ようやく示された「個別施策案」、 子ども被災者支援法の説明会は大荒れ

ようやく示された「個別施策案」、 子ども被災者支援法の説明会は大荒れ

子ども被災者支援法 説明会 写真

住民から異議が続いた「子ども被災者支援法の基本方針案」説明会(福島市)

2012年6月に制定された子ども被災者支援法。その具体的施策を盛り込むアクションプラン、「基本方針」が策定されないまま、同法による子どもと被災者への実質的な支援が先送りされてきた。この問題は本誌216(13年6月1日)号でも取り上げた。

復興庁はようやく8月30日に「基本方針(案)」を公表、閣議決定を前に、パブリックコメントの一環として、震災から2年半となる9月11日午後、福島市で住民説明会を開催した。ところが、会場は出席した住民から異論が噴出、怒号が飛び交う場になった。

同法は、一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住している、あるいは居住していた人などを被災者とし、①被災者や住民の声の反映と透明性向上のために必要な措置を講じる②放射線による影響が長期間にわたる恐れから、被災者の支援の必要性が継続する間、確実に施策を実施する、などとしている。

同庁が作成した「基本方針(案)」では、支援地域は①福島県中通り・浜通りを「支援対象地域」②支援対象地域以外(福島県会津地方、宮城、山形、栃木、茨城各県の周辺地域。ただし施策で対象地域が異なる)を「準支援対象地域」に区分。個別施策として、外部被曝の把握、自然体験活動充実、学校給食の放射性物質検査、住宅支援の拡充などを盛り込んだ。  しかしこの日の説明会は大荒れになった。

「準支援対象地域とされたところにもホットスポットがある。年間積算線量1ミリシーベルトを基準にして、支援の対象地域・者を決めるべきではないか」と、実際の線量により地域区分すべきとの指摘が参加者からあった。これに対して同庁は「線量で分けると市町村内の住民を分けることになるため、基本は市町村ごととした」などと説明したが、その後も地域設定の問題を指摘する声が続いた。

さらに決定過程の透明化を求める意見も相次いだ。「パブリックコメントの募集期間が短すぎる。インターネットだけで募集というのは、高齢者やネットをしていない人には厳しい」「自主避難した人は全国各地にいる。全国で説明会を開催すべき」という声。また、震災から2年半、月命日とはいえ、平日午後の説明会開催について「多くの人が出席できない時間帯に開催を決めたのはどういうことか」。

同庁はこの日、パブリックコメントの募集締め切りを当初より10日延長し9月23日までにすると発表したが、それでも会場からは「透明性の点で問題あり」と指摘する質問が続いた。

 (文と写真 藍原寛子)

(2014年7月30日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 244号より)