伝統が、社会をよくする力を生み出す――その好例が、「ホームレス・タータン」だ。
2019年、タータン専門店であるスランジキルトは「ホームレス・タータン」シリーズを発表した。スコットランドの人々に非常に馴染み深いタータン柄を活用したこのプロジェクトは大勢の人々の共感を呼び、ホームレス支援NPOであるシェルター・スコットランドに4万ポンド(約860万円)超の寄付金を集めることに成功した。コロナ禍では、ホームレス・タータンのマスクを着用する輪が広がり、困難のさなかで人々の連帯を示す手段となった。その成果は、タータン柄が重要なメッセージを伝えながら、時代に合わせて適応させていけることを示している。

「インターナショナル・ホームレス・タータン」の発表へ
そして今、このプロジェクトがスコットランドの外へと広がりを見せている。2026年4月6日、タータンの日(スコットランドの文化と遺産を称える記念日で、タータン柄の服を身に着けて祝う)に、国際ストリートペーパーネットワーク(INSP)の支援を打ち出した「インターナショナル・ホームレス・タータン」が新たに発表されたのだ。国内での取り組みが好評だったことから、自然な流れで国際的な取り組みへと発展したかたちだ。売上の20%が直接INSPに寄付される。
インターナショナル・ホームレス・タータンもカラフルなラインづかいを特徴としているが、背景色はオリジナルのライトグレーからチャコールグレーに変更されている。よりコントラストが際立ち、普段着からキルトまで、さまざまな組み合わせが楽しめる。世界中で認知されているタータン柄は、一目でアイデンティティと帰属意識を感じさせる。この普遍性が、単なるデザインを超え、責任と連帯を示していく手段として国境を越えようとしている。
タータン柄の普遍性を活かした社会事業とのコラボ展開
スランジキルトは何年も前から広告掲載というかたちで『ビッグイシュー』事業を支援してきた。それが2019年の「ホームレス・タータン」シリーズの発表につながり、その成功を持って、今回のINSPとのパートナーシップが実現した。スランジキルトはこれまでにもさまざまな団体とコラボし、難民評議会、ビートソン・キャンサー・チャリティ、スコットランド・メンタルヘルスアクション(SAMH)などを支援する商品も制作してきたが、今回、世界のストリートペーパー事業を取りまとめるINSPの支援を打ち出したことで、世界各地の販売者たちのネットワーク強化になると考えている。
インターナショナル・ホームレス・タータンによって、スコットランドの伝統を大切にしながら、社会正義を求めるグローバルな運動に貢献する。こうした大義を持って織られたタータン柄アイテムは、もはや単なる布地ではなく、スコットランドが誇りを持って世界に向けて発信する大切なメッセージである。
「インターナショナル・ホームレス・タータン」シリーズ
https://slanjkilts.com/iht
By Calum Grant, Slanj
Courtesy of INSP.ngo
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