こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部のイケダです。現在路上で発売中のビッグイシュー日本版252号から、読みどころをピックアップしてお届けします。
韓国では、徴兵を拒否すると1年半の刑務所暮らしが待っている
本日ご紹介するのは、特集「戦争には、いきません 良心的兵役拒否者たち」。「兵役拒否」というあまり日の当たらないテーマを扱った、貴重な内容となっております。
記事中では「特定秘密保護法に反対する学生有志の会(SASPL)」、韓国・米国・イスラエルの兵役拒否団体の紹介、そして兵役拒否の研究をしてきた京都女子大教授の市川ひろみさんのインタビューが掲載されています。オンライン版では、特に印象的だった韓国の兵役拒否団体「戦争のない世界」についてご紹介します。
まず、韓国の兵役の現状について。
男性に2年間の兵役が義務づけられている韓国では、徴兵を拒否すると1年半の刑務所暮らしが待っている。24時間をともに過ごす軍隊内ではいじめが蔓延し、3日に1人の割合で自殺者が出ているものの、良心的兵役拒否も代替服務制度も認められていない。
月の給与は1万円程度。携帯電話も持てず、インターネットのしようも制限されている軍隊生活だが、徴兵に行かないことは「就職できない」などの「社会的な死」をも意味する上、「誰もが通る通過儀礼を通っていないなんて」と差別と偏見に晒される。
2003年、そんな韓国社会に兵役拒否団体である「戦争のない世界」が立ち上がりました。兵役拒否によって逮捕された人々の支援、代替服務制度の導入を訴える活動などを行っています。メンバーのイム・ジェソンさんはこう語っています。
「イラク戦争は私の世代で体験した初めての大規模な戦争でした。戦争の悪循環を断ち切るために自分に何ができるのか。そう考えた時、軍事技術や殺戮のための技術を学ばないこと、そういうもんを拒否することだと思いました」
韓国では徴兵拒否の罪状で逮捕されている若者が数多くいます。全世界で兵役拒否で投獄されているのは960人ほどで、なんとそのうち800人が韓国人。身近な隣国でそのような事態が起こっているというのは衝撃的な話です。
特集後半で市川ひろみさんが語っているように、世界的には徴兵制を廃止・停止する流れが進んでおり、フランスでは90年代半ば、イタリアでは2000年、ドイツでは2011年に徴兵制が廃止・停止されています。強制的な徴兵を「人権問題」として認識する動きも高まっており、「徴兵制」という仕組み自体が変革期を迎えているといえます。
徴兵制というショッキングな言葉は、日本でも決して他人事ではありません。ぜひ特集「戦争には、いきません 良心的兵役拒否者たち」を一読して、徴兵制に関する知識に触れてみてください。
252号では他にも、Gotchさんのスペシャルインタビュー、東田直樹さんの「自閉症の僕が生きていく風景」、ホームレス人生相談などなどのコンテンツが掲載されております。ぜひ路上にてお買い求めください!