作業ではなく、創作を。知的障害者が制作する圧倒的な縫製作品。鹿児島・しょうぶ学園「ヌイ・プロジェクト」

「ビッグイシュー日本版」272号から、読みどころをピックアップいたします。
 

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作品を作る。その行為そのものが至福の時間

272号の読みどころピックアップは、鹿児島市吉野町にある”しょうぶ学園”の行う「ヌイ・プロジェクト」について。

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個性的でアーティスティックなアパレル製品。この作品は”しょうぶ学園”の知的障害者の方が作成したものです。捨てられる糸の切れ端を使い、カラフルな作品に仕上げています。もちろん、世界にひとつしかない「一点もの」です。

ヌイ・プロジェクトを手がけ始めた福森さんはこのように話しています。

僕がこの学園に就職し働き始めた頃には、「地域社会で普通に暮らしていくために必要な、基本的な生活指導」や「民間企業からの下請け仕事」などが訓練として行われていた。

でも、僕はこれでは全てが受け身で、これでは生きていて、とてもつまらないんじゃないかな、と思いはじめたんです。

そこから、メンバーにとってつくる行為そのものが至福の時間で、それって作り手としてはとても健全でとても幸せなことなんじゃないかなと気がつかされました。

そこから、工房に「ヌイ・プロジェクト」を立ち上げました。

受け身的作業ではなく創作活動としての「ヌイ・プロジェクト」。しょうぶ学園の工房では多くの障害者の方々が、アート作品を制作しています。

彼らが安心して自分の世界を生かせる暮らしを作りたい

こうした活動が世の中に認められるまでは相当長い時間がかかったと言います。プロジェクトの原型が始まったのは、なんと1985年。30年の時をかけた、息の長い取り組みなのです。

最後に福森さんは、

昔は、知的障害のある人たちを僕たちと同じ暮らしができるようにすることこそがノーマライゼーションだと思っていた。

でも、今は、単に地域社会に出ればいいのではなく、彼らが安心して、自分の世界を生かせる暮らしを作ってくれたらと思っていて、そのツールとしてアートはとても重要な財産になった。

と話されています。

ヌイ・プロジェクトの作品群を見れば、福森さんの言葉の意味がわかります。「障害」という言葉にハードルを感じさせない社会が来たらいいな、と思える素敵な取り組みです。路上にて、ぜひ272号を手に取り「ヌイ・プロジェクト」の美しい世界に触れてみてください。
 

最新号では他にも、

・スペシャルインタビュー:BECK 「いつも自分の本能に従えよ」

・リレーインタビュー:あめく みちこさん

・東田直樹さんの連載「考える日々」

・ロボットが仕事を奪う?!衝撃の未来

などなど、多彩なコンテンツが掲載されています。ぜひ、路上にてお買い求めください!

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