ロビーに被災者を迎えた、あの日。ホテルの役割と社会的責任考えた

 コンフォートホテルを展開する「チョイスホテルズジャパン」は、宿泊した分だけ支援団体への寄付が増えるプログラム「Choice Guest Club」を始めた。誕生の背景やそこに込めた想いとは?

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ロビーに被災者を迎えた、あの日
ホテルの役割と社会的責任考えた

「旅で世界とまちを元気に」。
これが、昨年10月に始まった「Choice Guest Club」という寄付プログラムの目指すところだ。

 チョイスホテルズジャパンの公式サイトで会員登録をして宿泊の予約をすると、宿泊代金の0・5パーセントが「choice」ポイントに置き換えられ、貯まったchoiceに応じて割引クーポンが発行される。それとは別に1年間に貯まった分を“環境・教育・雇用”をテーマに活動する3団体に寄付ができる。
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 大塚さやかさん(シニアダイレクター)は、2013年3月までエリアマネージャーを務めていた。会員制度の刷新を考えていた時、ふと頭に浮かんだのが東北での体験だったという。

東日本大震災の日、仙台のホテルでは水道もガスも電気も止まりましたが、ロビーにありったけの椅子と毛布を用意して被災した方をお迎えしました。家が被災したスタッフも泊まり込みで勤務し、三重県の本社スタッフは食料やリネンを連日運んでくれた。おかげで、多くの方を受け入れることができました。

 同時に、「たくさんのエネルギーと人があって成り立っている産業だからこそ“環境・教育・雇用”に社会的責任を負っていること」もあらためて実感したという。

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大塚さやか さん

グローバルブランドであると共に、日本全国でホテルを展開している私たちは、それぞれの地域の方々にお世話になってきました。だから、会社や社員、お客さまも一緒になって地域や社会に還元できる仕組みが作れたら素敵だと思いました。

寄付先の現場へ、スタディツアーも
スタッフと会員の参加を模索

 しかし、この提案をした当初は、全国に千人いるフロントスタッフから「キャッシュバックなどで集客する競合に勝てるのか」「寄付の比率が高すぎるのではないか」と、戸惑いの声があがった。それでも「私たちのファンになってくださる方と社会課題の解決に取り組みたい」と呼びかけたところ、「誇らしく思う」という共感に変わっていった。

支援先は専門家のアドバイスも受けて
日本各地で、荒れた森を回復する体験型プログラムを通して都市と農山村をつなぐ認定NPO法人JUON(樹恩)NETWORK
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勉強に集中する環境や放課後に集う場を失った被災地の子どものための“コラボ・スクール”を運営する認定NPO法人カタリバ
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日本の和紙の技術で製品化した“バナナペーパー”でザンビアの雇用を生み出しているOne Planet Café Zambia
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に決まった。

「ゆくゆくは社員やお客さまも家族で現場に参加ができ、みんなが自分事として直接的にかかわれる仕組みを作りたい」との想いから、大塚さんたちは支援先団体の活動現場に足を運び、「一緒に、どんなことができるのか」を模索している。

1月にはJUON NETWORKさんの紹介で活動に参加しました。
あいにくの雪でしたが、広島の森林で作業現場を見せていただきました。

カタリバが運営する宮城県女川町のコラボ・スクールも訪ねて復興の状況をうかがい、6月には、One Planet Café Zambiaが毎年ザンビアで開催しているスタディツアーに社長ともども参加予定です。
今後、時間をかけて充実させていきたいと思っていますし、会員の方が増えることで、より多くの活動を支援できるようにしていきたいと願っています。

「Choice Guest Club」はチョイスホテルズジャパンのサイトから無料登録できます。
https://www.choice-hotels.jp/

[ビッグイシュー・オンライン編集部より:本誌連動企画として、「チョイスホテルズジャパン」の特集記事をお届けしました。]