(2011年12月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第181号より「ともに生きよう!東日本 レポート17」)






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ケージに入れられた犬たち。福島市飯野町の保護シェルターにて

被災地福島の犬猫たち、飼い主と離れシェルターで越年へ



東京電力福島第一原発事故に伴い、被災したペットたちの〝受難〟が続いている。半径20キロ圏内の「警戒区域」で保護されたペットは、福島県と福島県獣医師会などによる福島県動物救護本部が県内2ヵ所にシェルターを設置し、一時預かりをしている。

市民からの義援金をもとに、犬210匹、猫70匹、合わせて約280匹が2つのシェルターで飼育されているが、毎日のえさやりやトイレ掃除、散歩などはボランティアにより支えられている。




その一つ、福島市飯野町のシェルターを訪ねた。犬の保護スペースに入ると、一斉に鳴き声が響いた。一匹ずつケージに入れられ、人が近づくと警戒して吠えたり、様子を探ろうと鼻を近づけたりする。

「保護直後は、病気やけが、寄生虫などで体調を崩した犬が多い。ワクチンや虫下しなどを与えた後、2週間は隔離室で様子を見ますが、『この子たちも震災の犠牲者だなぁ』と思います」と、犬担当チーフの栗原泉さん。




県は保護した被災動物の殺処分は行わない方針で、飼い主が不明だったり譲渡可能な犬猫は、ホームページに写真入りで掲載し、希望者に引き取ってもらっている。子犬や子猫はほとんど飼い主が決まっていく。その一方で、飼い主がわかっていても引き取られない犬猫が7~8割を占める。このままでは数百匹の犬猫の滞在が長期化しシェルターで年を越しそうな状況だ。

警戒区域の指定解除の見通しが立たないなか、引き取れない主な理由は「借り上げ住宅では飼えない」「家族の状況や仕事で動物の世話ができない」など。福島県食品衛生課の大島正敏課長は「被災した他県ではシェルター縮小や閉鎖になっているのに、福島の見通しは立っていない」と、保護動物の現状を説明する。

避難先でペットが飼えない問題を解決しようと、県は各市町村に、仮設住宅や公営住宅でのペット同居に向けた入居条件緩和を求める通知を2度出した。通知書には、新潟県中越地震で仮設住宅での動物同居は問題がなかったことも明記された。そのことも功を奏し、ペット同居は進んだが、民間の借り上げ住宅では依然として難しい状況にある。

(文と写真 藍原寛子)