大地震に豪雨、台風と天変地異が続く。
「その時」、出社・通学しようとする人たちに心当たりはないだろうか。


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(c)photo-ac

「今日、学校行く?」と同級生に電話

自宅で就寝中だったその高校生は激しい家の揺れで飛び起き、家のきしむ音で「ミサイルが飛んできたのか」と体をこわばらせた。
しかし揺れが収まると、体験したことのない災害にどうしたらいいのかと悩んだ。学校に電話したが通じず、同級生に「今日、学校行く?」と電話した。

「納品日は守ってください」と伝える会社員

オフィスで取引先と電話していたその会社員は、高層ビルがしなるように揺れ、窓から見える景色が大幅に動くのを見て「ビルが折れてしまうかも」と恐怖を感じた。
しかし電話口の取引先が「揺れてはいるけれど、大丈夫そうです」と言ったことを受け「それでは納品日に間に合うように引き続き作業してください」と伝えて電話を切った。

休園の基準を調べなおす母親

自宅で家族と朝食を採っていたその主婦は、体験したことのないような直下型の衝撃にとっさに我が子に覆いかぶさった。激しく揺さぶられている間は子どもを守ることしか頭になかったが、揺れが収まると「暴風警報だと幼稚園は休みだけれど、大地震のときの休みの基準ってどうだったっけ」と幼稚園のしおりを見直した。

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上記は阪神・淡路、東日本、大阪北部の3つの大地震を実際に体験した同一人物の「災害時の行動」だ。学校や仕事は「誰かから行かなくてよい、しなくてよい」と言われるまでする・させるのが当然だと思っていることが伺われる。

このマインドが世間の過半数の人々の心を占めている限り、「本番」の災害時にはさらなる被害を拡大させてしまうのではないだろうか。

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2018年8月15日発売の『ビッグイシュー日本版』341号の特集は「“ 災害モード”をもつ社会へ」。

1つめの記事で紹介するのは元吉忠寛さん(災害心理学者)が実施した、大阪北部地震の際の鉄道利用者の行動調査。500人のうち出勤した人は6割、帰宅した人は4割だったという。

グラフ1


すでに勤務先の近くにいた人と、家を出たばかりの人では異なるかもしれない。 そこで「どの場所にいてどこに行ったか」を尋ねると、中間地点にいてもなお、半数近くの人が勤務先に向かったという。

グラフ2

さらに、出勤や帰宅の理由を尋ねたところ、出勤の人は“近いから”、逆に帰宅した人には“勤務先に行けなかったから”との回答が約半数あったという。つまり、全体の8割ぐらいの人が行けるなら勤務先に行こうとしていたということなのだ。

もちろん、人命がかかっている仕事など、「どうしても行かなければならない仕事」もあるかもしれない。しかしそれ以外の仕事であれば、災害情報にかかわらず休むもの、という空気があってもいいのではないだろうか。

今は「そんなこと言っても、納期が」「取引先に怒られる」「自分だけが休んでいると肩身が狭い」などと思うかもしれない。「これは行かないのが普通」と一人ひとりが各自の判断で思えるようになるには、何が必要なのか立ち止まって考えたい。

特集2つ目の記事で、専門家として防災に取り組んできた渡辺実さん(防災・危機管理ジャーナリスト)は、緊急時には、「災害モード」発令で社会全体の意識を切り替えることが必要だとし、強制力を持つアメリカの「避難命令」と強制力を持たない日本の「避難準備・避難勧告・避難指示」の違いについて解説。緊急時には、「災害モード」発令で社会全体の意識を切り替えることが必要だと説く。

元吉さん・渡辺さんの提言について詳しくは『ビッグイシュー日本版』341号をご覧いただきたい。

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『ビッグイシュー日本版』341号ではこのほかにも、

・スペシャルインタビュー:リリー・ジェームズ
・リレーインタビュー。私の分岐点:グラフィックデザイナー、イラストレーター宇野 亞喜良さん
・ビッグイシュー・アイ「9回特攻に出て、9回生還した特攻隊員」/鴻上 尚史さん
・監督インタビュー『1987、ある闘いの真実』チャン・ジュナン監督
・ワンダフルライフ:カフェでプラネタリウム投影、屋上で天体観測会/【星カフェSPICA】keisuke さん

などを掲載。
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『ビッグイシュー日本版』「防災」「災害」関連バックナンバー

THE BIGISSUE JAPAN225号 特集:君は、異常気象を見たかい?
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THE BIG ISSUE JAPAN294号 特集:防災を文化にする 防災文化へあなたの"初めの一歩"

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