新型コロナウイルス感染症によって「オンライン授業」の需要がかつてないほど高まった。日本では、ごく一部の学校がオンライン化を急速に進めたものの、多くの学校では早期終息に期待を込めているのか、旧態依然のところが多いようだ。

一方、隣国の韓国ではどうだったのか。韓国では通常3月から新学期が始まるが、2020年3月6日から全国的に学校が閉鎖され、新学期は4月9日からオンラインで始まった。

生徒たちがチャットで挨拶を交わし、朝の出欠確認もオンライン上で行われ、1日の授業が終わると“さよなら”とタイプする日常に。先生やクラスメートとオンラインだけでつながりあう「コロナ禍の学校生活」について、韓国の京畿道(キョンギド)に暮らす高校生3人に話を聞いた。3人は小学校からの友達だが、今は違う高校に通っている。(※インタビューは2020年5月に実施)


チョイ・スージー:外国語専門高校1年生
ガユン・ジュウ:普通高校1年生
チェヨン・ジョン:特殊目的型*の高校1年生 (*韓国には科学、外国語、美術などに特化した高校がある)

その後、5月13日より高校3年生から順次、登校が再開されたが、ソウルを含む首都圏では感染者増加を受け、8月末から約1ヶ月、再びオンライン授業の措置が取られるなどした。

ー 高校のオンライン授業はどのように行われていますか?

チョイ・スージー(以降、スージー):先生が事前に録画した授業を見ています。ほとんどの授業は宿題を提出すると「完了」になります。

ガユン・ジュウ(以降、ガユン):私の学校も同じです。一部の授業は韓国教育放送公社(EBS)のプログラムが使われています。EBSの講座と先生による授業を組み合わせている教科もあります。

*「すべての人がアクセスできる教育」をコンセプトとした公営の教育放送。

チェヨン・ジョン(以降、チェヨン):私の学校は「グーグル・クラスルーム(Google Classroom)」を使っていて、出欠確認にはアンケート機能を使ってます。出席を確認できなければ、担任の先生がモーニングコールをかけてきます。1回、電話がかかってきたことがあります。[一同笑]

ー このコロナ禍で高校に入学した新入生たちはどんな日常を送っているのですか?

スージー:朝起きたらまずは出席にチェックします。8:50までに出席をつけなくちゃだめなんです。授業は9時に始まり、宿題を終えると20時くらい。宿題は24時までに提出しなくてはいけません。

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Photos courtesy Chae-yeon Jeon and Ga-yoon Joo

ガユン:私の学校では出席確認はありませんが、アンケートを提出します。昼休憩は決められていないので、早めに終わる授業があればランチを食べるようにしてます。授業が終わったら、宿題をしたり弟とゲームをしたりです。

チェヨン:私の学校は宿題の量は少ないので、やろうと思えば5分ほどで終わらせられます。出席確認は朝の8:50から始まるので、出席だけつけたら、またベッドに戻ることもあります(一同笑)。授業が終わるのは16:50くらい。終わったら、ごはんの時間です。

ー コロナで休校になると知り、どう思いましたか?
これまでオンライン授業を受けてきていかがですか?

スージー:学校開始の延期が突然決まってがっかりでした。春のスクールキャンプも中止になってしまったし...今はただ、現実を受け止めてますが。

ガユン:対面授業のない高校生活なんてどうなるんだろうって思いました。でも、先生がしっかりフィードバックをくれるので、今のところ大丈夫です。もう今頃にはコロナも終息してると思っていたのですが...まだしばらくは対面授業を再開するよりオンライン授業を続けた方がいいのではと感じてます。

チェヨン:中学と高校ではずいぶん違いますから、学校開始が延期されると知って、とにかくがっかりでした。去年からずっと高校生活を楽しみにしていたのに、いまだにそれがどんなものか知らないんです!(一同笑)。そりゃあ、通学できればよいですが、政府の方針も受け入れなくてはなりません。

ー 通学とオンライン授業では何が一番違いますか?

スージー:ついついだらけてしまいますね。寮生活だったら朝6時半には起床するのに、今は出席確認ギリギリに起きる生活です。

ガユン:制服を着て通学し、教室の席に着く。先生の目もあると生活を整えやすいです。オンライン授業では出席率が半分以下のときもあると先生たちは言ってます。私も友達がどうしてるのか知りません。学校は社会的スキルを身につける場でもあるのに、こんな状況ではそれも難しいですね。職員室を訪ねるのも好きだったのに、そういったことが自分の生活からなくなり残念です。試験勉強のやり方もよく分かってません。

ー 授業内容の理解度や集中力に違いはありますか? オンライン授業だと学習に支障があるのではと心配する保護者もいます。

スージー:内容を理解できてないと授業についていくのも大変です、宿題も難しいですから。理解できているかに関わらずとにかく宿題は終わらせて、「やった感」を味わえるようにしています。それがいいのか悪いのか分かりませんが...。

チェヨン:私は対面授業の方が理解しやすいです。

ガユン:英語の授業にはEBSプログラムが使われています。英語の先生は宿題を送ってくるだけなので、残念ながら、まだ声すら聞いたことがないんです。集中もしにくいですね。

ー オンライン授業の初日、混乱はありませんでしたか?

ガユン:最初にオンライン授業のデモンストレーションがあったんですが、音声がよく聞こえなくて、生徒たちは「出席をつけて!」とチャット上でやり取りしました。「ガユン・ジュウ、出席になってませんよ」と言われて...生徒全員が私の名前を4回以上は聞いたんじゃないかな![一同笑]ある時なんて、出席確認としてチャット上に学生番号を入力したのですが、他の授業に間違えて出席しちゃいました...。

チェヨン:ごたごたしましたね。先生たちもシステムをよく分かってなかったので、生徒たちが使い方を教えてあげる場面もありました。


スージー:ライブ授業で初対面のクラスメートたちとディベートしたことがありますが、すごくやりにくかったです。お題は「大学の義務教育化を実施すべきか?」でした。

ー 最初、担任の先生とはどんなかたちで会ったのですか?

ガユン:最初の挨拶はグループチャットでした。「先生の日*」にも会えませんでした。

*韓国で5月15日は「先生の日」。お世話になってる先生や、かつての恩師に感謝の気持ちを伝える習わしがある。

スージー:私のクラスでは先生への感謝を伝える動画を作成しました。「まだ『先生の日』に間に合うよね。何かした方がいいんじゃない?」って誰かが言い出して。当日の朝、グループチャットに動画をアップしたら、先生もとても喜んでくれました。

ー オンライン授業を受けるにあたって、机の上にはどんなものを用意してますか?

ガユン:ノートパソコンかスマホを使います。韓国史の授業ではノート提出が課題なので、ノートも用意します。美術の授業では、ゼンタングル*みたいな作品を作るための道具も使いました。

*絡み合った線で柄が繰り返される絵

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Photos courtesy Chae-yeon Jeon and Ga-yoon Joo

スージー: TEDトークに関する新聞記事の切り抜きを使うクラスもあります。記事は各自でプリントアウトします。

チェヨン:先生は課題をいっぱいアップするから、印刷ばかりしてますよ!

ー 友達とはどうやってコミュニケーションを取ってますか?

スージー:一度だけ、授業が終わってからテレビ電話したことがあります。よく分かってなかったところを話し合ったりしました。

ガユン:おしゃべりしたかったら電話をかけます。今日の授業はどうだったかなど話してます。

チェヨン:私は家から少し離れた学校に通ってるので、そもそもあまり友達がいません。新しい友だちとはFacebook上で知り合います。

ー 自宅で勉強しやすい環境をつくるのは難しいのでは? 家族の人たちはサポートしてくれてますか?

ガユン:サポートはありません![一同笑]家族がゲームしてる音が常に聞こえてきます。授業中に14歳と10歳の弟たちが「何してるの?」と入ってきたこともあります。

チェヨン:私は大抵、家に一人です。ライブ授業中に飼ってる犬や猫の鳴き声がするときもあります。

ー これまでの課題で印象的なものはありますか?

ガユン:体育のオンライン授業でジャグリング*をする生徒の話を読んで笑ったことがあるのですが、自分も体育の宿題で靴下を使ってジャグリングを披露しました!

*ボールやスティックなどを空中に投げたり取ったりを繰り返す芸。

スージー: 少し前に、「クリエイティブ・エクスペリエンス・アクティビティ」という課題で「サンキュー・チャレンジ*」に挑戦しました。コロナと闘っている医療従事者に関する記事を切り抜いてスクラップブックを作り、感謝のメッセージを手書きしました。

*韓国では医療従事者への感謝を示すため、手話の「ありがとう」のポーズをした写真をSNSに投稿するムーブメントが起きた。 Thank-you Challenge

ー 感染症が終息したら一番何がしたい?

ガユン:学校に行きたいです。私の学校は施設も充実していて、音楽の練習室や新しいタイプの教室、それに庭園もあるんです。

スージー: 楽しみにしていた寮生活を始めたいです。友達と一緒に生活するなんてワクワクします。

チェヨン: 私の学校の制服はかわいいので、制服を着て、学校に行きたいです。あと、体育祭もしたいし、遠足にも行きたい。

ー 2020年をやり直せるなら、どのタイミングに戻りたいですか?

ガユン:パンデミック前にヨーロッパを旅行したのですが、こんなことになると分かっていたら、もっと楽しんでおけばよかったなと思います。

スージー: 私は過去には戻りたくありません。9月に新学期が始まるのが楽しみです。

チェヨン:記憶系のテスト勉強を頑張ったのに、中間試験が延期になり...せっかく覚えたことも全部忘れちゃいました![一同笑]あの頃に戻って、韓国語や英語の勉強をもっと頑張りたいです。

ー 今後はオンライン授業がもっと“普通”のことになるかもしれません。未来の生徒にどんなアドバイスをしたいですか?

チェヨン:インターネット環境に恵まれるといいですね!

ガユン:いろんなことが成績評価に影響します。授業にまじめに取り組むのはもちろん、先生からモーニングコールがかかってくる前に出席をつけることも忘れないで!

スージー:オンライン授業がもっと当たり前のことになれば、みんなうまくやっていけると思います。私たちよりもずっとスムーズにね。

By Soo-Yeon Hwang
Translated from Korean to English by Kelly Kim
Courtesy of The Big Issue Korea / INSP.ngo

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