オーガニックはお金持ちのファッションじゃない。都会の屋上、閉校した学校のグラウンド、空き地で畑!…農がもたらすコミュニティ

有機野菜やオーガニックという言葉自体、今はファッションのように使われています。価格も高すぎて一部のお金持ちしか毎日買い続けられない。でも野菜がおいしくて安全なんて基本で、本来わざわざありがたがることではないはず。野菜は嗜好品ではないんですから。

というのは「渋谷の畑」を作った「weekend farmers」の油井さん。


ただでさえ新鮮でおいしい野菜を毎日買って食べられるという人は、生活に余裕のある人だけになりそうな世の中で、有機野菜・オーガニック野菜となると、さらに高価な贅沢品扱いされがちだ。

数十年前までは、野菜を自分たちで作るのは珍しいことではなかったかもしれないが、現代のこの都市集中型の社会においては有機野菜・オーガニック野菜は高い値段で購入するか、自力で収穫しようと思うと、ベランダ菜園が関の山だろう。

パソコンだけに向かう日常において、筆者も生活のバランスを取りたいと思い、ベランダ菜園でトマトやバジル、レタス、パクチーなどを育てていたが、「土がもっとほしい!!」と切望していた。
しかし個人契約のマンションの一室のベランダでは運び込める土の量にも限界があり、あきらめた経験がある。
60694_489670791119173_112524454_n

ベランダ菜園ではほんの少しの野菜が関の山…

しかし、最近、「都会で畑」を楽しんでいる人たちがいる。4月1日発売のビッグイシュー308号の特集「都会で畑」で紹介しているが、「都会の畑」は、単に無農薬野菜が収穫できるだけではなく、人と人とをつなぎ、新たな試みが生まれる場となっているのだ。

◆自然栽培農家、電力会社の立ち上げメンバー、書籍のライター兼編集者の3人が始めたビル屋上の畑

「weekend farmers」の3人は平日にはそれぞれの別の仕事を持っているが、その共通項は「渋谷」。
もともと「weekend farmers」では、相模湖で週末の有機栽培野菜の農業体験を開催していたが、知人の声かけにより渋谷での開催を考え始めたところ、目をつけたのがとあるライブハウスの屋上だったという。
IMG_3327

2015年8月、35℃を超える真夏日、一つ20kg以上の土の袋300個以上を5階から屋上に運び上げた。「あの日のことは思い出したくない」と三人が苦笑する。

屋上に畑を作るだけでもユニークだが、さらに「モバイル稲田」と呼ばれる取り組みにも挑戦している。

この稲田は都市生活にも馴染むと思うんです。このまま持って帰って自宅のベランダでも栽培できるし、日当りに応じて移動もできる。透明だから、稲が根をはる様子も観察できるんです。

稲が根をはる様子なんて、都会で生活している人はなかなか見ることができないものだろう。
また、少年時代を田舎で過ごした人にとっては懐かしいものかもしれない。
そして、誰もが自分で無農薬栽培米が食べられる。
いったいどんな取り組みなのかは本誌を手に取って確かめてもらいたい。

その他、特集では、東京・豊島区の閉校になった小学校の庭を子どもと大人で“都市の畑”に変えている「グリグリ・プロジェクト」や、緑が少ない造船の町の空き地で地域の人々とともに、3つの参加タイプを用意し畑を楽しむ「北加賀谷みんなのうえん」(大阪・住之江区)をご紹介。

IMG_3328

「北加賀谷みんなのうえん」はNPO・NGOのためのデザインを事業とするNPO法人Co.to.hanaが運営しているのも興味深い。農具を置く倉庫、醤油づくり、石窯づくりと欲しいものを自分たちで作りだすコミニティとなっている。

IMG_3329

3つの畑をつくるきっかけや、活動の詳細は4月1日発売の『ビッグイシュー日本版』308号の特集「都会で畑」をご覧ください。

unnamed

▼weekend farmers
http://weekendfarmers.jp/

weekend farmersのメンバー小倉さんの著作『渋谷の農家』

▼グリグリ・プロジェクト
「みらい館大明」で月1~2回日曜日に活動。参加申し込みお問い合わせは本誌P.11

▼「北加賀谷みんなのうえん」

http://minnanouen.jp/