第3子は教育費を含めて政府が面倒をみます。ただし、その子が女の子なら——。2021年に中国を追い抜き、世界一の人口大国になる見通しのインドで、マハラシュトラ州政府が打ち出した新方針が物議をかもしている。
インド政府は、40年前から「僕たち2人、僕らの2人」を合言葉に人口の抑制に取り組んできた。この結果、出生率の引き下げには成功したものの、農村部への医療の普及に伴う産み分けと、男児を好む伝統的な価値観が相まって、新生児の男女比の不均衡という新たな問題が浮上したのだ。
新方針について、学識者らは「性選別禁止法に自ら違反している」と批判した。個人的な問題への干渉が、そもそも人権侵害との見方もある。
人口抑制の先進国、中国では、女性不足が原因で結婚できない男性が2020年にも2400万人を超えるとみられている。学識者の1人は「優遇策と刑罰はコインの表と裏であり、政策の内容をしっかりと見極めるべき」と指摘している。
(長谷川亮/参照:タイムズ・オブ・インディア、アウトルック、AFP)
(2011年11月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第179号より)