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今も日本は食糧の約6割を海外から輸入している。食糧自給率は年々下がり続け、1965年当時に73%あったものが、2000年には40%となった(図5)。


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食糧自給率はオーストラリアの237%は別格としても、カナダ、フランス、アメリカは100%をはるかにこえ、ドイツ、スペイン、スウェーデンでは80%をこえる。また、英国でさえ1965年45%だった食糧自給率を1985年には72%に引き上げ、日本とは逆の道をたどっている。






総有。水はみんなのもの。分けて私有できない



なぜ、水の浪費が問題なのだろうか?

それは、水が限りある資源であるからだけではない。地球温暖化が問題になるのは大気が地球上に生きるすべての生き物みんなのものであり、特定の誰かのものに分けて所有できないからである。同じように、水もみんなのものであり、誰かが分けて所有できるものではないからだ。

日本にはもともと「総有」という、”水はみんなのもので、分けて私有できない“という考え方がある(「遠い水、近い水」嘉田由紀子『水と暮らしの環境文化―京都から世界へつなぐ』参照)。

水を飲んだり、お金を出して購入したりしても、「総有」という考え方からみれば、水を所有しているのではなく、利用しているにすぎない。そして、日本の突出した水使用は、水の購入、食糧の輸入というかたちを取っているとしても、過大、過剰利用なのである。




では、これから日本人はどのように水を使用、利用すればよいのだろうか? 今すぐできることとして、以下の五つのようなことを提案したい。

バーチャルウォーター(食糧輸入)を減らすために、肉食を少なくし地場のものを進んで食べる。残飯は極力、出ないようにする。



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戦後3割未満だった水道普及率は、現在97%(図6)となったが、その用途はトイレ、風呂、炊事、洗濯でほぼ四分される(図7)。4分1以上を占めるトイレ用水を中間水(水の再利用)に転換することがもっと考えられてもよい。現段階では、バケツに汲み置きした風呂の水などを再利用する。


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水田風景を残す。食糧自給率のアップだけでなく、梅雨や台風期に水をだきこむ水田の効用を見直す。減反政策で水田が減り地下水位が下がった福井県大野市などでは、休耕田にも水を貯めて地下水の涵養を促す試みをしている。また、井戸水をミネラルウォーターとして見直したい。

雨水をもっと利用する。降った雨をそのまま下水に流してしまうのではなく、天水貯水槽やたるなどに溜めて散水用などに使う。

”水はみんなのもので分けて私有できない「総有」“という考え方など、日本古来の水利用を改めて学ぶ。

(編集部)