2018年は〝天文イヤー〞なのをご存知だろうか?
数多くの天文現象が目白押しで、明後日2月2日は「レグルスの食」、7月は15年ぶりに「火星大接近」、8月には月明かりのない中で最高の流星群が現れる。2月は一年で最も空気が澄み、星と親しくなるスタートにもぴったりの季節。『ビッグイシュー日本版』328号の特集は「2018年 星空の誘惑」。灯りを消して、星空の世界を見上げてみたい。


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江戸時代の流れ星への願い事専用の早口言葉は『色白、髪黒、髪長』!?
/天体写真家の藤井旭さん

星好きが高じて仲間と那須高原の山奥に「白河天体観測所」を建て、美しい天体写真を撮り続けてきた天体写真家藤井旭さん。星に関する本は数十冊、撮影した写真はNASAのサイトにも使われたことのある「星マニア」ぶりは、『ビッグイシュー日本版』284号のワンダフル・ライフでもご紹介したことがあるが、328号では特集にてしっかりページを割いて、2018年の天体の見どころほか、太古の昔に星を見つめていた人々のエピソードなどもお伺いしている。

そのひとつが、「流れ星を見たら願い事をかなえる」という風習。江戸時代の流れ星への願い事専用の早口言葉が『色白、髪黒、髪長』であったことや、昔は「天上の光が、筒を通して光って見えていると考えた」ことから星のことを「筒」と呼んでいたことなど、我々の先祖にあたる時代の人々が、どのように星を受け止め、眺めていたのかということにも触れ、軽くタイムスリップしたような気持ちを味わえる。
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「何億年か前、僕らが住んでいる銀河系に外から飛んできた何かが衝突したんですね。その火花は冬の星座の方向に飛び散った。だから冬の星は明るいものがいっぱいあるんです。空気も澄んでいるし、これから星空に親しんでみようという人に今はうってつけの季節です」と話す藤井さん。

各天体ショーの楽しみ方を特集では詳しく解説、328号をしっかり読んだ後はぜひ灯りを消して、空を眺めてみたい。

ふじい・あきら 1941 年、山口県生まれ。69年、那須高原の一隅に星仲間たちと共同で白河天体観測所を作り、その後、オーストラリアでも天文台を開設。天体写真家として国際的に知られる。ビッグイシュー284 号「ワンダフル・ライフ」にも登場。


「地球は特別な惑星、太陽系が基準」という「常識」を疑ったことで、50年以上見つけられなかった“系外惑星”が3500個以上発見されるように/惑星科学者の井田茂さん(東京工業大学教授)

天文学の歴史において、かつて太陽系以外に惑星を見つけることがまったくできず“系外惑星”の探索が本格化したのは1940 年代のこと。その後、50年以上にわたりさまざまな観測方法や機器が発明されたにもかかわらず、系外惑星はなかなか姿を現さなかった。

しかし「地球は特別な惑星、太陽系が基準」という「常識」を疑ったことで、続々と見落としていた「系外惑星」が発見され始めた。その結果、03年には100個、10年には500 個、現在では3500 個以上の系外惑星が発見されていると話してくれるのは惑星科学者の井田茂さん(東京工業大学教授)。

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常識を「常識とされていること」と認識したうえで、それを疑うことで、新たな発見が生まれることがあるというこのエピソードは、特集の中で深海の摂氏300度の熱水が噴き出す海底に住む生物の話を経て「地球外生命体」についても繋がっていく。

「できるだけ“地球中心”主義にとらわれないで考えようとしています。それでも、まったく異なる仕組みの生命を目の前にした時、我々はそれを生命として認識できるのか? そんな深遠な問題にもつながっていくんです」と話す井田さん。

科学やテクノロジーの進化により、「常識」がどんどん覆されていく昨今、「天体」を手掛かりに、「常識」を疑う頭の柔らかさを鍛えていきたい。

いだ・しげる 1960 年生まれ。東京工業大学地球生命研究所(ELSI)副所長・教授。専門は惑星形成理論。その他、地球外生命体などのアストロバイオロジー研究も行う。著書に『系外惑星と太陽系』(岩波新書)など。


ビッグイシュー328号ではこのほかにも、
・スペシャルインタビュー:ニコール・キッドマン
・リレーインタビュー。私の分岐点:作家・映画監督のグ・スーヨン
・国際:シリア以外は「安全な国」か? 相次ぐ国外退去処分、移送拒否の操縦士も
・ビッグイシューアイ:自主避難者への住宅支援打ち切り。困窮し、孤立する当事者を個別支援
・ワンダフル・ライフ:月1で開くチーズ工房。女性で初の大臣賞
・ホームレス人生相談:36歳男性からの「スマホの情報量が多すぎて処理しきれず、ガラケーに戻そうか迷っています」のご相談。

など盛りだくさんです。

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ビッグイシューの「宇宙」関連のバックナンバー

THE BIG ISSUE JAPAN284号
ワンダフルライフに328号特集に登場の藤井 旭さんが登場。
「見上げて70年、南半球の星空で「自分は宇宙人」を実感」
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https://www.bigissue.jp/backnumber/284/


THE BIG ISSUE JAPAN273号
特集:宇宙開発しませんか!
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https://www.bigissue.jp/backnumber/273/


THE BIG ISSUE JAPAN228号
特集:宇宙と生命。― 呼応する身体の時間
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https://www.bigissue.jp/backnumber/228/







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