2018年6月18日、朝の通勤時間帯に大阪の町を襲った大地震。被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
余震への警戒が解けない状態が続いていますが、そんななかにおいてビッグイシューの販売者の安否を気遣うお声も複数いただいています。
美術館の帰り道、中之島でビッグイシューを購入。東京でも見かけると買う。四国では売っていない。
— sue (@sususususue) 2018年6月20日
こんなお手紙が挟まっているの、初めてだった。あの方は、地震大丈夫だっただろうか。無事を祈っています。 pic.twitter.com/juT50pA0WM
おはようございます。大阪にて大きな地震とのことですが、スタッフや販売者の皆様は大丈夫でしょうか?
— 今村 秀未 (@redpig57) 2018年6月17日
ビッグイシューの事務所に来られたり、連絡があったりした販売者だけでなく、携帯電話を持っている販売者に対しても電話で安否確認を行いました。現在のところケガなどをしたという連絡は受けておりません。お心を寄せていただいた皆様、ありがとうございます。
今回の大地震について、販売者の安否確認に加えて、地震発生時の状況や困ったことについてヒアリングをしました。一部をご紹介いたします。
▼販売者A
難波のネットカフェにいました。ネットカフェのビル全体が停電になったので、復旧するまでしばらく待っていました。その間、ドリンクバーを飲めなくなったこと、トイレも利用できなかったので、それが困りました。
(c)photo-ac
→住む家や体を休める場所を持たない販売者にとっては、ネットカフェや公共施設は「体を休め、命をつなぐ場所」です。そこで飲み物やトイレを利用できないということは、他に選択肢のない販売者にとってはかなり深刻な事態となります。
▼サトウさん
販売場所:https://www.bigissue.jp/location/kuzuha/
ビッグイシューの仕入れで梅田の事務所に来ていたところ、地震に遭いました。自分は北海道出身なので、あまり地震を経験したことがなく、今回が人生で一番大きな地震でした。→販売者のことを心配してくださるお客様も多いのですが、サトウさんのようにお客様のことを心配する販売者も多数いました。携帯電話などの通信手段を持っていない販売者にとって、「売り場での対面コミュニケ―ション」が唯一の連絡手段となります。
ふだん枚方の販売場所へは電車で行ってるのですが、全線ストップしてしまったため、販売場所に辿りつけず。スタッフと相談すれば他の売り場に立とうと思えば立てたかもしれないのですが、自分の売り場のお客さんが心配でそういう気持ちにはなれませんでした。『自分は助かったけど、他の人は大丈夫だったのだろうか』という気持ち。そこからは事務所のパソコンで情報を調べたりしつつ、無事を祈っています。
お客さんに連絡をとる手段が無く、現時点で直接的に助ける手立てがないことがもどかしいです。自分のことを心配してくれているかもしれないが、安否を伝える手段がないのも困ったので、明日は絶対売り場に行ってお客さんに無事をアピールしたいです。
もし普段購入している販売者がいらっしゃる方で、販売者が立っているのを見かけた際はぜひ「大丈夫だったよ」とお声掛け頂けると幸いです。
(事務所まで販売場所を明記していただきお手紙を頂ければ、仕入れの際に手渡しも可能です)
▼ナカモトさん
販売場所:https://www.bigissue.jp/location/nakamozu/
売り場に向かう途中、電車の中で地震に遭いました。車内は真っ暗になり地下で止まってしまい、最寄りの駅に降ろされました。そのまま電車は動かず、売り場に行くことはあきらめました。バスで事務所に帰ろうと長打の列に並んでいたんですが、いっこうにバスが来ず、並んでいるときに、普段お話しないような女の子と少しお話しました。いつもより、みんながいろんな人と自然に話せるような気がしました。→普段は「ホームレスの人ってなんだか怖くて話しかけられない」ということが多いのですが、同じように困っている状況においては話しかけ合うハードルはぐっと下がるようで、お客さん以外の通りすがりの方とのコミュニケーションが多かったことに勇気づけられた販売者もいたようです。多くのホームレス状態の人にとっては毎日が不安・不安定です。もし街角で販売者をお見掛けの際は、ぜひお気軽にお声掛けいただけると幸いです。
▼販売者D
販売中に揺れ始めて、電信柱につかまりました。その後は通常どおり、昼過ぎまで販売していたが、まったく売れなかった。→「地震の直後に販売しても売れないのでは?」というお声もたまにいただくのですが、彼らには多くの人々のように、日中待機できる自宅、休める場所があるわけではありません。
その後も継続して販売していたのは、お客さんに無事を知らせたいのもありますが、売り場しか行くとこが無いからです。
地震の後、ビッグイシューの販売者が路上で販売しているのを見かけられた場合、少しでもよいので、温かいお声掛けをいただけると幸いです。
ホームレスの人は地震でも平気?
大地震が起こると多くの人が「ライフラインが止まる」不便さや、「家がなくなってしまうかも」という恐れを感じると思います。「ホームレスの人はもともとそうだから平気なのでは?」と思われがちですが、そんなわけではありません。ホームレス状態の人は、地震の日もそうでない日も、毎日「寄る辺のなさ」を感じ、不便で不安な日々を過ごしています。
地震はもちろんですが、強い雨が降るだけでも大打撃なのです。
「ホームレスの人は努力しなかったんだからそれくらい自業自得でしょ」という厳しいお声も時々拝見しますが、努力をしない人がホームレスになるというわけではありません。(現に、日本国内においてもホームレス状態の人の数は景気によって増減します。これは努力しない人の数が増減しているわけではないのです)
「屋根のある自分の部屋」という安心できる場所を求めて販売者は、ビッグイシューの販売をしています。応援いただけると幸いです。
また、今回は事務所で本棚が一部倒れるなどしたものの、水道や電気が止まることはありませんでした。事務所に辿りつけた販売者は、事務所で飲み物やトイレは利用できておりますが、防災に備えるには事務所が手狭です。
東京・大阪事務所ともにいざというときに販売者が体を休めたり、防災の備蓄ができるくらいの広さの事務所に移転できればと考えております。お心当たりの方はぜひご紹介ください。
求む!オフィススペース
▼ホームレス状態の人のために、あなたにできること(ビッグイシュー日本)
▼ホームレスの人々の自立を応援するには?(ビッグイシュー基金)
ビッグイシュー日本版『震災、防災』関連号
特集:8年目の福島-ふくしまの8人https://www.bigissue.jp/backnumber/330/
特集:防災を文化にする
https://www.bigissue.jp/backnumber/294/
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ビッグイシューについて
ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。
ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。