ホレた男なので面倒を見るのはやぶさかではないのですが、本人は専業主夫に徹するのはイヤだとか。ならば管理職までやった調理師の経験を生かして働いてほしいのですが、それは嫌なようです。
中年の危機は時間が解決してくれるのでしょうか?ちなみに子どもは2人います。
(31歳/女性/自営業)
俺がホームレスになったのは5年前。ちょうど旦那さんと同じぐらいの年だ。銀座の割烹料理屋で板長をやっていたことがあるし、自分探しもしたことある。旦那さんといろいろとカブるなぁ(笑)。
今じゃ宝の持ち腐れになってるけど、調理師のほか、栄養士やソムリエの資格ももっているんだ。キレイ好きが高じて、清掃の講座も受講したこともある。好奇心旺盛なんだ。だから、新しいことに挑戦したいという旦那さんの気持ちはよくわかるな。
違うのは、俺に子どもがいないことぐらい。この人みたいに可愛い子どもでもいたら、長くこの生活にハマることはなかったかもしれないね。
あと携帯が切れているから、働きたくても仕事の声がかからない事情もある(笑)。旦那さんはちゃんと仕事探しているから、大丈夫。しばらくしたら働き出すと、僕は思うよ。
調理師の仕事はね、おいしく作ってキレイに盛るのはもちろん、速さや接客や愛想も必要とされる。技術だけじゃなく、他人に気に入られないと続かないんだ。管理職もやったことがあるんだから、旦那さんは調理師に限らずどこへ働きに行っても器用にこなせる人だと思うな。
だけどここはひと言、奥さんが納得できるような辞めた理由を、旦那さんは説明するべきだね。面接でも前の仕事を辞めた理由は必ず聞かれるし、次のステップのために、反省すべきところは改めてさ。
旦那さんには旦那さんの、これまでの経験やプライドがあるだろうし、新しい職場では年下で威張っている人もいるはず。でも、旦那さんには初心を忘れず、家族のために我慢してもらいたいね。旦那さんの働きぶりを見せたら、相手の態度も変わるし、そのうち認められるようになるからさ。
(東京/I)
『クッキングと人生相談~悩みこそ究極のスパイス』
読者から届いた48の人生相談に、料理研究家の枝元なほみさんが「悩みに効く料理」を作り、ホームレスという人生の“どん底”の経験した『ビッグイシュー日本版』販売者が回答。ほろっと涙がこぼれたり、くすっと笑顔があふれてしまう、世界にまたとない、ぜいたくなレシピ本。
¥ 1,680