節約したいと願うほど、「安いから」「お得だから」という理由でつい多めに買ってしまうことや、それを食べきれずに捨ててしまったこと、外食や飲み会で注文した料理を食べきれずに残してしまった経験は、1度はあるのではないでしょうか。また、「お中元・お歳暮」文化のあるコミュニティでは、いただいた贈りものを食べきれずに困っているケースもあるかもしれません。

個人では上記のような理由で、また、食品関連の業界では、「売り切れることによる機会損失」を恐れるあまり、余ったものは廃棄する前提で多めに仕入れるというやり方もよく見られます。



 そんな事情が積み重なり、日本では年間9千万トンの食糧資源のうち、3千万トンが廃棄され、しかもそのうち500~800万トンが「食べられるのに捨てられる」食品と言います。
10月15日発売のビッグイシュー日本版321号では食のSOSに取り組む全国の「フードバンク」を特集しています。

「フードバンク」とは廃棄されるはずの食品を福祉施設や生活困窮者支援の団体などに提供する活動

米国発の「フードバンク」は、賞味期限の迫る食品を企業から引き取り、福祉施設や生活困窮者支援の団体などに提供する市民活動のことです。
2002年に日本初の「フードバンク」が東京で誕生して以来、現在全国で80カ所以上に広がっています。

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特集では各地のフードバンクの様々な挑戦を通して、私たちがどのようにかかわればよいかを探っていきます。

フードバンクの活動事例1
企業や個人から受け付ける年間200トンの食品を、必要な人の元へ届けて14年。「フードバンク関西」

事業所から出る食品ロスの原因は「賞味期限の決め方」や食品流通業界の商習慣である「3分の1ルール」にあるという「フードバンク関西」理事長の浅葉めぐみさん。

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食品ロスの原因詳細は本誌を参照頂くとして、世界のフードバンク活動の話を聞くと驚きます。
米国は大規模なフードバンクが約200団体あり、年間取扱量は約200万トン。
国が運営資金の約3分の1を支援し、貧困層への食糧配布を任せるなど、福祉のしくみの一つになっています。事故の際の免責の制度もあります。
フランスでは大型スーパーマーケットに売れ残った食品の廃棄を禁止し、寄付を義務付け。
韓国では官製の中央フードバンクを核に、各県に一つずつ広域フードバンクを設立。
さらに社会福祉協議会が担う基礎フードバンクを設け、生活保護を補完する現物支給として食糧を配布。
食品メーカーが余剰商品を寄付することを促す法律や、事故発生時は国家賠償するという法律も整っている
翻って日本では、フードバンクの活動を支える法整備は何もありません。
そんな状況において、時間給400円の有償ボランティア5名以外の65人は無償のボランティアが出庫管理、仕分け、配送を担当しているそう。
届け先の主な柱は福祉団体・施設への食品の無償配布ですが、生活困窮の一般家庭や母子家庭、子ども食堂支援も行っています。
これからの展望についても熱く語っていただいているので、ぜひ本誌をご覧ください。
フードバンク関西
2003年4月、兵庫県芦屋市で米国出身のブライアン・ローレンスさんが立ち上げ、大阪市内のホームレス支援団体に食糧配布を開始。07年、NPO法人化。現在、70人のボランティアが携わり、62社から届く食品を106カ所へ配送。活動を支える賛助会員を募集中。
https://foodbankkansai.org/
寄付振込先:郵便振替口座 00940-4-221867
口座名義 特定非営利活動法人フードバンク関西

フードバンクの活動事例2
夫からのDV、離婚で貧困状態になったことをきっかけに、きめ細やかな支援活動「フードバンクかわさき」

夫からのDVを受けて二人の子どもを連れて離婚し、貧困状態になった経験を持つ高橋さんは、DV被害者支援をするなかでフードバンク活動も開始。

foodbank_2

「虐待されて家を出た住み込みで働く17歳」から「単身疾病高齢世帯」と、10代から80代までの個人世帯に配達に行くきめ細かな活動が特徴で、自炊レベルやアレルギーなどにも配慮しているといいます。

やりがいはあるものの、寄付とボランティアに頼った運営で安定しないのが難点だと話しつつ、食品ロスの削減は、廃棄によって出るCO2の削減、食育、食料備蓄の観点では災害対策、保管倉庫への転用は空き家対策にもなると代表の高橋さんは語ります。
きめ細やかな活動の内容と、フードバンクへの期待を本誌であつく語っていただいています。
フードバンクかわさき
神奈川県川崎市多摩区管馬場1-13-5-101
044-440-4444
http://fb-k.jp/
寄付振込先:
記号番号:10930-27881651
口座名称:フードバンクカワサキ

フードバンクの活動事例2
日本発の「無料スーパー」で認知度を上げていきたい「フードバンク多摩」

建設会社に勤めていた松本さんは、「解雇と同時に仕事だけでなく住まいも失ってしまう人」を目の当たりにしてきたことを受けて生活困窮者の支援団体を立ち上げ、16年3月に「フードバンク多摩」を開始しました。個人からの寄付を中心に、15か所の寮や個人宅に食品を届けています。
フードバンクの認知度の低さに課題意識を持ち、2,017年7月には日本初の「全商品が無料のスーパー」を開催。1人7点と決めていたものの開店から30分で品物がなくなってしまったといいます。
困っていない人が持っていくことに批判の声もありますが、まずはフードバンクをPRしていきたいと松本さんは話します。
課題は「地域のスーパーに競合だと思われるかもしれない」ということだそう。本誌では具体的な運営の様子や、今後の展望について語っていただきました。

フードバンク多摩
(食品送付先)
〒206-0021
東京都多摩市連光寺6-22-5 カーサグランデ101
090-6470-4905
http://sharemind.jimdo.com
寄付振込先
ゆうちょぎんこう
記号番号:10120
番号:91324051
口座名称:特定非営利活動法人 シェア・マインド
また、特集では英国初の「リアル・ジャンクフード・カフェ」の紹介も。
廃棄された食材を集めて美味しい料理を作り、カフェで提供するプロジェクトを紹介。代表のアダム・スミス氏は、地域の学校の2万人の生徒に料理の仕方や食材の扱い方、無駄にしないことを伝えるプログラムも実施しているという話や、野心について語っています。

参考)
「食べることは、人間の基本的人権」リアル・ジャンクフード・プロジェクト創設者アダム・スミス、食料廃棄と飢餓との闘いについて語る 


ビッグイシュー321号ではこのほかにも、
 ・スペシャルインタビュー:アン・ハサウェイ
・ビッグイシュー・アイ:「仮想通貨」、「国」から「個人」へパワーシフト
・国際:ロンドン、グレンフェル・タワー大火災。進まない被災者の住居移転
 ・ワンダフルライフ:馬森牧場――菅野なほみさん など盛りだくさんです。

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https://www.bigissue.jp/backnumber/321/
ぜひ路上でお買い求めください。
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「所有」から離れて、資源を分かち合う「シェア(共有)」、「必要なものを、お金で売り買いせずに、贈りあう」ムーブメント「0円ネットワーク」の特集。
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ジョン・ボン・ジョヴィへのスペシャルインタビューで隣人を理解する機会が得られるレストランで5万5000食を提供してきたエピソードの紹介しているほか、食品ロスをたのしく解決するドキュメンタリー映画「0円キッチン」の紹介も。
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