毎日、暑い日も寒い日も、自立を目指して路上に立つビッグイシューの販売者。
ホームレス状態である彼らは、普段の生活においてどんなことに困っているのでしょうか。
「ホームレス状態で困ること」のいくつか代表的な例と、それを支えてくださる人々をご紹介します。


困りごとの例1)散髪

ビッグイシュー販売をするうえで身だしなみはとても大切。
でも、なかなか散髪をする金銭的余裕もなければ、美容院や床屋に行くことに心理的なハードルを感じてためらう販売者もいます。
そこで活躍しているのが、「散髪」をしてくれるプロフェッショナルの皆さん。
2・3ケ月に1度、プロの美容師さんに事務所に来ていただき、希望する販売者のヘアカットをしていただいています。

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東京事務所・大阪事務所でそれぞれ、美容師の方にボランティアに来ていただいています。
散髪を済ませた後の販売者は、みんな本当にいい笑顔!

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すっきり♪

散髪したな、と思う販売者がいたら、お気軽に「すっきりしたね!」とお声掛けください。

困りごとの例2)清潔・身だしなみ

ビッグイシュー販売をするうえでは、清潔感もとても大切です。
でも、家がないということは、洗濯機もないということ…。
それならば「コインランドリーを利用すればいいじゃない?」という声もあるかもしれませんが、洗濯する間に着る服のスペアを収納する場所もないので、着替えを何枚も持つとコインロッカー代がかさんでしまいます。

そこで、特に梅雨や夏の着替えがたくさんいる季節や、かさばる冬の防寒具が必要な時季にあわせて、NPO法人ビッグイシュー基金が募集する衣類の提供を受けています。全国の有志の皆さんから集まった衣服は、種類やサイズごとに分類され、大阪・東京の事務所で自由に選べるようになっています。

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全国から集まって来る衣服は色もデザインもそれぞれなので、基金の定例サロンではカラーコーディネートの講師の方を招いて『カラーコーディネート講座』開催、女子高生ボランティアがコーディネートをアドバイスしてもらったこともあります。

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2017年の定例サロンの様子。
女子高生ボランティアのアドバイスによりおじさんたちがちょっとかわいくなりました。

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基金10周年の東京の小さなパーティでは「BIG ISSUE」Tシャツをテーマにしたファッションショーを行いました。布団で寝ることすらままならない彼ら、たまにはこういうハレ舞台も必要です。

困りごとの例3)病院、病気予防

路上での生活が長引くとどれだけ体が丈夫な人でも、体調を崩してしまうものです。しかし、保険証がなかったり、薬を買うお金がなかったりと、すぐに医療にアクセスできる環境にありません。そこで、元看護師のボランティアさんや医師による相談日を設けたりして、体調に関して少しでも不安なことがあれば相談できる環境を整えるようにしています。
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その上で、病院にかかるべき状況であれば、無料低額診療の枠組みや福祉の制度を活用して、お金がなくても受診できるようにつないだりしています。

困りごとの例4)腰痛

どれだけ暑い日も寒い日も、長時間立ちっぱなしであっても、布団で眠れることはめったにない販売者たち。
早朝出勤するお客さんや、会社帰りに寄ってくださるお客さんもいるため、12時間近く立ち続ける販売者も中にはいます。そのため腰痛などの症状を訴える人も少なくありません。
そんな販売者のために、マッサージや整体などのボランティアさんが、体のケアをしてくださることがあります。また、日々のセルフケアの方法についてレクチャーなどの実施をしていただくこともあります。

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困りごとの例5)自己肯定感

「自分に自信が持てない」と落ち込んでしまう販売者もいます。家を失う過程や、長期間の不安定な生活の経験から、体も心も疲れがちになること、そして、帰る家がないのと同時に、頼れる家族や友人を失ってしまった人も少なくありません。そのなかで、自分で自分を励ますのはとても困難なことです。そんな販売者のために、「コーチング」という手法を用いて元気づけてくれるボランティアもいます。



*ビッグイシューでは、プロボノとして技能を生かして販売者や事業を応援してくださる方を募集しています。詳細、お問い合わせはこちら

その他、ホームレス状態の方への支援となるボランティアも随時募集しています。
「何ができるかわからないけど、自分にできることはあるかな?」という方も大歓迎。
東京と大阪での毎月1回ボランティア説明会ほか、各種イベントでスタッフにお声掛けください。興味のある方はぜひご都合のつくときに気軽にご参加ください。イベント一覧はこちら



次回の記事では、「コーチング」その他で販売者をサポートしてくれている和氣さんのインタビューをご紹介いたします。






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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。