帝京大学教授・三上岳彦さん「異常気象の原因の一つは、地球温暖化」

こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部です。発売中の225号から、読みどころをピックアップいたします。

ゲリラ豪雨、竜巻、巨大台風…異常気象の背景にはいったい何が?

「10年に一度」と言われる規模の台風が通過したばかりの今日この頃、昔に比べるとゲリラ豪雨やら竜巻やら、「異常気象」が増えている気がしてなりません。225号の特集はタイムリーなことに、そんな「異常気象」を扱った内容です。

なぜ、異常気象は増えているのでしょう?特集より、三上岳彦さんが語る「猛暑や集中豪雨など、異常気象が発生する仕組み」を抜粋バージョンでご紹介いたします。

まず、気になる異常気象の原因について。

異常気象が発生するしくみですが、これは「いくつもの要因が同時に重なって起こるもの」と考えられています。たとえば、台風が異常に発達するためには海面の水温が高いことや、発生場所の経路の変化などが関係していることもあって、いくつものきっかけが必要になる。何か直接の原因が一つだけあるとは言えないんです。ただ、異常気象が増えている原因の一つが地球温暖化であることは確かだと思います

「地球温暖化」には異論があるという話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、データで見ても、実際に温暖化していることは明らかだそうです。

なかには懐疑派の人がいて「温暖化なんてしていない」と言いますが、温暖化していることは実際のデータが示しています。今、海面の水温もどんどん上がっていて、そうなると水分が蒸発しやすくなり、台風も急激に発達しやすくなる。将来的に日本の台風が強くなる可能性もあるでしょう。異常気象はこれから増えることはあっても、減ることはないと思います。

ここ数年で一般化した「ゲリラ豪雨」についても、「原因は完全にわかっていない」としながらも、「ヒートアイランド現象」と「高層ビル」に問題があると指摘されています。

ヒートアイランドというのは都市そのものが暑くなっている現象で、その原因は大きく2つあります。1つは人工排熱で、わかりやすいのはエアコンの室外機などですね。そういう人工的な熱が都市を温めている。もう1つは、コンクリートやアスファルトなどが熱を吸収して溜め込んでしまう問題です。こうして温められた空気は上昇しやすいので、これによって積乱雲が発達するんです。

それから東京はちょっと特殊で、高層ビルが密集することで、海からの風が弱められ、都内に吹く海風が非常に弱くなっている。しかも高層ビルにぶつかった風は行き場を失って上昇し、空気が乱れやすい。つまり温かくて湿った空気が上昇し、それでゲリラ豪雨を発生しやすくすると考えられているんです。

21世紀の日本は異常気象の世紀になるのかもしれませんね。気候変動は経済、社会における重大なリスクにもなりますし、今までとは違う態度で生活することが求められそうです。

225号の特集には、他にも

・気象学者の吉野純さんが語る「竜巻とは何か?」
・気象予報士の田代大輔さんが語る「五感で感じ取る”異常”」
・「気象文明史」の著者である田下康さんによる「日本の歴史と異常気象」

といった記事が掲載されています。2ページにわたる田下康さんの記事も実に読み応えがありました。ぜひ路上にてお買い求めください。

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