差別の塊だけど悪意ない同僚に困っています [ホームレス人生相談]

Q
名古屋から東京へ転勤してきた30代後半の男性はとにかく差別の塊。下請けにはキビシクしないとなめられると、罵声、怒号はあたりまえ。あげくの果てには「あいつが来ると雨が降る」という理由で作業員をクビにする始末。ただ、上司や会社の後輩によると、本人に差別意識はまったくなく悪意もないらしいのですが…こういう人には、どうやって問題提起したらいいのでしょう?
(派遣社員/女性/31歳)
A

建設業が長かった私から察するに、クビになった人が「作業員」ということですから、この女性の職場も同じ業界でないかと思います。驚きでいっぱいの相手のようですが、まずは職場全体の状況をじっくり観察してみてください。

たとえば私の場合、高い所にのぼっての作業が多く、よく人から「怖くない?」って聞かれました。でも上からモノが落ちてこない分、下より安心できたんです。ただ自分が落ちたら終わりですけどね(笑)。

昔から「土方を殺すには刃物はいらぬ。雨が3日も降ればいい」なんて言葉もあるくらい、雨は嫌われもの。加えて、仕事は身体で覚えろという荒っぽい業界です。

私も最初はずいぶん親方から頭をはたかれました。この男性社員がそういう環境で仕事を仕込まれてきたとしたら、この女性が男性社員の上司へ直談判するのは逆効果でしょう。この女性がよかれと思った行動でも、周囲から「なんで最初に相談してくれなかったのか…」と逆に居心地が悪くなってしまうかもしれません。

私はビッグイシューの販売のとき「ありがとうございました」に、朝は「いってらっしゃい」。夕方は「今日はお仕事お疲れさまです」など、ちょっとしたひと言を加えて、会話が続くように心がけています。

どこの職場でもそうだと思いますが、仕事を進める上でコミュニケーションは大切。高所で作業する私らの場合、ひとつのミスが命取りの事故につながることもありました。なので、休憩時間に同僚とお茶でも飲みながらでも、味方を1人ずつつくっていってください。それから、男性社員と話し合いの機会を設けてみてください。

とりとめのない話が続きましたが、現場で作業員をまとめる立場にいた私から見ても、この男性社員のように人を道具のように扱う方法では、今の時代は誰もついてきません。仲間と一緒に慎重に行動にうつせば、あなたの思いは相手に伝わるはずです。

(東京/M)

THE BIG ISSUE JAPAN99号(2008-07-15 発売)より転載

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