「生活保護問題対策全国会議」の徳武聡子さんが、3月5日に行われた記者会見を実況ツイートしています。生活保護制度の根幹に関わる重要な議論です。
「儲かるのは信販だけ」のプリペイドカードによる保護費支給
不便、レッテル、監視など生活保護利用者に良いことは何もない。費用対効果がないから大阪市にも益はない。儲かるのは信販だけ。明日、大阪市役所にて記者会見です。
→生活保護“トップ”大阪市「プリカにチャージ」実験、参加希望わずか“5世帯”http://t.co/RXNvjZAUa3— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 4
債務整理においては、依頼者に家計簿をつけてもらい、家計の状況を把握したり、毎月のお金の使い方を話し合ったりすることがあります。大抵、最初の頃は過大なストレスで一杯一杯だから、先を見据えたお金の使い方などは考えられなかったり、家計簿をつけるだけで精一杯だったりします。(続
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 4
そこを何ヶ月もかけてゆっくりと、時には苦言も呈しながら一緒にお金の使い方を考え、生活再建を目指します。そういった作業は「借金整理をして生活を立て直したい」と依頼者が考え、その目標を共有するから可能なのであって、司法書士が一方的に家計管理なぞしようものなら、一気に信頼を失います。続
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 4
大阪市がプリカ支給でやろうとしているのは、そういった本来は手間も時間もかかる作業です。その使途を市が把握し詮索することに理解や納得が得られてない上に、CWと信頼関係も築かれているとは言い難い。現場への負担も甚大です。ちょろっとプリカ支給したからって、できるものではありません。
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 4
記者会見の風景
【生活保護問題対策全国会議】生活保護費をプリペイドカード支給するモデル事業についての記者会見(3/5、13時~、@大阪市政記者クラブ) http://t.co/4jpCcfZqx8
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 4
大阪市の生活保護費プリカ支給問題について、生活保護問題対策全国会議他156団体から撤回を求める要望書を提出しています。 pic.twitter.com/qeyRVq8leA
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
生活保護問題対策全国会議他157団体による、大阪市の生活保護費プリペイドカード支給のモデル事業撤回を求める要望書提出についての記者会見が始まりました。
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
記者会見の様子。 pic.twitter.com/vqh36BwBcy
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
要望書です。 pic.twitter.com/z52vdZfIhY
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
プリペイドカード導入は「支援」にはならない
小久保哲郎弁護士)要望の趣旨は、事業を撤回して欲しいということ。順次支援者から発言する。
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
生田さん・野宿者ネットワーク)当初から違和感。生活保護利用者が自分でお金を管理できないと見なしている。殆どの利用者は自分でお金の管理をしている。一部には依存症の方もいる。しかし、仕事ができない人が多く仕事の生き甲斐を失う。偏見により地域社会でも会話がしにくい。親族関係も断絶。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
生田)社縁・地縁・血縁が切れるので、生活保護利用者はお酒やパチンコが悪友になってしまう。我々は、社会的関係の再構築を目指す支援をしている。一人ひとりにきめ細やかな支援が必要。しかし、プリカ導入は一律に管理しようというもので支援にならない。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
生田)大阪市のCWは少なすぎる。高齢者CWの担当は数百世帯で事務作業しかできない。一人ひとりについての本来のケースワーク、本人の生きやすい環境を作って社会に還元することを放棄している。CWの増員をせずに、このような管理をするのはおかしいと思っておる。
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
安い量販チェーンではカードが使えず、まとめ買いができない
大口さん・全大阪生活と健康を守る会連合会)大生連で1月に2度大阪市と交渉をした。1月26日の交渉では、40分ほどプリカ問題の協議。80人の参加が揃って怒りの声。紹介する。/安い量販チェーンではカードが使えない。一日の利用限度額を決められたら、安いときのまとめ買いができない。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
大口さん)当事者の声/年寄りはカードが使えない。近所の小売店でしか買い物しない。VISAが使える店は割高でそんなところに生活保護利用者は買い物に行かない/橋下市長の、ギャンブルや過度の飲食などに保護費が使われることの対策、支出の適正化という記者会見に怒りの声も。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
大口さん)生活保護世帯はお金の管理ができないという印象を与えかねない。保護費の使途、自己決定権についての福岡高裁判決を法律家なのに知らないのか。海外の報道では、信販会社の手数料収入は10億円になるとのこと。これが目的ではないか。管理を強めること、ビジネスが目的では。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
大口さん)大阪市はCWの人数も少ない上に、福祉の専門家も極めて少ない。アルコールやギャンブルの依存症の専門家に聞いても、プリカ支給では依存症は治らないと口を揃える。個別の充実した支援が必要であると思う。以上
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
当事者の声:コンビニは高すぎる、小さなお店では使えない
Eさん)大阪市内で保護利用中。西成で13年相談活動に従事している。プリカのことは利用者もみんな不安に思って、相談が多い。西成では昼ご飯は弁当を買うが、ご飯も100円、おかずも100円。高齢の生活保護利用者も同じ店で一食2~300円で賄う。コンビニでは一食500円かかる。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
Eさん)利用者には、保護費支給後に米を10キロ買うように助言している。保護費を落としても米があれば何とかなる。しかしコンビニでは10キロの米など売ってない。スーパーではカード使えない。西成の現状を市長もきちんと認識して欲しい。プリカになったらどうしようと不安をみんな抱えている。
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
Eさん)プリカ支給を全市的に広げようとしているが、自分も断る。先日、役所に問い合わせたら、希望者は誰もいないとのことだった。昨日の報道でも5人程度。プリカ導入は儲かるのは金融機関だけである。カード導入は撤回して欲しい。
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
Nさん)大阪市内で生活保護を利用している。69歳で3年前から生活保護を利用。若い頃は仕事していたが晩年は派遣などで、65歳を過ぎると仕事もない。最初の1年は保護費の中で生活できなかった。どうしても途中で使いすぎてしまう。経験する中でお金の管理ができる知恵がつく。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
Nさん)保護費の中で生活できるように頑張っている。コンビニは近いが割高。自分は冷蔵庫の電気代などを節約するために、自炊しない。買いだめすると電気代がかかる。仲間とスーパーの値引き情報を仕入れて、毎日何とか生活している。電気代もガス代も月1500円程度にして、自己管理をしている。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
Nさん)プリカになると買い物ができない。商店街で馴染みのおばちゃんからぎりぎりで値引きしてもらって買う。何を食べたらいいかを聞いたり世間話をする。そんな商店街の小さな店でプリカなど使えない。高齢になったらお金の管理も難しい。プリカでは、どのくらい残高があるかなどわからない。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
Nさん)市長は、そういう風に、下の方で頑張っている人の話を聴かない。
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
依存症対策としては逆効果
小野さん・精神科ソーシャルワーカー)依存症支援の観点から。今回のプリカ支給は過度の印象や依存症に対しての支援とのことだが、まず依存症について説明したい。依存症自体は、精神作用物質が脳に影響するもの。依存症は根性の問題ではなく脳の病気で、依存対象物をコントロールできなくなる。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
小野さん)強制管理することは依存症治療の中では無意味というより逆効果。依存症は脳に快感をもたらすが、その快感はやがて本能さえも変革してしまう。自分の意思でコントロールできないのがこの病気の中心。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
小野さん)要因は様々あるが、個人的な要因、家族関係や社会環境もあるが、元々自尊心が低い人が多く、生活保護を利用することでさらにそこが低くなる。人間関係は不得手な人も。一番大きな要因は社会環境。日本は、手軽にパチンコができる。コンビニでアルコールも24時間安価に手に入る。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
小野さん)疾病としての無理解もあり、社会環境を変えることが必要。依存症は思考力も低下して、嘘をついて人間関係を破壊してしまう。周囲が問題を解決しようと尻ぬぐいを一生懸命して、本人が問題に気遣い依存を悪化させるとぴうこともある。さらに人間関係も悪化するのがこの病気の特徴の一つ。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
小野さん)プリカ導入で周りが一生懸命管理すると、本人が自分の問題として捉えられなくなる。責任の肩代わり。アルコール依存症の家族が飲ませないようにお酒を隠すと、本人は何としてもそれを入手しようとして依存を深める。強制管理することは、依存症の回復治癒に逆効果となる。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
小野さん)依存症の回復に必要なのは、治療の他に自助グループで主体性を取り戻すことが重要。管理されていることはこれに逆行する。また、回復には当事者の主体的な取り組みが必要。病気と一生つき合うために、自分の問題として取り組む動機が重要なのに、管理はその主体性を手放すことになる。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
小野さん)回復の中で、金銭管理を行っている当事者もいるが、そのためにはその人の能力を十分に把握して本人のコンセンサスも不可欠。CWが圧倒的に足りていない中で、CWが十分なアセスメントをして支援できるかというと、難しいと思われる。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
小野さん)依存症は大きな偏見もあり、その中で回復していかなければならないのに、そこを一律管理で解決しようというのは無意味。依存症からの回復を阻むものになる。
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
ケースワーカーの声:大阪市ではケースワーカーが足りない
中山さん・元生活保護CW)2年前までCWをしていた。現場の声を聞いてきた。市長がこの事業の目的として、金銭管理に必要なツール、単身高齢者やギャンブルや過度な飲酒などの金銭管理を挙げているが、こういったことにプリカ支給が有効と考える勝因はいない。説明会でも合理的説明はない。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
中山さん)参加条件はPCやスマホを持っていて、パスワード入力などができることになっているが、対象者の中でそれが使いこなせる人がどれだけいるか。対象が実態に合っていない。CW向けの説明会も開催で話をしたのはVISAの職員。生活保護の実態を知らない。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
中山さん)参加者募集のチラシに3000円相当の商品券を進呈、としているが1年間参加してアンケートに回答をするともらえることになっている。就職や入院などで保護費が3万円以下になると、保護費の支給を受けていても3000円は進呈されないとのこと。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
中山さん)業者は窓口を作らず、利用者から質問されるのはCW、CWが事業者の下請けに。月末はどの利用者もお金が足りなくなり、お金をかき集めて生活するが、カードになると残高がいくらか分からない。お店でもわからない。現金とカードが併用できる店は限られている。VISAも把握していない。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
中山さん)カードの残金を現金にすることは一時扶助という形で可能だが、それをするには書類と決裁で日にちがかかり待たせることになる。大阪市ではCWが足りない。厚労省の基準より500人近く少なく厚労省から指導されているのに改善しない。自分も150ケースを担当していたことがある。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
中山さん)稼働年齢層の担当は一人70件となっているが、任期付き職員が待遇が悪くて辞めるとフォローすることになるし、職員が休職するとその担当も割り振りして引き受ける。市は充実しているというが現場は大変な日々。現場では歓迎するというムードではない。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
中山さん)昨日の報道で希望者は5件とのことだが、2000件集めるために現場に圧力がかかるのではないかと心配している。
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
生活保護法の根幹に関わる
尾藤弁護士)2月27日には日弁連の会長声明もでた。大阪の問題で日弁連の会長がわざわざ声明を出したのは、制度の根幹に関わる制度の改変を法律を無視した形で行われることへの危機意識の表れである。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
尾藤弁護士)生活保護法31条では金銭給付が原則となっている。お金で渡してどう使うかは本人の自由。制度が作られた時からそのようになっている。現物給付をするのは極めて限定されている。なぜなら、自己決定、自分の生活は自分で律していくことを守るのが制度の根幹という制度設計になっている。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
尾藤弁護士)福岡の中嶋訴訟。生活保護利用をしていた中嶋さんがせめて子どもを高校に行かせたいと保護費から学資保険をかけていたのに、行政が生活費に使えと保護費を減額した事案。問題になったのは、福祉事務所が金銭の使途について学資保険に使ったといういうことに掣肘を加えたこと。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
尾藤弁護士)プリカ支給も、保護費の使途について福祉事務所が口を出すと言うことで同じ問題。金銭給付=自己決定を原則生活保護法31条に反するもので、同意があればよいというものではない。生活保護に対するスティグマを強調するおそれがある。そこで、日弁連会長が大阪の問題で声明を出した。→
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
尾藤弁護士)本日、要望書を提出する際に質問をしても、大阪市の担当者は「本日は要望書を受け取るだけで質問に回答する場ではない」と繰り返した。大阪市は本当に真剣に検討しているのか。今回の要望に真摯に回答して欲しい。真剣に検討して、ぜひとも改めていただきたい。以上
— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
質疑応答:パチンコには行かなくなる?
質疑
問)コンビニでお酒を買うかも知れないが、パチンコには行かなくなるのでは。現金化してでもパチンコに行こうとするのか。
答)その可能性は高い
答)依存症者は抑えられると欲望は高くなる。禁止は逆効果。医学的なアドバイスと自助グループなどによる回復を自己実現を目指すことが重要。— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
質疑
問)CWに対しての募集の強制の動きはあるのか。
中山)その動きはないが、それを不安に思うCWは多い。
尾藤)当局も強制をするつもりはない、とのこと。— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
質疑
問)積極的にCWが勧誘しているのか。
中山)チラシを渡しているが、積極的ということではない。市長が号令をかけるのが心配。局が強制するつもりはなくても管理職として対応せざるを得ない。依存症者や高齢者はスマホを持っていないので最初から無理というのが職場の感想。目的と矛盾。— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
質疑
問)今後、法廷で争われるのか。
尾藤)裁判は弁護士ではなく当事者が行うもの。裁判になるとしたら、強制になって不本意なプリカ支給になる様な事態。一時、辞退届が問題になったが、そのような形式的に強制ではないが実は強制、というときに裁判の可能性はある。構えているわけではない。— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
質疑
問)厚労省は不適切ではあるが違法ではない、との見解。国に対して認めないようにという動きは。厚労省の見解もよく分からない。
尾藤)生活保護法の構造を(厚労省が)理解していない。問題状況も何故法31条が金銭給付を保障しているのか、全く分かっていない。だから明確な根拠が示せない。— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5
小久保)非常に重要な問題。多くの観点から指摘がされた。ぜひ報道して欲しい。
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以上、記者会見は終了します。— 徳武聡子 (@Satoko_Tokutake) 2015, 3月 5