俺がフリーターなのを親父が気に入らないらしく、俺の顔を見るたびに説教をしてくる。車を借りようと思っても文句を言われるので、うんざりしてます。声を荒げることはなくて、「まさかこんなだらけたやつに育つとは」とか、また嫌みな言い方で。考え方も古いし、一緒に住みたくない、住めないなって、ひとり暮らしを考えています。
(25歳/男性/フリーター)
この男性の年からみて、親父さんはきっと50過ぎくらい、多分俺らと同じくらいじゃない? 嫌みにも聞こえるこういう言い方は、ついついやってしまう親の常套句なんだわ。それはもちろん心配だから。だって自分の子どもがかわいくない親なんているわけないやん。
うちの親父はほんまにガキの頃から怖かったよ。柔道をやっていて、怒ると背負い投げから足払いから何でもしよんねや。近眼で眼鏡かけてるんやけど、こいつを外した時が危ないサイン。全力で逃げなあかんねん。そんな親父でも子どもの頃から、あっちゃこっちゃ連れて行ってくれて可愛がってもらったなぁ。でも、俺が大学行く時はちょっと寂しがってたわ。
親と子の関係は年月を経て変わっていくもんで、結局一番仲良くなったのは俺が大人になって、おふくろの面倒をみだしてからやな。親父も脳血栓とか病気をして苦労した人だから。最後の方は穏やかな人柄になってた。
親父さんとは、一度腹を割って話し合ったらどうやろうか。だってこの男性は遊んでるわけじゃないんだから。
極端な話、ホストをやっていようが風俗店で働いていようが、これも立派な一つの職業。『山谷ブルース』じゃないけど、「だけど俺たちいなくなりゃ、ビルも道路も出来やしねえ」ってなもんで、世の中サラリーマンばっかりだったら成り立たないわけやしな。
一度親父さんと酒でも飲みもって、「僕はこういう職場で働いてるねん。ところがこれ以上は無理で思うようにいかへんねん。じゃあ親父、どうしたらいい?」っていうふうにぶつかってみたらいいねん。
それでもソリが合わないと思ったら冷却期間を置く。ひとり暮らしをして1年でも2年でもはいずりまわって苦労をしてみるんや。
20代から30代になるにつれて人は変わっていくもんで、俺も親父の年代に近づいていって、「ああそうやったんか」と親父の気持ちが初めてわかった。そうすると不思議に、すごく会いたくなったりするもんなんよね。(大阪/Nさん)
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