(2013年12月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 229号より)

オーガニックマーケット。作る人と食べる人がともに食を考えた



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(こたつを囲んで、生産者と消費者が語り合った「ふくしま有機農業女性の会」ブース)

東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、農地が汚染された福島県。食や農産物の安全と安心を考えようと、有機農業者やその加工品の生産者、そして消費者などが参加した「ふくしまオーガニックフェスタ2013」が11月23日、郡山市で開かれた。

福島県や周辺地域などでは、農業者団体や行政によって、放射能測定器で農地や農作物の汚染度を測ってから栽培、収穫、販売することや、できる限り数値をゼロに近づけるための取り組みが続いている。今回のイベントの目的は、「子どもたちの生命と健康を守りながら、地域コミュニティを大切にした食と農のありかたはどのようなものかを、生産者と消費者が一緒に考えたい」というもの。

屋外のマーケットエリアでは、有機農業、自然農業で生産した農作物を販売する「オーガニックマーケット」のテントがずらりと登場。テントの前で足を止める来場者に、生産者が直接、農作物の栽培の様子や土づくり、作物の特徴、放射能測定の重要性を紹介しながら、有機野菜の販売や情報交換が行われた。

「ふくしま有機農業女性の会」(福島県二本松市)は、会場のブースにこたつを設置し、女性の会のメンバーと来場者ら12〜13人が一緒にこたつに入り、福島の農業や農業者が抱える課題について対話するイベントを企画。

福島の農業者の女性は「放射能の影響がどうしようもないという時、首都圏の消費者の方から声をかけてもらって元気が出た。課題を共有し、これからどのような農業を目指していったらいいのか話し合いたい」。首都圏から駆けつけた大学生の女性は「農業を応援したいという思いがずっとあった。こうして農家の方と直接お話ができてよかった」と語り、参加者の男性も「こうして生産者と消費者が顔を合わせて話をすることが、とても大事」と話した。

友人と来場した恵泉女学園大学(東京都)の西川しおりさん(大学3年)は「震災後、被災地を応援するということで、大学でオーガニックカフェを続けてきた。会場で、世田谷の『ふくしまオルガン堂下北沢』の方や農家の方とお会いし、有機農業についてより深く考えることができてよかった」と笑顔で語った。

(文と写真 藍原寛子)