編集部より:全寮制の国際学校「ISAK(インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢)」の代表理事、小林りんさんがダボスから教育の最前線についてのツイートを投稿しています。非常に興味深い内容となっておりますので、こちらの記事に随時まとめさせていただきます。
世界のリーダーがダボスに集まる
「ダボス会議にようこそ 第1回 日本人の知らない「ザ・国際会議」の正体」と題したウィリアム齋藤さんの記事。私も明日ダボスに向けて出発します! http://t.co/kRZyb24a0A
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 18
今回のダボス会議では、Young Global Leaderが今後の10年間で(ネットワーキングだけでなく)実社会にどうやってインパクトを残させて頂けるか…についても議論されます。私も事前にメールでの議論に参加してきましたが、飛行機の関係で今日現地で進行中の議論に参加できず残念…
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 18
関連記事:Young Global Leadersとは – はてなキーワード(*小林さんはツイート中で「YGL」と略しています)
これまで日本のYGLは、ジェームズ近藤さんや藤沢久美さん、高島宏平さんのような行動派の先輩方のお蔭で、Table for TwoやBeyond Tomorrow等を成功裏に立ち上げてきましたが、私も今後は少し何か貢献できるように頑張らねば…という思いと共に、ダボスへ行ってきます。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 18
マッキンゼーによるレポートの紹介
機中で読んだマッキンゼーレポート”How the world’s most improved school systems keep getting better”。余り期待せずに読み始めたのですが、教育政策に関心がある方はmust readだと思いました(126頁ですが汗)。続
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 19
過去数十年にわたって20の国と地域を調査して定量的・定性的にパターンを見出すこのレポートは、教育システムを発展段階によって4つにわけ、日本のように(恐らく)3段階目にあたる場合は教員育成と教師という職業の位置付けの見直しがカギであると説きます。強く共感できる内容でした。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 19
国の状況や文化背景によって一口に「教員養成」といっても実施方法が違うため複数のケーススタディがあり示唆に富んでいます。リトアニアは、Teacher, Methodist, Expertなどの5段階に分けて教師が生涯キャリアアップし続けるモデルを実施しており大変興味深かったです。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 19
関連記事:How the world’s most improved school systems keep getting better
ダボスへ向かう機中で読んだマッキンゼーレポート(ツイート済)の著者のアシスタントさんからご連絡を頂き、なんとご本人と会えることになりました。ダボスマジック!レポートを読んだだけではわからなかった詳細、そして彼の目から日本の教育改革がどう見えているか、話を聞けるのが楽しみです…!
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 21
ダボスでも人気の「マインドフルネス」
Good morning, Davos!! pic.twitter.com/miuSnb1wNJ
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 20
奇跡的に7時に起床。ダボス会議中はホテルの値段が3倍になるため、ジャパンタイムズ執行役員の大門小百合さんとルームシェアをさせて頂き、飛行機は自分のマイレージを使い、できるだけバジェットを抑える努力を;^_^A それでも私は非営利セクターで会議参加費を払わなくてよいので助かります…
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 21
39歳のイタリア首相Renzi氏のセッション。イタリアの課題(国際社会からの信頼回復等)を冷静に捉え、次々と手を打つだけでなく、EUの全体感まで語る姿に圧倒されます。インタビュアーも30代にしてドイツの厚生大臣であった現WEFマネジングディレクター。日本の若い世代も頑張らないと…
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 21
ISAKでもデザインシンキングと並んでカリキュラムの中核に取入れているマインドフルネス。ダボスでもすごい注目(会場満杯)!メディテーションを宗教とは切り離して、クリアな思考と精神の健康を手に入れる手法として捉える動きが広がっています。 pic.twitter.com/BhUzqu9Dqs
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 21
米国でこの分野の第一人者であるJon Kabat-Zinn氏は、メディテーションは「自分や周囲に起こっている事を、渦巻く感情や思考から切り離し、単純な事象として捉える訓練である」と。自分のアテンションをどこにフォーカスするかコントロールできれば日常のプラスな事にだけ集中できると。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 21
脳医学的にも効果が解析されてきたことが広がりの理由かもしれないですね!“@KantaYamagata: telomeraseの遺伝子の発現を増やすことで、老化にも良いかもなんて研究がUCSFなどで進められてますよ!日経サイエンス(http://t.co/I01kJDvB2p)”
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 21
下村大臣が語る日本の教育の問題点
先日言及したマッキンゼーレポートの共著者Michael Barberさんを下村文科大臣にご紹介(私も今日初めて会ったのですが笑)。20分のはずだった会談が大幅に長引き、しかも話が終わらず、急遽、大臣が出国される直前のランチをまたご一緒させて頂くことに。この後要点書きます。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
大臣からは、日本の教育システムの大きな課題として、教員養成を挙げて頂きました(やった!)。大臣のお考えになるポイントとして、①一方的でない教授法、②創造力を育む授業、③人間性も含めたホリスティックな成長を助ける教育、の3つが重要ではとのご指摘でした。これを承けてバーバーさんは(続
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
それを実現するためには、①誰が教員になるか、②教員養成課程が如何に充実しているか、③教員になった後の指導体制、が重要だと。大臣が参考になる国をお訪ねになると、シンガポール(教員養成課程やマスターT制度)に言及しつつ、各国事情が違うのであくまでも日本のコンテクストを考えるべきだと。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
私が①について何を工夫すべきか訪ねると、a)教員採用試験をコンペティティブなものにすること、b)教員養成課程そのものの見直し、c)教員の社会におけるステータスの向上、d)特に若い世代は学びたいという欲求が強いので如何に自分が成長している事を実感できるようにするか、だと(流石!)
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
21世紀のあるべき教育の姿とは?
下村大臣とBarber氏とのランチは結局1時間半に及びました。同氏から冒頭に「20世紀は一部の人のエリート教育と、大多数の人の基礎教育だった。21世紀は単純労働は次々とテクノロジーに代替されるので、全ての人がそれぞれのポテンシャルを発揮できるような教育にしなくてはならない。」と。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
続けて「そのためには、優れた教員と、テクノロジーを如何に取り入れるか、が鍵を握る。ここでの大きな課題として、制度そのものを変えることも重要だが、同時に保護者や世論に教育が向かう方向について理解してもらうことが同じくらい重要だ。」とも。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
Barber氏は40年gap説を唱えています。教育政策を作るビジョナリーな人々は20年先を見ているが、教壇にたつ先生達は現在しか見えていないことが多く、両親はさらに(自分達が昔うけた教育の概念から抜けきれないので)20年遅れている。このgapを埋めないと改革は上手くいかない、と。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
下村大臣からは、教育改革の進め方をご説明頂きました。58のアクションリストを作り、文科省の全ての職員の方がどれに関連している仕事をしているのかを見える化し、タイムラインも共有し、年始には幹部の方々と直近12ヶ月間のタイムラインを再確認していらっしゃると。まるで経営者ですね!?
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
Barber氏は改めて「ビジョンを示し、社会のコンセンサスを得て、実現に向けての具体的な道筋をつける」ことの重要性を説かれました。大臣からは、今年の夏までにそれをしたいと思っている、とのお応えが。私も教育再生実行会議の分科会の末席に加えて頂いていますが、今まさに議論進行中です。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
Barber氏は「情報技術を駆使してデータ分析に基づいたフィードバックを教育現場にしていく事も重要だ」と。生徒の理解や能力のアセスメントを分析し(教育委員会等で)、先生方がそれに応じて指導方法を随時改善できるような仕組みが必要だと。民間ではベネッセさんがやってらっしゃいますね。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
同氏は50以上の国や地域の行政改革や教育改革をアドバイスしてきているとのこと。私が具体的な方法を尋ねると、例えばインドのパンジャブ州では、インド人と外国人から成る4名のチームを現地にはりつけ、ご自身は2ヶ月ごとに1週間現地に入り、進捗状況確認と次のアクションを確認するのだと。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
イギリスではブレア政権下の4年間の教育改革を設計。これは有名な改革ですが、①パフォーマンスがでていない地域や学校にフォーカスしたこと、②特に(移民が多く格差の激しかった)ロンドンにおいて全体の底上げに成功したこと、③教員養成課程の改革に成功したこと、がポイントだと仰っていました。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
但し、英国では入試改革はドラスティックにできず改善の余地があったと。日本でも大学入試改革が進行中ですが、①焦らず時間をかけること、②ビジョンだけ先行すると現場に動揺や不安が走るので早めに具体像を見せること、③国民の理解を得ること、が肝要だと。でも言うは易しやるは難しだよね…とも。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
海外の成功事例が必ずしも日本でうまくいくとは限らないし、日本の教育の良い所も沢山あると思うので、それを活かしつつ、新しい時代に相応しい教育制度に変革していけるように、私個人としても微力ながら貢献していきたい、と感じさせられたランチでした。特に教員養成は本当に大切だと思います…!
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
下村大臣とMichael Barber氏と。私は寝不足と二日酔いでヒドい顔してますが…;^_^A でも疲れが全て吹っ飛ぶようなミーティングでした!具体的なことに繋がるよう、これからアクションリスト整理しますm(_ _)m pic.twitter.com/W5bfAgUbWM
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
リーダーの要素とは?
ランチの後は、ブエノスアイレス市の若き教育長(Young Global Leaderの1人)と会って情報交換。終わると今度はハーバードビジネススクールの教授陣がYGLに向けてリーダーシップを語る特別セッション。一人の教授は、リーダーの要素は謙虚さ、忍耐力、挫折力、共感力、そして…
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
人は誰も1人では何も成し遂げることはできないのだと知っていること(どっかで聞いたような話…笑)、だと。かと思えばもう一人の教授は、「全ての要素を兼ね備えたリーダーなどいない。成し遂げることの種類や組織によってあるべきリーダーの姿は変わるものだ。」と。確かに。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
「Leaders are not at the top of organization. They are at the heart of it.」と言った教授もいました。リーダーの立ち居振る舞い、考えや価値観は、チームの隅々にまで伝播していくのだと。自分に言聞かせたい言葉です。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
もう1つ名言だなと思ったのは「Know yourself. Behaviors only follow who you are.」自分らしくないことを無理に言ったりやったりしてもだめで、本当の自分に忠実に生きることが大切なのだということ。そうすれば自然と行動がついてくると。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
YGLにしておきたいアドバイスは?と聞かれ、「あれしろこれしろと助言するのではなく、逆に質問することで、自分が本当に何をしたいのか、何に本当は向いているのかを、自分で考える手助けをするのが自分の仕事だ。」と答える教授の言葉は、深いなぁと思いました。
— Lin Kobayashi | 小林りん (@linkobayashi) 2015, 1月 23
関連サイト
(ツイッターより)
- 「世界を変える」全寮制高校@軽井沢 ISAKの挑戦:日本経済新聞
- 「ISAK」が求める生徒像とは〜小林りん氏に聞く | eduview
- 話題のISAK開校を通して見えてきた草莽崛起する若者と思考停止した大人たち|鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」|ダイヤモンド・オンライン
- 軽井沢に全寮制の国際学校「ISAK」開校 アジアのリーダー育成目指す
- Lin Kobayashi | 小林りん(@linkobayashi)さん | Twitter
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