「ホームレスの人はじっとしている」というイメージをお持ちの方がいるとしたら少々意外かもしれない。今回紹介するビッグイシュー販売者の濱田さんは2007年から7月、8月と12月を除いて月1回のペースで、大阪近辺の「まち歩き」イベントを開催してきた。

 濱田さん

「歩こう会」は毎回すべて濱田さんが企画する。
毎回約5~6キロ、1~2時間の大阪・街歩き。参加者は、販売者やスタッフ、読者、ボランティアの方などで、平均して4~7人、多い時で十数人がそぞろ歩きをともに楽しむ。 これまで歩いたコースの一覧を見せてもらうと、「大阪天満宮~天神橋筋商店街」「大阪城梅林」「天王寺七坂」といった定番から、「鵺塚~農業用水門跡~蕪村通り商店街」「福沢諭吉誕生地~なにわの出世街道~松下幸之助創業の地碑~第二工場跡」「大塩平八郎終焉の地碑~梶井基次郎碑~津波・高潮ステーション」など、大阪で暮らす人であってもあまり知らないスポットがずらりと並び、興味をそそる。もちろん、訪れるのは基本的にお金のかからない、無料の場所だけだ。(『ビッグイシュー日本版』200号より)
毎回、歩く場所は、濱田さんが本やパソコンなどで調べて、2~3時間で歩けるコースを決め下見。下見のポイントは「話のネタになる風景や写真スポットを探すこと。トイレ休憩所、解散場所付近で参加者が交流できるスペース、階段や坂などもチェックし、歩きやすさも考慮します」。(『ビッグイシュー日本版』331号より) 
たとえば2017年春の「歩こう会」は、新緑鮮やかな摂津峡。ビッグイシュー関係者のほかに、立命館大学のボランティアサークルのメンバーや濱田さんのファンなど、20名以上が参加した。

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絶好のウォーキング日和!

この日は摂津峡の広場をスタートに山を登り、登りきったところにある一軒家のイベントスペースでお昼ご飯と交流というプラン。濱田さんの下見により、今回の「歩こう会」は元気な大学生や足に自信のある人には「ハードコース」、家族連れやゆっくり歩きたい人には「マイルドコース」が勧められ、目的の一軒家をそれぞれ目指すことになった。

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読者の方のなかには「ホームレスの人はゆっくりゆっくり歩く」というイメージを持っている方もいるかもしれないが、濱田さんの場合は全く当てはまらない。

30代後半から全国のウォーキングイベントに参加していた経験、そしてビッグイシューの販売で月~金曜日:8時~19時、土・日・祝:10時~17時で荒天時・体調不良時を除いて無休でほぼ「フルタイム」で路上に立ち続け、さらにちょくちょく「歩こう会」の下見にも行く人なのだ。

坂道も息を乱すことなくスタスタと歩き、運動不足のオンライン編集部員が息切れして遅れがちなのを時々振り返り、さりげなく参加者と談笑しながら待ってくれていたくらいである。

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新緑が美しい季節に空気のきれいな川沿いの道を登るのはとても気持ちがよく、参加者と濱田さんの会話も自然に生まれていく。
「一緒に歩く」というコミュニケーションの形もあるのだと気づかされる。

もちろん、一人黙々と歩くことで、心身ともにスッキリしたり、クリエイティブなアイデアが浮かんだりすることもあるだろう。

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濱田さんが事前に下見に来てコースに組み込まれた滝スポット前。

図書館司書の経験もある濱田さん。
「歩こう会」を始めたのはもともと「健康と親睦のため」だという。
「一人ではここまで続けるのは無理でした。回を重ねてこられたのは、参加してくださるみなさんのおかげ。少人数ならではののんびりとした街歩きですが、だからこそ歩いている途中におもしろそうなものを見つけたらそこに時間を取ることもできますし、その場所で出会った人からお話をお聞きすることもできます。何気なくあるものに、気づくかどうか。そんな楽しみを参加者の方々と共有できたらうれしいですね」(『ビッグイシュー日本版』200号より)
今年の5月には「歩こう会」がいよいよ100回目を迎える。
詳細は『ビッグイシュー日本版』331号の特集「てくてく。あるき旅」やビッグイシュー基金のサイトでもご案内。


この特集では濱田さんの「歩こう会」の案内のほか、

・随筆家 山本 ふみこさんのエッセイ「てくてく みんな道の上で聞いてきた」
・mürren編集者の若菜 晃子さん「街と山のあいだ。楽しむアンテナを磨く」
・『歩き旅.com』運営者の石原 淳さん「人間、ザック1個で生きていける」
・イラストレーターの関本紀美子さんのイラストエッセイ「ひと駅分のお散歩スケッチ」

など、春の訪れとともに「歩きたくなる」記事を集めた。


ビッグイシュー331号ではこのほかにも、
・スペシャルインタビュー:今年アカデミー主演男優賞に輝いたゲイリー・オールドマン。メークアップ賞を受賞した辻さんのお話も。
・リレーインタビュー。私の分岐点:シンガーソングライター寺尾紗穂さん
・国際:移民の人権を守る「聖域都市」は米国精神の体現
・ビッグイシュー・アイ:ナチ独裁への入り口となった「大統領緊急令」と「緊急事態条項」の共通性
・監督インタビュー:『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』
・ホームレス人生相談:40代男性の「子どもの悪いところばかりに口出ししてしまいます」の相談

など盛りだくさんです。
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ぜひ路上でお買い求めください。

『ビッグイシュー日本版』濱田さん&「歩く」関連号

THE BIG ISSUE JAPAN200号
特集:今、笑いを取り戻す
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https://www.bigissue.jp/backnumber/200/


THE BIG ISSUE JAPAN269号 
特集:ゆっくり歩く、旅― ロングトレイルをつくる!
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https://www.bigissue.jp/backnumber/269/






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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。