台湾、映画ヒットで高まる セデック語人気
昨年、台湾映画史上最大の興行収益を上げた『セデック・バレ』は、ベネチア映画祭、大阪アジアン映画祭など海外にも出品され、高い評価を受けている。
この映画は、日本が台湾を統治していた時代に、圧政に耐えかねたセデック族が抗日蜂起した霧社事件が題材であり、事件で日本人約140人、セデック族約700人の死者が出たと言われている。
台詞のほとんどはセデック語である。出演者の多くは素人で、演技だけではなく、セデック語も学ばねばならなかった。主人公の頭目モーナ・ルーダオを演じた林慶台も本業は牧師である。タイヤル族の彼が最も苦労したのは、セデック語を覚えることだったという。
台湾政府が認定している先住民族は14民族あり、セデック族は人口約7千人、先住民族の中でも少数である。セデック語の消滅が危惧されていたのだが、先住民族以外にも、映画がきっかけでセデック語を学び、セデック族の村落を訪れるというような社会現象が広がっている。
(森若裕子/参照:亜洲週刊、今日基督教報)
(2012年7月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第194号より)