」と警戒しつつも、期待を寄せている。
ただ、楽観視してばかりもいられない。6月の総選挙では、女性候補者数がさほど増えなかった。フランスでは2000年の憲法改正で、選挙での政党の候補者を男女同数にする「パリテ(平等)」が成立した。しかし、最近の女性議員数は、上院で23.5%(11年)、下院で18.9%(07年)と、EU27ヵ国中18位の低さだった。今年6月の下院選で女性議員は26.7%に増えたが、同数にはほど遠い。
閣僚の男女同数で、不名誉の撤回に打って出たフランス。女性の活躍で政治や社会がどう変わるのか、楽しみだ。
(木村嘉代子)