地域住民、親、子どもを巻き込んでサッカーをする
長谷川:ぜひこの後、米倉先生にもコメントをいただきたいですけれども、その一歩手前に、ダイバーシティーという話が出たので、蛭間さんから最近公園で練習したり他団体と一緒に行っている練習でのエピソードをいくつか紹介いただければと思います。
蛭間:はい。我々、四谷ひろばという昔小学校だったところで練習しているのが基本なんですが、施設利用の抽選に落ちてしまうときがあります。そんな時は近所の公園で練習したりするんですよね。
我々が練習を始めるわけですよ、10人~20人ぐらいで練習を。あっちの方に、小学生の女の子とかがですね、小さく練習しているんですね。そしたらもう「YOU来ちゃいなよ」ですね。一緒にやるんですよね、サッカーを。
ビッグイシューの事務所の近くの公園で練習をしていたら、「なんだろ、うるせーなぁ」みたいな顔をしながらも、サッカーの格好をしてきたおじさんが、こう「入れてくんねえか?」って来てですね(笑)。彼はもう2回も3回も毎回のように自然と来ているんですよね。
あとは、たまたま四谷ひろばに他の用事で来たら「よくわかんないけど、何か訳がわからないチームがいるから一緒にやっちゃおうか」とか。今そういう地域住民の方の参加が増えました。
また、今日も会場にいらっしゃっていますけれども、ビッグイシューの方だけではなくて、それぞれの社会的テーマに応じた支援されている方々がどんどん集まっているような状況です。韓国戦に行った時は若者支援をしている「育て上げネット」さんが来てくれました。
いろんな繋がりがサッカーを通じてでき始めています。きっとこれ、同じメンバーを会議室に集めてまじめな話をしようとしても最初からうまくいくものではないと思うんです。サッカーがはじめのきっかけだったから仲良くなれたのだろうと思うんですね。
色んな人がいて、色んなことをやっているのが豊かさ
長谷川:ありがとうございました。ではちょっと米倉先生にお伺いしたいのですけれども……。苦笑いされてますね。
米倉:(苦笑)だってわかんないんだもんね、サッカー。
会場:(笑)
長谷川:米倉先生、僕もサッカーの経験全くないんでわからないですよ(笑)。ただ、実際現場にいてすごく感じるのが、サッカーだったり、スポーツというもの全般が持つ、当事者への影響というのもそうですし、社会的に与える影響というものはすごくあるんじゃないかなという気がしているんです。
なので、僕らで言えば、「ダイバーシティ・カップ」や将来的には「ホームレス・ワールド・カップ」というのをぜひ日本でやりたいなと思っていて、そういうことの可能性、そういうことが実現した時に日本に与える影響について米倉先生にご意見いただければなと思うんですけれども……。
米倉:ご意見なんかいただけるわけないじゃないですか。
パネリスト:(笑)
米倉:ただ、面白いですよね。やったらいい!やったらいいじゃないですか。面白いことはやろうと。
パネリスト:(笑)
米倉:最近、僕の教え子の一人がね、ソマリランドに大学院を作ると言ってきました。全く意味がないと思うんだけど。でも面白いからやろうと。やっぱりそういうことが大事ですよ。
ホームレスがサッカーしてる場合じゃないっていう話もあるけど、ブラジルだってね、あんなに大借金抱えてサッカーをしている場合じゃないだろうと。
でもいいんですよ。色んな人がいて、色んなことをやっているというのが豊かさだし、それを許容できるのが人間なんですよね。だからいいじゃないですか、呼んでください。応援しに行こう。社会的にも面白いと思いますよ
昔、地中海クラブに行った時に、まだ若い頃にね、ヨーロッパの人たちとサッカーやったんですよ。5分やって吐きそうになったね。本当にきついスポーツです。だから皆さんがやっているってのはすごい。で何だっけ? そう、だからやろう。呼ぼうじゃない。やりましょうよ。
—-