全国の「ひきこもり」当事者とその家族・周囲の人に贈る特集

「ひきこもり」の人は日本全国に何人くらいいるかご存じだろうか。

内閣府は昨年9月、15歳~39歳までの「ひきこもり」の人は54万人いると推計し、2010年時より10万人以上減少したと発表した。
しかしこの数には注意が必要である。40歳以上の人は含まれていないのだ。

愛媛県松山市の実態調査では、ひきこもりの人のうち40歳以上は65%以上、岩手県洋野町の調査でも40歳以上が64%以上占めるという結果が出ている。そのまま計算すると15歳~39歳までの「ひきこもり」の人が全国に54万人(35%)だとすると、40歳以上は100万人(65%)、計154万人いるという推計になる。

ひきこもる6割超が40代以上、家族心中や餓死の可能性も

ひきこもる人の多くが40代、50代に移行しつつあるということは、親が70代、80代に差し掛かっているということだ。

特に長期間ひきこもっている人は親亡き後、電気・ガス・水道が止まっても手続きができず、“在宅ホームレス”となって餓死してしまう可能性もある。そうした状況になってからの支援は困難を極めます。

と話すのは長年ひきこもりについて研究している筑波大学医学医療系社会精神保健学教授の斎藤環さん。

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※実際の「ビッグイシュー日本」の誌面はカラーです。

さらに「親が亡くなる前にどうにかしたい…」という高齢親の弱みに付け込んで、暴力団によって本人の許諾なく暴力的な手法で当事者を拉致監禁するような“支援事業”も現れ始めているという。

暴力的な手法はひきこもり当事者の心を踏みにじり、心の溝は深まるばかりで何も解決しない。そこで登場してきた「対話型」の取り組みについて、2月15日発売の「ビッグイシュー日本版」305号の特集「出(しゅつ)ひきこもり」で当事者・専門家に話を聞いた。

当事者・経験者による、当事者のための『ひきこもり新聞』創刊

当事者・経験者でつくる『ひきこもり新聞』を創刊したのは木村ナオヒロさん。

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※実際の「ビッグイシュー日本」の誌面はカラーです。

司法試験の宅浪生活が長引き、10年間自分を「無職の浪人生」であり「ひきこもりではない」と認識していた彼が、じつは「社会的ひきこもり」であると認識したきっかけや理由、そして『ひきこもり新聞』に込めた想いや内容、どのような体制で制作しているかを本誌インタビューでくわしく話してくれている。

『ひきこもり新聞』
2016年11月創刊。隔月発行。
定価500円。応援価格は2,000円または10,000円。
当事者はPDF版を100円で購入できる。
http://www.hikikomori-news.com/

問題点を挙げて分析することよりも、「あるべき未来の姿」を共有する対話の会
『フューチャーセッション庵』

対話を通じて仲間と未来をつくる『フューチャーセッション庵』のスタッフの話も興味深い。2012年からの活動は、当事者を中心に約100人が集まる対話の会になり、ここをきっかけに「ひきこもり新聞」の参加者が集まったり「ひきこもり大学」などが始まったりなど、新たな試みが誕生している。その会の進め方は政府や企業でも取り入れられている手法だというから、当事者はもちろんそうでない人にも参考になる記事だ。

その他、二人のひきこもり経験者の具体的な体験談、「長期高齢化するひきこもり」の経験者、NPO法人「楽の会リーラ」の大橋史信さんのインタビューも、当事者理解や問題解決の動きの参考になる。ぜひ路上でお買い求めください。

本誌305号「出(しゅつ)ひきこもり」特集で紹介されている書籍

 その他、305号は
・スペシャルインタビュー:『ラ・ラ・ランド』の主演のエマ・ストーン
・リレーインタビュー:篠原ともえさん
・国際記事:ミャンマー、胎動するアートカルチャー
・監督インタビュー:『海は燃えている』のジャンフランコ・ロージ監督
など、読みどころが盛りだくさんです。
ぜひ路上でお買い求めください。

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