「ホームレス状態の人の自立を支援したい」というビッグイシューの理念。その理念に共感してくれた人たちが、全国でサポーター団体を組織し、ボランティア活動としてその土地の販売者にビッグイシュー販売のサポートをしてくださっています。

「ビッグイシューさっぽろ」もそんなサポーター団体のひとつ。

今回は今年の9月で10周年を迎えた「ビッグイシューさっぽろ」の事務局長の平田なぎささんに販売サポーターの活動についてお話をお伺いしました。

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Q「ビッグイシューさっぽろ」の活動はどのようなものですか。

「ビッグイシューさっぽろ」は、毎月2回、ビッグイシュー日本から『ビッグイシュー日本版』の最新号を中心に500冊前後取り寄せています。

取り寄せた『ビッグイシュー日本版』は「ビッグイシューさっぽろ」事務所に保管され、それを少しずつビッグイシューの販売者に卸すということが、地道ながら最も重要な業務になります。
火曜・木曜・土曜の午前中に事務所を開けて、ボランティアが持ち回りで販売者の皆さんに「卸し」をしています。

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週3回の「卸」の様子。(ビッグイシューさっぽろのFacebookページより)


そのほか、在庫管理や発注業務および会計、通信販売などの発送業務、委託販売への雑誌の配送や売れ残った号と売上の回収、広報のためのSNS運営や、読者レターの作成なども行っています。
あとは出張販売などのイベント運営や調整、販売者の生活のサポートもしていますね。

そうやって約20人のボランティアが、3人の販売者をサポートしています。
3名に対して20名のボランティアって手厚く聞こえるかもしれませんが、月で午前中だけ、というような関わり方の方や、「平日は無理だから在宅でできることをメインに」という方もいらっしゃいます。それぞれのできる時間でできる範囲のことを無理せずやるのが長続きの秘訣かな、と思っています。


参考:ビッグイシューさっぽろ管轄の委託販売店
https://www.bigissue.jp/buy/shop/


Q「ビッグイシュー」とはどのような出会いだだったのですか?

もともと私は転勤族で各地を転々としていたのですが、その頃は特別に社会課題に意識が高いというわけでもない、ほんとうに「フツーの主婦」だったんです。

それがある時、いわゆる「ネットカフェ難民」のことをテレビでやっていて、少し気になりました。その後、ホームレス問題のことが報道されたり、湯浅誠さんの著作を読む機会があり、だんだん気になってきたんです。

その後札幌への引っ越しの機会があったため、何かボランティアでもしようかなと調べていたところ、「ビッグイシューさっぽろ」の前身である「北海道の労働と福祉を考える会(通称 労福会)」が札幌でホームレス支援の活動をしていることを知りました。

ちょうどそのころ、ビッグイシューのボランティア業務が「労福会」から「ビッグイシューさっぽろ」という団体に移ったときで、そこにボランティアとして参加しました。しばらく活動を続けるうちに当時の代表から事務局に入りませんか?と言われてそこにも関わるようになり、いつのまにか事務局長を引き受けていました。

Qでも、「フツーの主婦」って、ボランティア組織の事務局長になりますか?

私がこの活動を始めたきっかけは湯浅誠さんの本だったり、報道だったりするわけですが、その「きっかけ」っていわば「弾丸が発射される」タイミングなんですよね。
弾丸が発射されるには、自分では気づいていないかもしれませんが「弾丸をこめる」という作業が必要なわけです。

じつは私は子どもの頃、「生活困窮世帯」だったんです(苦笑)。でも、渦中にいる本人は特に疑問を感じることはないんですよね。まあ、そんなものだ、と思っていたので。
その後も特に社会のあり方に疑問を感じることはありませんでした。
大人になってから、介護が必要になった東京の義母の家に来ていたヘルパーさんが雑談のなかで偶然「最近、20代から30代のホームレスがすごく増えているらしいね」と発言したときも、「へぇ。そうなんだ」くらいに思っていました。
でも、そういった幼少期の環境や、ヘルパーさんの発言などが、私にとっては「少しずつ充填された弾丸」だったのかな、と思います。

湯浅誠さんの本を読んで、「貧困は自己責任ではなく、社会のしくみで生まれる」と認識したときに、「弾丸」が発射されちゃったんだと思います。

Qボランティアで10年も活動するって大変ではないですか?

うーん、まあ、やれる範囲のことをやるだけなんです。
他の地域のサポーター団体では毎日、または長い時間卸をやっているところもあるようですが、普段の私の生活は主婦業、家事メインで、時々単発アルバイト、という生活なので「週3回、午前中だけの卸活動」という無理のない形で続けています。

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たくさんの人が関わると、いろんな意見も出てきて大変なこともありますが、私の場合は活動の中で目指す方向性がとても近い仲間と出会うことができたので、そういった仲間となんでも相談しながら進めています。
1人だったら無理なので、自分がいいな、と思うイベントなどに参加して、よく会う人と少しずつ話したりしながら、仲間を見つけて行ったらいいんじゃないですかね。

Qビッグイシューの魅力って何でしょう?

雑誌で取り上げるテーマの多様性、でしょうか。社会課題もあればアートもお料理もある。
でもそれらの裏側に、私たちが本当に考えるべきこと、というものが根底にある気がします。
世間で大きな問題になる、ほんの少し前にいろんな課題を取り上げているというところもすごいなあと思います。

ビッグイシューに関わるボランティアを長く続ける秘訣としては、そういう「ビッグイシュー日本」という雑誌を本当に好きになることかな、と思います。読む価値があるよ、と心から人に言える、よさがわかると、やりがいを持てるかなと思います。

ビッグイシューが好きな人、興味のある人、ぜひ月に1度でもいいのでご参加いただければと思います。お気軽にお声掛けくださいね。

<ビッグイシューさっぽろが募集しているボランティア> ・卸当番 (火、木、土 9:30~11:00)(最新号の発売日前日の同時間)
・読者レター作成(自宅作業)
・会計(自分の都合のつく時間)

事務局長:平田なぎさ
〒064-0808
札幌市中央区南8条西2丁目市民活動プラザ星園305
Tel.070-1732-1849
ホームページ
Facebook
Twitter
E-mail: big.issue.sapporo@gmail.com
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10年間「それぞれができる範囲」で「できること」をしてきたビッグイシューさっぽろ。
今後とも応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


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ビッグイシューには、日本各地で雑誌『ビッグイシュー日本版』の販売者をサポートいただいている団体があります。
各地の活動に関するご質問やボランティアを希望される方は、それぞれの団体に直接お問い合わせください。

また、販売地域外で、ホームレス状態の方の自立支援としてビッグイシューの販売サポートを開始されたい方はビッグイシュー日本までお問い合わせください。

<全国の販売サポーター>
https://www.bigissue.jp/sell/supporter/


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平田さんが影響を受けたという湯浅誠さん。湯浅さんをゲスト編集長に迎えた号です。
https://www.bigissue.jp/backnumber/216/






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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。