七ヶ浜町で被災。 今、仙台市で路上生活3ヵ月

七ヶ浜町で被災。 今、仙台市で路上生活3ヵ月

健康相談会風景

(23人が参加した健康診断・食事会)

 仙台市内の駅周辺や地下歩道、商店街の通路などで生活している路上生活者の健康を守る健康診断と食事会が1月4日に市内で開かれ、23人が参加した。

 NPO法人 仙台夜回りグループなど支援団体が路上生活者に呼びかけ、宮城民医連が毎年正月に開催しており、今年で5回目。路上生活者で医療が必要な人を受診につなげるのが目的で、医師、看護師、保健師、看護学生など約50人がボランティアで参加した。医師による健康診断や問診、血圧測定、尿検査のあと、12人が「診療が必要」とされ、後日、医療券を受けて医療機関を受診した。

歯科医師の診察

(歯の様子を調べる歯科医師(右))

「なかなか仕事が決まらない。仕事がないこと、住むところもないことがつらい」。そう話すのは、仙台駅周辺の商店街の通路で生活する遠藤さん(47歳)。知的障害(2級)がある。宮城県七ヶ浜町で暮らしていたが、自宅が津波で全壊。避難所から仮設住宅に移った。震災前は地域の人ともうまくやっていて、仮設住宅に移ったあともしばらくは特に問題もなかったが、次第に近所の人とあいさつも交流もなくなってしまったという。「ここを出る」と決意し、アパートを探すために仙台市に来たまま、路上生活に入って3ヵ月。

「東京の方に(仕事の)面接に行ったりもした。清掃作業の会社が多いが、いろいろな会社の面接を受けても決まらない」。そして「何でもいい、仕事がほしい。寒いから、生活するためのテントもほしい」。

 食事会では「温かい食事で身体を温めてもらおう」と、中華丼、味噌汁、ポテトサラダにマーラーカオがふるまわれた。和やかな雰囲気のなか、路上生活者の中から笑顔も飛び出し、ボランティアの看護師らと会話がはずんだ。

 宮城民医連事務局の神馬悟さんは、「震災後は30代など若年の路上生活者が増えた。全国各地から震災復興の仕事で東北に働きに来て、その後に仕事がなくなって路上生活に入る人がいる。まだまだ支援が必要」と話していた。  

(藍原寛子)

(写真:宮城民医連提供)
(2014年2月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 232号より)