福島で交流。 無農薬のバランゴン・バナナ 保育所に届ける「APLA」

福島で交流。 無農薬のバランゴン・バナナ 保育所に届ける「APLA」

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 昨年末の12月7日、福島県内の幼稚園や保育所への支援活動をしているアジアを拠点に活動するNGOの「APLA(アプラ、Alternative People’s Linkage in Asia)」、その支援者やスタッフ、活動に関心のある大学生など17人が、支援先の福島市田沢のあすなろ保育園(高荒正子園長)などを訪問し、震災後の現状について話し合い、理解を深めた。

 APLAは、福島で子育て中の父母らが「できるだけ放射能汚染の少ない食べ物を子どもたちに食べさせたい」という思いをもっていることを知り、「福島の子どもたちに届けよう・バナナ募金」をスタート。無農薬のバランゴン・バナナを栽培・収穫して現地の雇用を増やしながら、このバナナを2011年11月以降、福島の幼稚園や保育所にも毎月届けている。

 この日は高荒園長が、保育園の施設や建物への震災と原発事故の影響、保育園生活を送る子どもたちの様子、今後の課題などについて説明。「震災前は『どんぐり広場』や『あすなろ農園』での自然体験、農業・食育体験、夏のプール遊びもやっていた。ところが地震と放射能の影響で、屋外活動ができず、現在も活動時間を制限している。子どもたちが『外でいっぱい遊びたい』と泣きわめいてくれたらと思うが、実際はそのようなことはない。震災後の状況を子どもなりに理解していて、『仕方がない』とあきらめているのではないか」と語った。

 参加者の中には、子どもたちの様子について説明を聞きながら、目頭を押さえる人も。「いつもバナナをありがとう」というお礼の言葉とともに、園児からのプレゼントもあり、楽しい時間を過ごした。

 この日参加したAPLA共同代表の秋山眞兄さんは「あすなろ保育園には何度か来ているが、改めて先生方の取り組みや子どもたちの様子が理解できた。引き続き、福島の子どもたちの支援に力を入れていきたい」と話した。  一行はこのほか県内各地を巡り、二本松市有機農業研究会の大内信一さんら有機農業者からも話を聞いて、福島の農業や自然環境の課題について理解を深めた。

 

(文と写真 藍原寛子)

(2014年1月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 231号より)
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