ビッグイシュー・オンライン編集部のイケダです。現在路上で発売中の238号から、読みどころをピックアップいたします。
世界に広がる「スモールハウス・ムーブメント」とは何か
最新号の読みどころは何と言っても特集「小さいおうち スモールハウス・ムーブメント」。1999年に米国のジェイ・シェファーさんが提唱した「スモールハウス」というコンセプトが、今世界中で広がりを見せています。
紙面では日本でスモールハウスを建設した高村友也さんのインタビューなどが掲載されています。彼は2009年、27歳で都心から原付で半日ほどの雑木林に3坪のスモールハウスを自ら建造しました。
実は、小屋を建てる直前に都内の路上で寝泊まりしていた期間が半年ほどあるんです。何というか、路上に出れば自由になれる、一からすべて考え直せるというような思い込みがあって……。でも、『住所』がないと郵便物の受け取りや行政の手続きなんかが不便ということ、遅まきながら気付きまして……(笑)
『小さな土地と小屋さえあれば、今感じているあらゆる面倒は解決するのでは?』と、とにかく安くて小さな土地を見つけて、小屋を建てたんです。
高村さんはブログ、ウェブサイトでご自身の暮らしを発信しております。関心がある方はぜひチェックしてみてください。こちらが高村さんの暮らしているスモールハウスです。
スモールハウス・ムーブメントは、アイオワ大学で美術の教鞭をとっていたジェイ・シェファーさんの取り組みがきっかけでスタートしました。彼は1999年、10平方メートルのスペースにスモールハウスを建てて、世論をにぎわすことになりました。
「僕は、自分の平穏な暮らしを支えてくれる家がほしかったのであって、それを支えるために暮らしを捧げなければならないような家をほしくはなかった」
最初は、まったく個人的な趣味で建て、「こんなもの誰にも受け入れられないだろう」と思っていたというが、竣工して住み始めた2000年、雑誌「ナチュラル・ホーム」の年間大賞を受賞、米国中の注目を集めることになった。
高村さんはスモールハウス・ムーブメントが広がりを見せている理由について、このように語っています。
リーマンショックで目が覚め、大きな不動産ローンを組むことの危うさと馬鹿らしさに気付き始めた頃、スモールハウスという存在をメディアが大きく取り上げるようになったからだと思います。
(中略)いろんな人がいろんな動機からスモールハウスにたどり着くのですが、共通項をあげるとすれば、「生活を軽くしたい」「シンプルにしたい」ということだと思います。自分が生きてゆく上で大切にしたいことが、重たい生活によって邪魔されている。その重たい生活の象徴が「大きい家」あるいは「高い家賃」という存在である。
自分が有意義な生活を送るために生活環境を整えているつもりが、いつの間にか、生活環境を整えるために生きるようになってしまった。だから思い切ってダウンサイズして、仕切り直したい。そういう人たちがスモールハウスという答えを見出すのだと思うんです。
特集では、他にもアメリカでスモールハウスを建てたディー・ウィリアムズさん、ウェブサイト「未来住まい方会議」を運営するさわだいっせいさん、ウエスギセイタさんのインタビューなどが掲載されています。ぜひ路上にてお買い求めください!
※バックナンバーを3冊以上お求めの場合は、通信販売でもご購入いただけます。
THE BIG ISSUE JAPAN290号のTOPICSでも<米国「タイニーハウス運動」。ホームレスの選択肢に>という記事が掲載されています。
「タイニーハウス」「スモールハウス」といったキーワードに興味のある方は、238号、290号、334号を路上の販売者にご注文いただくか、バックナンバー一覧より通信販売をお申し込みください。