「"SNS"を超える、人がつながる第4の居場所」を目指すラジオ局「ゆめのたね放送局」。
ビッグイシュー本誌344号でも“誰もがパーソナリティ ネットラジオ「ゆめのたね放送局」”として特集したこのラジオ局の番組に、NPO法人ビッグイシュー基金のスタッフがゲストとして招かれました。2018年12月17日・24日にオンエアとなる番組の収録風景を、本編の一部とともにご紹介します。


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収録ブース内の様子。写真中央は録音担当の石投恵里さん

全国7ヶ所の専用スタジオを持ち、560人を超えるパーソナリティのいる「ゆめのたね放送局」

ネット環境さえあれば、パソコンやスマートフォンで聴けるというのがインターネットラジオ。「ゆめのたね放送局」からも2015年の開局以来、毎日さまざまな番組がオンエアされています。全国7ヶ所の専用スタジオには収録のための設備が整えられ、現在3チャンネル体制で、560人を超えるパーソナリティと40人のスタッフが番組制作を行っています。

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看護師歴20年の佐村真紀さんが届ける「サム子の部屋」



今回お招きいただいた番組は、看護師として20年のキャリアを持ち、イベントプロデュースも手がける、サム子こと佐村真紀さんの番組「サム子の部屋」。毎週月曜日の朝6時30分から「ゆめのたね放送局」関西チャンネルにてオンエアされるこの番組では、毎回さまざまな職種や経歴を持った方たちが招かれ、佐村さんがゲストの夢や想いをトークで引き出していきます。

ビッグイシューの両輪となる2つの支援のしくみ

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ラジオ収録は11月、大阪府門真市にある「ゆめのたね放送局大阪スタジオ」でおこなわれました。 スタジオを見渡して目を引くのが、広いフロアのテーブルや収録用ブース内に並べられた、『ビッグイシュー日本版』344号。

「"ゆめのたね放送局"の出演者の中にも、344号がきっかけで初めてビッグイシューを知ったという人がいましたよ」と番組DJの佐村さん。ビッグイシュー基金・川上と、事前に簡単な打ち合わせをして早速収録がスタート。

まず12月17日放送分の収録では、佐村さんの「ビッグイシューとは何ですか?」という質問に、ビッグイシューが取り組む、ホームレス支援のしくみから川上がお答えします。

『ビッグイシュー日本版』の発行を通じてホームレスの人の仕事をつくる「有限会社ビッグイシュー日本」と、ホームレス状態の人の日々の生活支援や自立の応援をおこなう「NPO法人ビッグイシュー基金」には役割の違いがありますが、2つの組織が両輪となってホームレス問題に取り組んでいることを話しました。

ビッグイシュー基金を学校にたとえると?

川上の話に、真剣に耳を傾けていた佐村さんからは「NPO法人ビッグイシュー基金の役割は、学校でたとえると〈保健室〉や〈進路指導室〉に近いですね」とコメントが。「学校にたとえるなら、ビッグイシュー基金では当事者による〈クラブ活動〉もあります」と川上も応えます。「サッカー部や野球部といったもので、ホームレス状態の人だけでなく、どなたでも参加できる活動を『スポーツ・文化応援プログラム』としてビッグイシュー基金が応援しています」

最後に川上からは「ホームレス状態の人にとって自立は高すぎるハードル。ビッグイシューがやっているのは、その高すぎるハードルを少しずつ段階に分けて低くすること。自分をあきらめず、いろんなハードルを自身の力で乗り越えられるように手助けする支援です」と、ビッグイシュー基金のさまざまな取り組みについてお話ししました。

なぜビッグイシュー基金で働きたいと思ったのか?

続いて12月24日放送分の収録では、よりリラックスした雰囲気の中でのトークとなりました。
「なぜ川上さんはビッグイシューの活動に関わることになったのですか?」という佐村さんの質問に、川上がNPO法人ビッグイシュー基金で働くまでの経緯をお話ししていきます。

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「大学時代、仲間とインドの貧困地域に行き、現地の大工さんとレンガの家を建てる活動をしていました。その後ビッグイシュー基金でのボランティアやインターンシップでホームレス状態の人たちと関わるようになり、販売者にも就職や自分の将来のことについて、よく話を聞いてらっていました。それで今度は、自分が販売者やホームレス状態の人のサポートができないかなと考えていたところ、ビッグイシュー基金から『うちで働いてみませんか?』とお誘いいただきまして。そして大学卒業と同時にNPO法人ビッグイシュー基金で働くことになりました。3年半くらい前のことです」

貧困や災害などで家を失った人々への支援は大変なことも多い、しかしビッグイシュー基金の活動の中で、誰かの人生の一部になることができたら光栄、という川上の話に佐村さんは大きく頷きながら聞いてくださっていました。

「助ける」のではなく、誰かのために一緒にがんばるという姿勢

「人を助けるって、上から(目線)の感じになりがちですけど、ビッグイシューさんや川上さんのように、人と一緒にがんばっていくという姿勢がいいなぁと思います」と佐村さん。看護師として人と関わることが多かったからこそ、共感する部分も多かったようです。

また「子育ての話になると、“子どものために”とか“自分を犠牲に”というお母さんもいますが、もっと同じ方向を向いて一緒に歩いてあげればいいのになぁ、って私もよく思います」と、2人の高校生のお母さんでもある立場からのコメントも。

なぜ多くの若者がすべてを失い、ホームレス状態に?

「川上さんに聞きたかったのは『若者ホームレス白書』のこと。衝撃的だったんですけど」と、佐村さん。「働ける世代なのに、なんで?と。どういうことか教えていただけますか?」という質問に、川上が「若者ホームレス」とはなにか、というところから説明していきます。家庭・親子関係や学校でのいじめ、それまで寮に住んでいたのに退職で寮を出た、など環境の変化で、帰る家や頼るべき家族がなくなった若者たちの問題と、その支援の難しさを話しました。

「ホームレス支援って、重そう」と思っていたけれど?

収録を終えた佐村さんは「ホームレス状態の人を支援するって、ちょっと重そうというのが以前の印象でした。川上さんが楽しく活動している様子を詳しくうかがって、支援のしくみがわかりましたし、支援するということのイメージが変わりました。私は自分のラジオを、高校生の子どもたちのお弁当の用意をしながら聴いています。収録でビッグイシューをより身近に感じることができたので、これまでビッグイシューをよく知らなかったリスナーの方も、仕事前や朝の支度をしながらぜひ聴いてほしい」と話してくださいました。

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オンエア情報
番組名:「サム子の部屋」

https://www.yumenotane.jp/the-room-of-samco パーソナリティ:サム子(佐村真紀)
放送局:インターネットラジオ「ゆめのたね放送局」関西チャンネル
(ネット接続可能なPCまたはスマートフォンでお聴きいただけます)
放送日時:2018年12月17日・24日(月曜・2週連続)朝6時30分から
出演:NPO法人ビッグイシュー基金スタッフ・川上

佐村さんのAmebaブログ
http://ameblo.jp/makimaki-1108/

ラジオ「サム子の部屋」Facebook
https://www.facebook.com/theRoomOFsamco/

ゆめのたね
https://www.yumenotane.jp/

大阪ホームレスクリスマスパーティのお知らせ

番組の中でもお知らせした、12月21日夜6時30分から大阪市中央公会堂でおこなわれる「大阪ホームレスクリスマスパーティ」についての詳細は下記をご覧ください。

第10回記念 大阪ホームレスクリスマスパーティ 悩みも人生もディナーも味わいつくす

「即興!? ホームレス人生相談」×「ワークショップ」×「枝元さんの料理」
https://bigissue.or.jp/2018/11/2018111501/
日時:2018年12月21日(金) 18時30分~20時30分(18時開場)
場所:大阪市中央公会堂 中集会室(大阪市北区中之島1-1-27)
party

参考リンク

若者のホームレス化予防 | NPO法人ビッグイシュー基金
https://bigissue.or.jp/action/younghomeless/ 『SNSを超える「第4の居場所」 インターネットラジオ局「ゆめのたね」がつくる新・コミュニティ』
※2018年7月出版された「ゆめのたね放送局」共同代表の岡田尚起氏・佐藤大輔氏による書籍

取材協力:都築義明

参考記事

「多数派のリスナーを集める事業モデル」の限界を越える!?パーソナリティが月会費を「払い」、つながるネットラジオ

就労支援だけで若者は自立できない。生活を含めた複合的な支援が必要!


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ビッグイシュー344号では「ゆめのたね放送局」が目指す、ラジオでつながる居場所づくり、コミュニティづくりというコンセプトについても詳しく特集しています。
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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。