この度、英国『ビッグイシュー・ノース』がニュースアプリ「ストリート・ニュース」をリリースした*1。社会弱者たちが直面している諸問題、ならびに当事者の声をスマートフォンに直接届ける新たな取り組みだ。
Photo courtesy of Big Issue North
アプリで提供するコンテンツは、『ビッグイシュー・ノース』本誌の記事のほか、国境なき医師団やセーブ・ザ・チルドレンといった社会事業団体からの情報、国際ストリートペーパーネットワーク(INSP)に加盟している他国のストリートペーパー記事など。「ストリート・ニュース」という名称は、かつてニューヨーク市で販売されていたストリートペーパー『ストリート・ニュース』に由来する*2。米国各地および英国のストリートペーパー発刊の先駆けとなった存在だ。
*1 参照:Street News: Global stories, local impact
*2『Street News』は1989年からニューヨーク市のホームレスの人たちが販売したストリートペーパーで、現在は活動終了。
アプリの提供により、世界の“隅々”から寄せられた大切なストーリーを、英国北部のコミュニティ内だけでなく、世界の人々の手元に届けられる。所得の機会を得ることで困窮者の自立を支援するというストリートペーパーの使命を引き継ぎつつ、事業の幅をさらに広げていくことを目指す。
アプリのダウンロードは無料で、毎月5記事まで購読できる。月額4.99ポンド(約650円)のサブスクリプションに加入すると、無制限で記事を読める。売上はすべてビッグイシュー・ノース基金が管理し、販売者の生活環境を改善する資金に充てる。
「普通なら光が当たらない人々にまつわる、強く心を打つ分析、新たな洞察、本物のストーリーを読者に届けます。最近では、米テネシー州ですすめられているホームレスの人々が入院後に入居できる住宅プロジェクトの話、英国の食の貧困がコロナ禍でさらに悪化している状況の記事などです」とアプリ開発チームメンバーは語る。
編集者のケビン・ゴパルも「アプリ参入は大きな転換点になります。アプリ購読により、世界各地の人々がぶつかっている諸問題に意識を向けるチャンスになりますし、当事者が自分たちの声を届けられる場にもなります。そしてそれが、ここ英国北部でポジティブな変化を起こしていくという弊誌の方針を強化することになるでしょう」と語った。
「『ビッグイシュー・ノース』誌を購入したことのない人たちにも、あまり取り上げられることのない社会的弱者にまつわるストーリーを伝え、問題への理解を促せる。グローバルなストーリーを届けることで、ローカルの変化を支援できる新たな方法です。」
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By Tony Inglis
Courtesy of INSP.ngo
*ビッグイシュー日本の取り組みは?
ビッグイシュー日本は、2012年より無制限・無料で閲覧可能な『ビッグイシュー・オンライン』(本サイト)を運営。2019年からはオンライン・サポーター制度を開始。国際記事の翻訳費用のカンパを募り、2021年9月現在延べ200人がサポーターとして参加。本誌に載せきれない各国のニュースを翻訳・掲載し、ビッグイシューの認知拡大を図っている。オンライン・サポーターについて
https://bigissue-online.jp/archives/onlinesupporter.html
**新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急企画第7弾**
2021年9月4日(土)~2021年11月30日(火)まで受付。
販売者からの購入が難しい方は、ぜひご検討ください。
https://www.bigissue.jp/2021/09/20562/
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ビッグイシューについて
ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。
ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊450円の雑誌を売ると半分以上の230円が彼らの収入となります。