ビッグイシューの出張講義でスタッフが販売のしくみを解説すると、参加者から「しくみはわかったけれど、そもそもビッグイシューの販売者はどのようにビッグイシューの存在を知るのですか?」と聞かれることがあります。
そこで今回は、販売者と接することの多いビッグイシューの販売サポートスタッフに確認し、販売者が「ビッグイシューを知ったきっかけ」で多いものを紹介したいと思います。

「知人・友人の紹介」
都市部で路上生活を始めると、どこで炊き出しがあるのかなど生きるための情報を教えてくれる親切な“先輩”がいるようです。その流れで、仕事がしたい…と相談すると、他のビッグイシュー販売者が「こんな仕事をしているよ」と紹介することもあれば、「こんな仕事もあるようだよ」と、未経験者からも口コミで紹介されることがあるようです。
「路上で販売者を見て」
「ホームレスになる前にビッグイシュー販売者を見かけたことがあった。そのときは自分と関係ないからと気に留めていなかったけれど、ホームレスになって思い出した」という人もいれば、ホームレスになってから「あの仕事ってやっていけるのかな」と気になり、販売者に声をかけて教えてもらうというケースもあるようです。
それぞれの販売者はあらかじめビッグイシュー日本と決めた場所での販売となり、他の販売者が増えても競合することはありません。そのため、困っている人に声をかけられると、どんな仕事かをレクチャーし「ここに連絡しなよ」と連絡先を教える販売者もいれば、事務所まで案内する販売者もいます。
「インターネットで見て」
「ホームレスの人がインターネットなんてできないのでは?」と思われがちなのですが、路上生活を始めても情報の命綱であるスマホだけは手放していない…という方は多くいます。またスマホを持っていない人でも、ネットカフェを利用する時にインターネットで情報収集する人もたくさんいます。 そうしてスマホやネットカフェで炊き出しについての情報や路上生活から脱出する情報を収集するうちに、ビッグイシューのことを知る人もいます。
中には下記のようなYouTube投稿でビッグイシューのことを知った、という方も。
「路上脱出・生活SOSガイドを見て」
NPO法人の「ビッグイシュー基金」が発行する、路上生活者や生活困窮者のための情報をまとめた冊子が「路上脱出・生活SOSガイド」です。炊き出し情報のほか、お金がなくても泊まれる場所、医療を受ける方法などが紹介されています。
夜回りなどでの配布のほか、東京、大阪のガイドは、路上生活の方でも手に取りやすいよう、公共図書館などにも配架しており、そこで気づいて手に取る方もいます。
参考:図書館で見つけた「路上脱出・生活SOS ガイド」がきっかけになったNさんの例
「路上脱出・生活SOSガイド」は、送料のみのご負担でお送りしています。まわりにお困りの方がおられたら、配布や情報提供にご協力いただけたらうれしいです。
「路上脱出・生活SOSガイド」※インターネット版もあります
「アウトリーチで」
支援が必要であるにもかかわらず届いていない人に働きかけることをアウトリーチと言います。有限会社ビッグイシュー日本・NPO法人ビッグイシュー基金でも、夜回りや炊き出しでアウトリーチをすることがあります。
困りごとがないかを聞いたり、仲間づくりや気晴らしのための運動の機会の案内をしたり、夜間、野宿している人に食料や生活用品を配布したり。
相手のニーズに合わせて情報を提供し、生活保護が必要な方には申請に同行することも。住所も貯金も保証人もいないけれど、生活保護ではなく仕事をしたい・・という方にはビッグイシュー誌の販売などについて情報提供することもあります。
「テレビで見て」
ビッグイシューについてテレビなどで紹介されることがあり、それをご覧になった方が問い合わせて来られることもあります。他のメディアで紹介されることにより、当事者にとっては問い合わせのハードルが低くなるのでたいへんありがたいです。
「その他」
ビッグイシューのほかにもさまざまなホームレス・困窮者支援団体があります。そうした他の支援団体から紹介されるケースもあります。
- NPO法人釜ヶ崎支援機構(大阪府大阪市西成区)
- その他市役所など
このように、人によってビッグイシューを知るきっかけはさまざまです。「アウトリーチ」をすることで、より多くの支援を必要な人に声をかけることができます。
また、東京・大阪事務所では販売者をサポートするインターンを随時募集しています。販売者のサポートに興味のある方は、ぜひご検討ください。
https://www.bigissue.jp/news-category/recruit/