ビッグイシュー日本は、世界各地のストリートペーパーが国際的にネットワーク化されたINSPという組織に所属している。INSPに所属するストリートペーパーどうしで、お互いに記事を融通したりストリートペーパー事業の情報交換をしたりで支え合っているのだ。

そのため、ビッグイシュー日本版の本誌や、ビッグイシュー・オンラインでも様々な国際記事を扱うことができている。その裏側を支えているのは、「表現」に真摯に向き合う翻訳者の皆さん。今回は、2017年からビッグイシュー本誌、ビッグイシュー・オンラインの翻訳で活躍する西川由紀子さんに話を聞いた。
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西川由紀子(にしかわゆきこ)
大阪府出身。日本IBM(東京)でITエンジニアとして働き、青年海外協力隊としてベリーズにてIT支援活動を行う。帰国後、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科修了。IT企業の社内翻訳者を経て、2012年よりフリーランスの翻訳・通訳者に。2017年よりビッグイシュー日本版、ビッグイシュー・オンラインの翻訳および翻訳監修担当としてジョイン。
http://groovyyukiko.com/


ビッグイシューの仕事をするまでは?

新卒で入った会社は外資系でしたが、それほど英語を駆使する業務ではありませんでした。海外で暮らしてみたい思いを抑えきれず、休職して青年海外協力隊に参加、中南米ベリーズの政府省庁で2年間IT支援活動に従事しました。生活も仕事も英語漬けの環境でしたが、あくまでサバイバルイングリッシュのレベルでした。

帰国後、途上国生活での強烈な経験を整理すべく大学院へ。異文化コミュニケーション学を専攻するかたわら、通訳学校で英語のブラッシュアップに励みました。卒業後は地元の大阪に戻り、数年間、派遣で英語を使える人材として企業勤めした後、2012年にフリーランスになりました。

去年、旧友から「ビッグイシューで翻訳者を募集してるよ」と教えてもらい、自分の翻訳を多くの人に読んでもらえる出版やメディアに興味があったので、またビッグイシューは自分でもたまに購入していたので、ふたつ返事で引き受けました。その後、トライアルを経て、翻訳の仕事をレギュラーで受けるようになりました。現在は翻訳に加え、他の翻訳者の訳文の監修も担当させてもらっています。

西川さんの翻訳スタイルについて教えてください。

まず最初に、原稿の英文を辞書は使わずに通して読み、全体の流れを把握します。(この時の読後感があとで生きてきます!)その後、パソコンに向かって、1文ずつ丁寧に、1語の意味も漏らさないような気持ちで日本語にしていきます。だいたい1日1ページくらいのペースで、雑にならないよう心がけています。ひと通り日本語になったら、次は英語と日本語のあいだを行き来しながら、ひたすら日本語の文章を読みやすく整えていきます。最後に、日本語の文章だけを読んで、日本語として引っかからずリズム感をもって読めるよう微調整していきます。

だいたい、ひとつの記事を7~10日くらいのペースで仕上げています。気分に合わせて自分のパフォーマンスが出やすい場所や時間帯を選んで作業できるのはフリーランスのメリットですね。

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ビッグイシューの翻訳の仕事、魅力は何でしょうか?

なんといっても、記事がおもしろいことです!(※かなり力がこもる)世界各地のストリートペーパーにすでに掲載された記事なので、文章としての完成度は高いですし、読み物としてのクオリティも高いので。翻訳作業を通して自分の英語表現や知識の引き出しがぐんぐん増えていくのを感じています。

また、記事で扱われるテーマの広さも魅力です。セレブのインタビューから時事問題、環境、経済、アートまで、「ホームレス問題」を軸にしながらもその切り口は幅広く、翻訳を通して多くのことを学ばせてもらっています。

ビッグイシューに関わってまだ半年ほどですが、この期間に20本以上の記事を翻訳し、着実に「翻訳筋肉」がついていることを実感しています(笑)。翻訳者として圧倒的に成長できていると思います。ビッグイシューの翻訳者であることがフリーランスとしての経歴に箔がつくことも、この半年の実感です!

どんな人がビッグイシューの翻訳者に向いていると思いますか?

英語が得意で英文を正しく理解できることはもちろんですが、多くの読者に翻訳を感じさせずスムーズに読んでもらえる文章にしなくてはいけないので、アウトプットする日本語でも文章の読み書きが好きな人が向いていると思います。

また、ある特定のジャンルを極めたいという人よりも、「世界事情に触れていたい人」「知らないことを知ることに喜びを感じる人」知的好奇心の強い人がいいと思います。ある英語のフレーズひとつとっても、どういう背景でそれが言われたのかで日本語のニュアンスは変わってきます。その発言をした人の他のエピソードなど、原稿には書かれていない背景事情のリサーチもそれなりに時間がかかります。そうした「周辺の調べもの」が苦にならないことも大切だと思います。

ビッグイシューの翻訳に興味のある方に一言お願いします

ビッグイシューはいわゆる「商業主義」ではなく、ホームレスの方たちの生活再建サポートを目的とした媒体です。ホームレスの人が売るからこそ上質の誌面でなければならない、が元祖・英国ビッグイシュー誌が掲げるコンセプトだと聞きました。ビッグイシューの記事翻訳を通して知ることは、人として生きるうえで一切無駄がないと感じています。

そんな「世界とつながれる翻訳」に興味を持っていただけたら、まずはチャレンジしてみてほしいです。日本では知られていないストーリーが世界にはたくさんあるのですから。

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西川さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!
ビッグイシュー日本では翻訳というフィールドで力を貸してくださる方を募集しています。

翻訳者募集概要

ビッグイシュー本誌、ビッグイシュー・オンラインに掲載される海外のストリートペーパーの記事を翻訳する業務です。
在宅勤務が可能な業務ですが、大阪・東京での面談があります。(遠方の場合、オンライン面談も可)
詳細・応募はこちら
https://www.bigissue.jp/2017/08/943/







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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。