カメルーン、流通する薬の7割が偽造薬や違法薬—その背景には、貧困と深刻な医者不足

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こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部のイケダです。「ビッグイシューの立ち読みをしたい!」という声にお答えして、路上で発売中の最新号より、読みどころをピックアップしてお伝えします。

カメルーンで蔓延する偽造・違法薬

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最新号で、特に目を引いたのはINSPが提供する国際記事。カメルーンでは、なんと流通する薬の7割が、違法・偽造の薬になっているそうです。いったい、どういうことでしょうか。

記事のなかでは、マラリアの偽造薬を飲んで意識不明になった男性の声が掲載されています。

「(偽造薬は)以前マラリアにかかった時によく効いたし、値段もとても手頃だったから、店で薬を買ったんです。2ドルもあれば、マラリアに効く(偽の)コアルテムが買えるんですよ」と、病床でピロアは取材に答えた。コアルテムは薬局で買うと、1箱6〜8ドルはかかる。

問題の背景には、発達した密売ネットワークの存在が指摘されています。カメルーン薬学会評議会のクリストフ・アムポーム氏はこう語ります。

「薬物の不法売買への出資は、正規ルートに比べて5倍の儲けがあると推定されています。また、地元の役人たちは、司法制度や税関制度にまで浸透している密売ネットワークを、ひどく恐れているのです」

偽造薬・違法薬の被害は甚大で、世界中で数多くの人が命を落としています。

世界保健機関(WHO)は、全世界で年間約100万人にのぼるマラリア死者数のうち、偽造薬を使用しなければ、20万人の命が失われずに済んだはずだと推定している。また、国際政策ネットワークはその報告書の中で、結核とマラリアの偽造薬だけでも、世界中で推定70万人を毎年死亡させているとしている。

こうしたまがい物の薬は、医師不足という社会問題と密接に関係しているそうです。

偽造・違法薬が蔓延する背景には、深刻な医師不足がある。WHOのデータによると、カメルーンでの医師1人に対する患者数は、1万3514人。だが、特に地方において、この比率はもっと高いという指摘もある。そして何より貧困が、多くの人々を病院や診療所から遠くに追いやっている。

日本でも偽造薬の問題は広がっており、特にインターネットを介して輸入する薬物は、偽造品が多いことが指摘されています。厚生労働省のページでも注意喚起がなされているので、心当たりがある方はぜひ確認しておきましょう。

最新号の229号では、ほかにもベネディクト・カンバーバッチ氏へのインタビュー、犬猫写真家の新美敬子氏へのインタビュー、そして特集は世界の「路上レシピ」集となっています。年末プレゼントも実施しているので、ぜひぜひ路上にて「ビッグイシュー」を手に取ってみてください。

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