南アフリカ共和国、東部ケープ州のあるコミュニティでは、地域の霧のおかげできれいな飲み水を確保することが容易になった。
これは、ネットを使って山の霧から湿気をとらえるもので、南アフリカ大学の気候学のジャナ・オリヴィエ教授によって考案されたものだ。重力を使って坂を伝わらせて水を採取するため、電気も必要としない。今年3月から、アイリフ(Ayliff)山近くのカバゼイン(Cabazane)村で使われ始めており、好評だ。
この仕組みでは、1年のうち少なくとも40日以上、1回につき数時間霧が発生する地域で有効となる。同地域では、1日に何百リットルもの水が確保されているという。
南アフリカの田舎では飲料水の確保が難しく、そのため水を媒介にした病気も発生しやすい。また、水汲みに何時間も歩かなければならないことも多い。
カバゼイン村の村長グキニカヤ・ンプムザによると、この地域に住む40パーセントの人々には水へのアクセスがないという。ジャナ教授の仕組みによって、定量の水が確保されれば、野菜作りを始めることもできるなど、夢は広がる。
(Sarah Taylor)
(2010年5月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第143号より)