2017年8月21日〜24日に、イギリス・マンチェスターで行われた国際ストリートペーパーネットワーク(INSP)主催の年次総会「グローバル・ストリートペーパー・サミット2017」。ビッグイシュー日本のスタッフも参加したこのINSPサミットの様子をレポートいたします。
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INSPグローバル・ストリートペーパー・サミットのハイライトの一つが、「INSPアワード」の授賞式だ。
INSPサミットでは、各々の国での誌面づくりや販売サポートについての意見交換だけでなく、この一年間の優れた記事や取り組みに対して「INSPアワード」が贈られ、煌びやかな授賞式の場で、その栄誉が称えられる。

2017年のINSPアワードでは、ジャーナリストを中心とした審査員による選考を経て、ベストカバー賞、ベストプロジェクト賞など11部門の受賞者が発表された。

ベスト・ニュース・フィーチャー賞~最も優れたニュース記事~

受賞者:スイス『サプライズ』

INSP1

「難民のカップル、再会と結婚実現のための闘い」
ライター:ドミニク・ガリカー  写真:ジュリエン・グレゴリオ
スイスのストリートペーパー『サプライズ』のドミニク・ガリカー記者は、ある難民のカップルに密着取材した。
2015年12月、イエメンからの難民ライラと、モロッコ人のトーフィクは、結婚の手続きに必要な書類を取りにベルンの入国管理局を訪れた。ところが、二人の幸せなムードとは裏腹に、不法滞在の容疑でトーフィクは逮捕、強制退去となり、離れ離れになってしまう。
二人の再会を願う記事は、多くの読者の関心を惹き、読み手をつかむような巧みな構成は、審査員から高い評価を受けた。

ベスト・カルチュラル・フィーチャー賞~最も優れた文化記事~

受賞者:アメリカ『ザ・カーブサイド・クロニクル』

INSP2

「最後の晩餐:死刑囚の最後の食事から見える彼らの人生」
ライター:ウィットリー・オコナー
アメリカ・オクラホマのストリートペーパー、『ザ・カーブサイド・クロニクル』は世界的な写真家であるヘンリー・ハーグリーブスによる、刑務所内での“最後の晩餐”の写真特集を掲載した。宗教や思想に基づいて提供される死刑囚へのさまざまな食事から、人間の尊厳や人権について向き合った記事が、審査員に高く評価された。

ベスト・フォトグラフ賞~最も優れた掲載写真~

受賞者:アメリカ『リアルチェンジ』

INSP3

「スタンディングロック・スー族の抗議」
写真:アレックス・ガーランド
アレックス・ガーランドによる、「ダコタアクセス・パイプライン」建設予定地での一枚。馬に乗り、辺りを見渡すフランク青年と、その後ろで逆さに向けられた米国国旗が、ネイティブアメリカンと政府との対立を表している。先住民の居住地を通過する同パイプラインは、環境汚染が問題視されている。審査員は写真に込められた力強いメッセージ性と、写真の色合い、そして静かに読み手に語りかけるこの一枚を好評した。

ベスト・カバー賞~最も優れた表紙デザイン~

受賞者:セルビア『LICEULICE』

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セルビアのストリートペーパー、『LICEULICE』は、国内で最も深刻な社会問題の一つであるにも関わらず、軽視されがちなドメスティック・バイオレンスをテーマにした表紙を作成した。路上で目を惹き、かつ人々に勇気を与えるようなデザインが高く評価された。

ベスト・デザイン賞~最も優れた誌面デザイン~

受賞者:メキシコ『Mi Valedor』

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メキシコのストリートペーパー『Mi Valedor』は、イラストやテキストを含めた誌面全体で、メキシコの路上のイメージを表現している。毎号新しいイラストレーターやデザイナーを起用して、ユニークで他にはない雑誌づくりを行っており、その質の高さが審査員から評価された。

INSPスペシャル・ニュース・サービス賞~最も多くのストリート・ペーパーに翻訳・転載された記事~

受賞者:イタリア『Scarp de’tenis』

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「人は、どんな相手に対しても、人道的に公平に接さなくてはなりません」
ライター:ステファノ・ランペルティコ
イタリア・ミラノのストリートペーパーによる、教皇フランシスコへの独占インタビューは、12カ国・25誌以上に転載され、この1年で最も多くのストリートペーパーに掲載された記事となった。インタビュアーのステファノが表彰された。

ベスト・ベンダー・コントリビューション賞

~ストリート・ペーパーに掲載された、販売者によるエッセイ、詩、絵画などの中で、最も優れた作品~

受賞者:アメリカ『ザ・カーブサイド・クロニクル』

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「癒しの技法」
語り:チャジー・デイビス  編集:マーティ・ピーアシー
『ザ・カーブサイド・クロニクル』の販売者であり、写真家でもあるチャジー・デイビスは自身の精神状態やセラピーフォトの効用、そしてホームレスであっても美しいものを表現することの大事さを、誌面を通じて語った。審査員は、逆境の中でも多くの人を惹きつける才能があるとして評価した。

ベスト・オンライン・プレゼンス賞~最も優れたオンライン上の取り組み~

受賞者:メキシコ『Mi Valedor』

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『Mi Valedor』は、Facebook、Twitter、そして公式ウェブサイト上で、販売者のストーリーを彼らの販売場所と合わせて公開しており、読者はそれらの記事や情報をオンラインでシェアすることができる。また、インスタグラムでもハッシュタグを活用して、雑誌を購入した時に拡散しやすいように工夫している。
Website: www.mivaledor.com
Twitter: @MiValedorMX
Facebook: @mivaledor
Instagram: @mivaledor

ベストプロジェクト賞~最も優れたプロジェクト~

受賞者:アメリカ『ストリート・シート』

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「路上の声を伝える投票ガイド」
アメリカ・サンフランシスコのストリートペーパー『ストリート・シート』は、路上生活者に寄り添った選挙キャンペーンを行った。20のホームレス支援団体や、ホームレス当事者への取材を通じて、彼らが必要としている政策と、各候補者が掲げている施策をそれぞれまとめ、8ページの投票ガイドを作成。およそ5万部を各家庭に届け、路上の声を政策に反映させるための一助となった。

ベストブレイクスルー賞~最も大きな難題に取り組んだストリートペーパー~

受賞者:デンマーク『ハス・フォルビ』

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「新しい販売パートナーの開拓」
デンマークの『ハス・フォルビ』は、販売者に雑誌の受け渡しを行うディストリビューション・パートナーを40団体にまで増やした。地域の薬物依存の回復施設などと協働するこの仕組みは昔からあったが、資金集めでの連携や販売者とパートナー団体同士の経験の共有によって、ここ数年で飛躍的にパートナー団体が増えた。

ベストキャンペーン賞~最も優れたキャンペーン~

受賞者:『ビッグイシュー・オーストラリア』

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「創刊20周年キャンペーン」
2016年に創刊20周年を迎えた『ビッグイシュー・オーストラリア』は、記念号の発刊やソーシャルメディアのキャンペーンなど、様々な形で1年間を祝った。記念号は2週間で約3万部を販売。創刊記念イベントには、著名人からのビデオメッセージなどが寄せられ、その様子を紹介したSNSはおよそ100万人にリーチした。
(Craig Laurenson/www.INSP.ngo)

INSPサミット報告その5は後日公開予定

INSPサミット報告その1
INSPサミット報告その2
INSPサミット報告その3



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