ビッグイシューでは、ホームレス問題や活動の理解を深めるため、高校や大学などで講義をさせていただくことがあります。
今回は関西学院大学のソーシャル・アントレプレナーの授業にお伺いしたのですが、その授業の中で西宮北口の販売者、近藤さんが販売者になった経緯ややりがいなどについて、販売サポートスタッフとかけあいの形で学生の皆さんに話をしました。


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Q:普段どこで販売をしていますか

西宮北口のアクター前の通路です。 気候や体調にもよりますが、だいたい毎日朝10時から18時まで販売しています。

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Q:ビッグイシューとの出会いは?

まだ会社員だったころに何度か大阪駅で販売者を見かけていたので、存在は知っていましたが、当時は全く自分と関係ない存在だと思っていました。
ホームレス状態になるなんて、夢にも思っていませんでしたから。

でもホームレス状態になったあと、家賃はかからないとはいえ最低限の収入は必要なので、ホームレス状態でもすぐに現金が手に入る仕事がないかと探していた時に、ビッグイシュー販売者を見かけて、やってみようと思って、連絡先を調べるためにビッグイシューを1冊くださいと話しかけました。すると、そのときの販売者は「販売者になりたいのであれば雑誌は買わなくていいから」といって、事務所の電話番号を教えてくれたんです。

Q:ビッグイシュー販売を始めた頃の気持ちは?

それはもう、顔から火が出るくらい恥ずかしかったです。
人によっては上から下までジロジロ見る人もいて。今でもやっぱり恥ずかしさに完全に慣れることはありません。

Q:ビッグイシューを売っていてうれしいことはありますか?

やはり常連さんの励ましですね。100人以上の常連さんがいるのですが(※と言うと学生さんの中にはそんなに!と驚く声が上がっていました)、お客さんと世間話したりする、ふれあいの時間は楽しみにしています。
もちろん関西学院大学の学生さんもいらっしゃいますよ。

Q:お客さんとどんな話をされているのですか?

挨拶程度の方もいれば、人間関係の悩みを話す方もいらっしゃいます。
また、周囲には言いづらいお話なのか、お子さんについての自慢話を思い切りされる方もいらっしゃいます。長い人は数時間、中には半日くらいお話される人もいますよ。


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Q:逆に大変なことはありますか。

西宮北口の売り場は、デッキの上なので風が強く、木がしなるくらいなんです。六甲おろし(※六甲山系から吹き下ろす強風のこと)をまともに受けているようなもので、体力を奪われるのが大変ではあります。

Q:販売で気を付けていることはありますか。

ビッグイシューの仕事は、常連のお客さまに支えられています。
そのため、一人ひとりのお客さまに失礼のないように、また来ていただけるように、「不快感を与えない」ということには気をつけています。
長い付き合いをさせていただくつもりで、受け答えを丁寧に、また、髭はきちんと剃るなど清潔感にも気を配っています。

Q:学生さんへのメッセージをお願いします。

皆さんはまだ若く、これからの方々ですよね。
「何が好きで何をやりたいか」ということを、追求されるとよいと思います。
「こうであらないといけない」という心の枠、制限を取り払ってしまって、本当に興味のある仕事に出会えますように。


「お客さんとは長い付き合いになる、と思って丁寧に接している」と話す近藤さん。
有志の学生から授業後に質問を受けていた際も、穏やかに、にこやかに、そして丁寧に回答している様子から、学生さんたちも、近藤さんに常連さんがたくさんついていることにも納得されていたようでした。

講義の中で近藤さんは、企業の正社員からホームレス状態に陥った経緯など、学生さんに「他人事ではない」と感じてもらう話もされていました。

ビッグイシューの出張講義、承ります。

ビッグイシューでは、高校・大学その他の団体に向けてこのような講義を提供しています。
日本の貧困問題、社会的排除の問題や包摂の必要性、社会的企業について、セルフヘルプについて、若者の自己肯定感について、ホームレス問題についてなど、様々なテーマに合わせてアレンジが可能です。
高校生には50分、大学生には90分講義、またはシリーズでの講義や各種ワークショップなども可能です。ご興味のある方はぜひビッグイシューまたはビッグイシュー基金までお問い合わせください。






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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。