ビッグイシュー・オンライン編集部より:ブラックバイト問題の解決に取り組む渡辺寛人さんが、若者の貧困についてツイッターで意見を表明し、反響を呼んでいます。本記事にまとめさせていただきます。
「若者の貧困の大きな要因となっているのは家族である」
若者の貧困の大きな要因となっているのは家族である。とくに18歳未満の「子ども」は家族に頼る以外はない。しかし、家族によって虐待を受け、精神疾患を発症してしまったために、まともな就労先を見つけることができなかったり働き続けられないなどの理由で貧困に陥っていくというケースが多い。
— 渡辺寛人 (@Hiroto_1988) 2015, 2月 21
また、貧困であるために自分でアパートを借りたりすることもできないため、実家という「牢獄」から抜け出すことができない。家族への「包摂」が人間破壊を促進してしまう。なんとか脱出しても、住居が不安定でネットカフェや友人宅を転々とすることになる。
— 渡辺寛人 (@Hiroto_1988) 2015, 2月 21
関連記事:家を借りることがリスクの時代:檻のない「牢獄」と化した実家(藤田 孝典) : BIG ISSUE ONLINE
まともな就労先を見つけることが困難であるため、貧困状態からは抜け出せない。劣悪な労働は、彼/彼女らの人間破壊を促進し、いよいよ労働不能な状態に追い込まれていく。そうなれば生活保護制度を利用せざるをえない。しかしながら、若年層は生活保護制度から排除される運用が一般的になされている。
— 渡辺寛人 (@Hiroto_1988) 2015, 2月 21
生活保護制度を利用できた場合でも、「若さ」ゆえに就労指導の対象となる。実際に、POSSEに寄せられた相談のなかには、精神疾患を抱えているにもかかわらず無理な就労指導を受けているというケースは少なくない。
— 渡辺寛人 (@Hiroto_1988) 2015, 2月 21
「若者にとっては生活保護制度すら「牢獄」と化していく」
最後のセーフティネットであるはずの生活保護制度ですら、そこに「包摂」されることで人間破壊を促進する。常に就労圧力が加えられるため、若者にとっては生活保護制度すら「牢獄」と化していく。
— 渡辺寛人 (@Hiroto_1988) 2015, 2月 21
日本社会において家族はある種のセーフティネットとしての役割を期待されてきたし、実際にその機能を果たしてきた側面がある。しかし今やセーフティネットとしての役割は反転し、家族は人間破壊を積極的に推進する装置となっている。
— 渡辺寛人 (@Hiroto_1988) 2015, 2月 21
貧困問題を捉える際に、「人間破壊」という質的な側面を捉えることが重要だと思う。無収入や低賃金などの所得の多寡で測る量的な側面ももちろん重要なのだが、家族や労働、制度のあり方が人間破壊を促進し、人間として生きていくことそのものを困難にしている。
— 渡辺寛人 (@Hiroto_1988) 2015, 2月 21
人間的に破壊された後に、たとえ貧困を量的に解決できたとしても、貧困の質的な側面、破壊された人間性を回復するのにはとても長い時間がかかるだろう。貧困は社会の担い手を破壊し、社会の再生産そのものを困難にしていくのである。
— 渡辺寛人 (@Hiroto_1988) 2015, 2月 21
親子の経済的関係を断ち切るという「支援」
関連して、自立サポートセンターもやいの稲葉剛さんは、著書「生活保護から考える」のなかで、生活保護と若者の自立について、こう語っています。
私が〈もやい〉で関わった相談事例でも、長年引きこもっていた若者がホームレス状態になり、生活保護を利用して自立したケースがいくつかあります。
現在でも、福祉事務所の窓口では、若年の生活困窮者に対して「実家に戻れ」という圧力がかけられており、「自分が死んでも骨ひとつ拾わないと親に一筆書いてもらったら、生活保護を認めてやってもいい」と言われて、窓口で追い返された若者もいました。制度が変わるとさらにその圧力は強まってしまうでしょう。
こうした若者たちの自立にとって必要なのは、親からの経済的な援助ではなく、空間的・精神的に一人になれる環境であることが多いと私は感じています。
信田さよ子氏が指摘しているように、親との関係が依存的になり過ぎて、こじれてしまっている場合には、親子の経済的な関係をあえて断ち切ることが有効な「支援」になることもあるのです。
その上で、「扶養義務強化」の動きについて、稲葉さんは警鐘を鳴らしています。
扶養義務が強化されると、生活保護利用者や申請者の親族は福祉事務所から扶養義務を履行するよう求められることになります。
しかし私は、親子関係に限らず、経済的な援助をするように、行政から求められることは逆に親族関係を悪化させる危険性が高いと感じています。
みなさんは若者の貧困について、どのようにお考えでしょうか?ぜひツイッター、フェイスブックに意見を投稿してみてください。
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