ビッグイシュー・オンライン編集部より:高齢者と大学生がホームシェアを行い、互いの生活をよりよいものにしていく新しいホームシェアのスタイルについて、舟橋拓さんの紹介記事です。(提供:空き家の活用で社会的課題を解決するブログより、一部編集して掲載)
部屋を持て余している単身高齢者と長時間通学な大学生のデメリットや不安を解消する「異世代ホームシェア」
今年1月から東京都文京区にある高齢者のご自宅に大学生が下宿するようになりました。というのも高齢者は4年前に妻を亡くして以来一人暮らし。大学生の方は埼玉県の実家から1時間以上かけて通学していました。そのお互いの生活上のデメリットや不安を解消する「異世代ホームシェア」という試みが始まっています。
長谷川さんは4年前に妻を亡くして以来、一人暮らし。藤倉さんは下宿する前、埼玉県草加市の自宅から1時間弱かけて大学に通っていた。今は自転車で5分ほどだ。
「他人がうちにいる違和感と安心感。どちらもある」と長谷川さん。地域の活性化について研究する藤倉さんは「体験は研究に役立ちそう。ストレスを互いに感じないような関係づくりを模索中です」と話す。
両者を結びつけたのは文京区の商店主らがつくるNPO法人「街ing本郷」が今年度に始めた「ひとつ屋根の下プロジェクト」です。コーディネーターの存在が非常に重要です。
異世代ホームシェアのメリットは、まず高齢者にとってはごみ出しや月一度の古紙回収など重い物を持ってくれる、とか何かあったときに頼りになる(救急車呼ぶとか)などかなと思います。大学生にとってはなんといっても通学時間の短縮、安い家賃、他にも地域活動を体験できて勉強になる、とか。つかず離れずの距離感がよかった、というコメントがあるように双方の自由を尊重しながらストレスを回避するような絶妙な距離感が取れると上手くいきそうです。
2013年に取り組みを始めたNPO法人「リブ&リブ」(東京都練馬区)は、東京都日野市の原正則さん(68)と和加子さん(67)夫妻宅に、東京学芸大4年の女子学生(24)を紹介。昨年11月から卒業を控えた今月9日まで、一緒に暮らした。
週5回は和加子さんが夕食を作る。2回の夕食づくりと後片付けは女子学生が担う。和加子さんは「つかず離れずの距離感が良かった」、女子学生も「自由にさせてくれ居心地が良かった」と話す。
高齢者と大学生が共に暮らす取組は1990年代後半、スペインで始まった
世代間交流ホームシェア事業のNPO法人「リブ&リブ」のウェブサイトによると、高齢者と大学生が共に暮らす取組は1990年代後半にスペインで始まったそうです。「リブ&リブ」」代表理事の石橋ふさ子さんは2008年にバルセロナを視察し、日本にも広めたいと準備しました。
私たちの中心活動である「世代間交流ホームシェア事業」は1999年にスペインのバルセロナで初めて実施され、その後猛暑で多くの独居シニアが亡くなった後のパリでも同様の仕組みが開始されています。現在欧米ではこの仕組みによる数千組のペアが世代を超えた同居生活を楽しんでいます。
シェアハウスと親和性が高いホームシェア
シェアハウスを広げる活動をするNPO法人「ハートウォーミングハウス」でもシニアと若者のホームシェアに注目しています。
血縁よりも生活上の課題でつながる関係
こちらのツイートの図をご覧ください。
非親族世帯の人員の割合。若者で多いのは頷けるが,80歳以降になると上向きになる。異世代ルームシェアなるものも含まれるんかな。 pic.twitter.com/TUiQSfHEFW
— 舞田敏彦 (@tmaita77) February 15, 2015
「非親族世帯」つまり血縁関係にない人同士の世帯ということですね。20代から30代にかけてはシェアハウスに住んでいる人も多いので突出していますが80歳以降になると上向いています。これは単身高齢者が血縁関係に無い人と住む「異世代ホームシェア」が行なわれているのではないかと思います。
高齢者も大学生もそれぞれ生活上の課題を抱えているわけで、血縁関係にこだわらず、というかそんな余裕も無い状況の中では双方の生活上のデメリットや不安を解消するためのマッチングはとても意義のあることです。
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