英国で絶大な人気を誇るロックスター、フランク・ターナーによるチャリティコンサートで閉幕 INSPサミット報告その5

 8月21日〜24日に、イギリス・マンチェスターで行われた国際ストリートペーパーネットワーク(INSP)主催の年次総会「グローバル・ストリートペーパー・サミット2017」。ビッグイシュー日本のスタッフも参加したこのINSPサミットの様子をレポートいたします。


トップバッターは、マンチェスター近郊の町ボルトンから来た4人組「アワー・フォルド」。オアシスを思わせるハードロックで聴衆を沸かせ、最後はエレクトロニックなインストルメンタル・ジャムで締めくくった。

続いて登場したのは、派手な身なりの「フェリックス・ヘーガン・アンド・ザ・ファミリー」。ヘーガンはキラキラした金のスパンコールのタイツを身にまとい、バンドの演奏スタイルはフー・ファイターズを思わせるハードロックとミュージカル音楽が見事にミックス、幾つもの意外なジャンルの間を自在に行き来するステージを披露した。シカゴのストリートペーパー『ストリートワイズ』のクリエイティブ・ディレクター、デイブ・ハミルトンは、彼らのスタイルに魅了され、「まるで、映画『ロッキー・ホラー・ショー』を見ているよう」だったと、ショーの後語った。

各バンドの合間には、DJによって、地元マンチェスターで活動するミュージシャンや、マンチェスターゆかりの著名バンドの曲が流された。ザ・ストーン・ローゼスやザ・スミスなどマンチェスター・ロックのクラシック・ナンバーを織り交ぜながら、この夜のパーティーを盛り上げ続けた。

ステージの裏手では、このために特別に作られた限定版のTシャツやバッジ、その他の商品が飛ぶように売れていく。その売上金は、主催者であるビッグイシュー・ノースの収入になる。

ついに、ターナーが現れた。派手なエレクトロニック機器が満載だったステージに、ギターを携え、たった一人で。そして、「The Way I Tend to Be」や「Recovery」などの大ヒットナンバーを次々と歌い、聴衆から絶大な賞賛を得た。すべての歌詞をすっかり覚えているファンたちは、1つひとつの歌に歓声を上げた。

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曲の合間にターナーは、このチャリティコンサートにみんなが集まった意義について語った。

“ホームレス”は、この豊かな資本主義社会の課題だということは誰もが知っていると思う。この問題を何とかする方法と能力を、私たちは持っているはずだ。

この問題は、誰もが知ってはいるが、つい忘れがちなことの一つだと思う。道端でホームレスの人々の前を通り過ぎ、そのことについて何もしない。でも、あなたが通り過ぎたら、路上生活をしている人々の問題は解決しない。

さあ、世界を変えよう、活動を始めて、この世の中をより良い、より公正、より正直な場所に変える方法を探そう。私たちが、今夜のように暗い場所に集まって暗い歌を一緒に歌えるなら、力を合わせて人々を救うこともできるはずだ。

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1時間以上人々を魅了し続けた後、ターナーはアンコールに応えて、フェリックス・へーガン・アンド・ザ・ファミリーをバックに、クイーンの「Don’t Stop Me Now」や、グリーン・デイの「Basket Case」、そしてフェリックス・へーガン自身の「Four Simple Words」のカバーを演奏した。「Four Simple Words」では、ターナーは聴衆に向かってダイブし、人々は彼を受け止め運びながらワルツに酔いしれた。

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それはまさに、2017年グローバル・ストリートペーパー・サミットの閉幕にふさわしいイベントであった。サミットの参加者たちは、マンチェスターという街の社会的背景、ホームレスや薬物問題への取り組み方などについて学ぶ機会を得た上に、マンチェスターの有名なナイトライフと音楽シーンに触れる機会も持つことができたのだ。

そして、2018年のサミットの開催国であるスイスのストリートペーパー『サプライズ』にバトンが渡された。マネージャーのパオラは「2018年に、サプライズは創刊20周年を迎えます。日々世界中で同じように活動しているみなさんとともに、20周年を祝うことができとても嬉しく思っています。スイスの首都バーゼルで、みなさんにお会いできる日を心待ちにしています」と語った。

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(Tony Inglis/ www.INSP.ngo)