8月21日〜24日に、イギリス・マンチェスターで行われた国際ストリートペーパーネットワーク(INSP)主催の年次総会「グローバル・ストリートペーパー・サミット2017」。ビッグイシュー日本のスタッフも参加したこのINSPサミットの様子をレポートいたします。


 マンチェスターで開催された「グローバル・ストリートペーパー・サミット2017」では、徹底的なディスカッション、教育セッション、心揺さぶるプレゼンテーションなどのプログラムが用意された。

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会議2日目、サミット会場であるブリッジウォーターホールでは、所得格差の社会的影響について衝撃的な事実とデータを提示した著書『The Spirit Level: Why Greater Equality Makes Societies Stronger』(『平等社会 経済成長に代わる、次の目標』東洋経済新報社)で知られる公衆衛生学者・経済学者のリチャード・ウィルキンソン教授が、127名の参加者を前にすばらしい基調講演を行った。

(編集部注: 教授は同著の中で、所得格差の大きな社会では、高・中・低所得すべての層において人々の健康が損なわれ、寿命を縮める結果になることを、豊富なデータによって立証した)


自身の研究結果をさらに深めるかたちで、より平等な社会が貧富格差の大きい社会よりもいかに幸せな状況にあるかを明快に解説した。殺人発生率、相互信頼率、それらの所得格差との相関関係についての研究データを繰り返し表示しながら、社会問題は社会階層の底辺の人々だけでなく社会の大部分の人々に影響を及ぼすと力説した。

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格差が大きくなった社会では、コミュニティ活動が衰退します。つまり、人々は互いに気を配らなくなるのです。
ウィルキンソン教授は説明する。
私たちがどこまで他人と隔絶した生活になるかどうかは、自分と相手との所得の違いに大きく関係していると言えます。
日々、ストリートペーパーの販売者や、教授の研究テーマである「社会格差」の影響を被ってホームレスとなった人々と関わっている参加者は、彼のスピーチに熱心に聞き入っていた。

各国のストリートペーパーのスタッフによる感想

ビッグイシュー・ノース(http://www.bigissuenorth.com/)
※イギリス・北イングランドのストリートペーパー
イングランドとウェールズの成人のうち、10人に4人は何も資産を持っていないにもかかわらず、10人に1人は別荘を持っているなんて


ストリートワイズ(https://www.streetwise.org/
※アメリカ・シカゴのストリートペーパー
所得格差がどう社会に影響を及ぼすかという、ウィルキンソン教授の説明が非常に興味深かった


BISS(http://biss-magazin.de/
※ドイツ・ミュンヘンのストリートペーパー
ウィルキンソン教授によると、各国での税は公正な社会のために重要とのこと


ストリートシート(http://www.streetsheet.org/
※アメリカ・サンフランシスコのストリートペーパー
友人がいるかどうかは、タバコを吸っているかどうかと同じくらい、健康にとって重要なんだ


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最後の質疑応答で、こうした問題への解決策を聞かれた教授はこう言った。
まずは富裕層が自分たちの財産をタックスヘイブン(非課税地域)に隠し持つことをやめさせるべきです。
ウィルキンソン教授の基調講演動画(完全版)


(Tony Inglis/ www.INSP.ngo)

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INSPサミット報告その3に続く







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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。