『ビッグイシュー日本版』262号より、読みどころをピックアップいたします。
米国、受刑者と家族を搾取する刑務所ビジネス
262号の表紙は大活躍中の女優、安藤サクラさん。誌面では、3ページにわたるスペシャルインタビューが掲載されています。
今回ピックアップするのは、米国のストリートペーパー「ストリート・ルーツ」から届いた、「刑務所ビジネス」に関する記事。日本ではまだ論点になっていないテーマですが、世界ではこんな状況も広がっています。
今、米国の塀の中で大金が動いている。
2013年、オレゴン州ポートランドにあるマルトノマ群保安官事務所(MCSO)は、テキサス州に拠点を置く刑務所業界最大手のセクラス・テクノロジーズ社と4年契約を結んだ。
MCSO広報担当者のスティーブン・アレクサンダー警部補によるとこの契約に基づいて、マルノトマ群の矯正施設では、弁護士などによる職務上の面会を除き、直接面会ができなくなったという。マルノトマ群の受刑者の家族や友人らは、獄中にいる相手と受話器と小さなビデオ画面を介してしか交流できなくなったのだ。
(略)面会は施設内で行われると無料。遠隔地につなぐと1回につき分数に応じて5ドル〜20ドル支払わないといけない。群はセクラス社から、遠隔ビデオ面会1回につき20%の委託手数料を受け取ることになっているが、現時点ではセクラス社のシステム設置に要した費用60万ドルの支払いに消えている。
また、家族からの送金を受ける際の手数料も、受刑者家族にとっての大きな負担となっています。
ポートランドに住むレスリー・マッカーシーには、オレゴン州ユマティラ群のツーリバーズ矯正施設で服役中の息子がいる。
20ドル以上を入金すると、口座管理会社が課す手数料が2.95ドルから5.95ドルに跳ね上がるため、彼女は毎月19.99ドルを振り込み、手数料を抑えるようにしている。タッチペイのATMが設置される以前は、面会者は口座に手数料なしで入金することができたのに…。
マッカーシーは、刑務所でお金がないと、歯を磨くこともできなければ、シャンプーで髪を洗うこともできないと語り、入金を続けている。
NPO「人権保護センター」のキャリー・ウィルキンソン氏は、こうした現状についてこう語ります。
たとえば、ある学区で資金不足だからといって、全児童の親に対して「お金が足りなくなってきているので一人につき50ドル出してもらいたい」とは言わないでしょう。
しかし、刑務所では、実際にそういうことが起きているわけです。そして、唯一お金を出しているのは受刑者の家族であり、そのほとんどが貧しい家庭で、最も支払い能力に欠ける人たちです。
低所得の受刑者家族にまで負担を強いる「刑務所ビジネス」について、みなさんはどう考えますか?
最新号では他にも、
- リレーインタビュー:木下ほうかさん
- 安藤サクラ スペシャルインタビュー
- 特集「みちくさ」
- 東田直樹さんの連載「自閉症の僕が生きていく風景 対話編」
- ホームレス人生相談
などなど、多彩なコンテンツが掲載されています。ぜひ路上にてお買い求めください!