認定NPO法人ビッグイシュー基金では、ビッグイシュー誌販売者を中心とした実行委員会を立ち上げ例年、クリスマスパーティを企画・開催している。

コロナ禍以前は当事者や市民・スタッフなど約200名が大阪市中央公会堂に集まり、出し物や食事を楽しんでいたが、2021年よりオンラインでの開催となっている。(参考:昨年の様子

オンライン開催2回目である今回は、「路上発!つながってあたたまる冬の夕べ」がテーマ。北は北海道から南は熊本まで、『ビッグイシュー日本版』の販売者や彼らを支えるサポート団体関係者をあわせて83名がオンラインで繫がり、この1年を振り返った。


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札幌から熊本まで。全国をつなぐリレートーク

東京「海外からの観光客などが街に戻ってきている」

東京からは、販売者・Kさんが最近の思いを語った。
「2022年の漢字は『戦』という字だったが、私の一字は『減』。
販売数が減っており、戦うというよりも気力が減るように感じた1年だった。それでも、街に外国人観光客が戻ってきていたりと期待もあり、来年に手ごたえを感じている。」

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熊本「今が1番、人通りが少ない。辛抱の1年だった。」

熊本からは、販売者の中西さんと、雑誌を卸し生活相談をサポートする団体「ビッグイシューくまもとチーム」の皆さんが参加。びぷれす熊日会館前にて販売をはじめて8年になる中西さんからは、こんなコメントが。

「熊本は人口の割に新型コロナウイルスの感染者が多い地域。販売を始めてから丸8年になるが、今が1番、街に人が少ない状況。絶望の一歩手前まで、人通りが減っていると思う。そんななかで、1時間に1人、お客さんが来てくれたら良し、と思ってやってきた。辛抱の1年だった。」と、厳しい現状を語った。

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びぷれす熊日会館前の販売場所
ビッグイシューくまもとチーム

困窮者に必要なのは仕事や住まいだけではない/ビッグイシューくまもとチーム主催「貧困をなくす活動のこれまでとこれから」

奈良「気候や感染者状況が、路上販売にも影響している。」

続いて、奈良県の生駒駅周辺で販売をしている吉富さんより、大阪や奈良の様子を聞いた。
「今年は秋が短く、冬が来るのが早く感じた。新型コロナウイルス感染者の数も減っておらず、そうした状況が路上販売にも影響していると思う。奈良は大阪より気温も低いため、カイロやニット帽など防寒具を身につけて、今まで以上に体を冷やさないようにしている。」

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生駒駅2階中央改札口の販売場所


北海道のサポーター団体「ビッグイシューさっぽろ」からは、事務局長の平田さんが参加。平田さんからは、現在の北海道の寒さの厳しさなども共有していただき、愛知県・名古屋からは、販売者2名と卒業生からなる「ビッグイシュー名古屋ネット」の皆さんが参加した。

クリスマスパーティの参加費は、炊き出しに並ぶ皆さんへのクリスマスプレゼントに

これまで同様、クリスマスパーティの参加費は、炊き出しに並ぶ当事者へのクリスマスプレゼントに充てさせていただいている。ビッグイシュー基金スタッフが炊き出し会場にお邪魔し、みなさんにプレゼントを配布する様子を収めた写真や動画を、今回のパーティにて公開した。

プレゼントの内容は、肉まん、マスク、カイロ、タオルなどのアメニティセット、銭湯の入浴券、コーヒー(有限会社シサム工房より提供)そしてビッグイシュー基金が発行する『路上脱出・生活SOSガイド』の7種類。「扇町公園炊き出しの会」「大阪北教会」の運営する炊き出し会場2カ所で配布した。

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扇町公園炊き出しの会・代表の石黒さん:
「扇町公園では、毎週月曜日20時(今年2月から19時に変更)からおにぎりと日用品、衣類、寝袋などを配布しています。20年前に大阪駅前炊き出しに私が参加して、前身団体の活動はその10年くらい前から続いています。扇町公園に移ってきて5年。大阪駅前で配布していたときより、参加者は増えています。このくらい寒い(当日の気温4℃)と例年50人ぐらいだけど、きょうは多い。70人くらいかな。参加者は、一時期は減ったけれども、最近また増えてきている印象。新しい人、見かけない人が去年から今年にかけて参加しているようです。」

大阪北教会の森田牧師:
「2022年9月で、活動を始めて20年になりました。中之島公園のこの辺(中央公会堂の東側)一帯が、路上生活者のブルーシートで埋めつくされていました。それに気がつかず、西成のボランティアに数年参加していましたが、教会の足許がそんな状況だと気付いて、中之島公園のこの場所での炊き出しを始めました。始めた頃は、120~130食ほど用意しました。今は、70〜75食くらいですね。炊き出しに並ぶ必要がないほうがいいですから、並ぶ人が少なくなることを願いつつも、そうならない限りは続けていきます。」とのお話もいただいた。

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※各団体への応援は随時受けつけている。
扇町公園炊き出しの会「大阪駅前炊き出しと掃除の会」※旧名称
三井住友銀行 御堂筋支店 普通口座 7668540
郵便振替口座 00900-7-91995

日本キリスト教会 大阪北教会
郵便振替口座 00900-7-278939
(炊き出し専用)日本キリスト教会大阪北教会
TEL:06-6441-4466
炊き出し情報(ビッグイシュー基金のホームページより)

大阪の炊き出し情報
東京の炊き出し情報

イルミネーション中継、クイズ大会、グループトーク。参加者と“つながって楽しむ”企画が満載

大阪・梅田の販売者:濱田さんが主催している街歩きクラブ「歩こう会」は、大阪・福島区や中之島地区のイルミネーション点灯を中継した。大阪市中央公会堂壁面のプロジェクションマッピング点灯の瞬間をカウントダウンし、参加者と楽しんだ。

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続いて、「クイズ!2022大阪ホームレスクリスマスパーティ」と題したクイズ大会のコーナー。「あまやどりハウス」や「夜のパン屋さん」「歩こう会」など認定NPO法人ビッグイシュー基金および有限会社ビッグイシュー日本の活動に関する問題に対し、Zoomの投票機能を活用し参加者が回答。コメント欄は「やったー!正解」「クイズ難しかった」と、参加者からの声であふれた。また、クイズの正解はビッグイシュー誌販売者で、ビッグイシュー講談部員として活動する玉玉亭播秀さんによる講談によって発表されるなど、販売者の特技を活かし、この企画を盛り上げた。

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恒例のグループトークでは、「今年ほしい(あげたい)クリスマスプレゼント」「販売者/お客さんとのエピソード」など4つのテーマから参加者が自由に話したいテーマを選び、それぞれのトークルームに分かれて交流を楽しんだ。

「今回集まった力で、心温まる年につなげていきたい」

最後に、ビッグイシュー基金共同代表・稲葉剛による閉会のあいさつ。

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「『路上発!つながってあたたまる冬の夕べ』というテーマで開催しました。全国からのご参加、感謝申し上げます。国内外を見渡すと、今年も心が冷える出来事がありました。国外では戦争も続いていますし、国内でもさまざまな問題が噴出しています。今日、全国各地から温かさを持ち寄ってこの冬を乗り越えていこうと、集まっていただきました。この力で、来年は少しでも心温まるような年にしていきたいと思っています。今年も1年、ビッグイシュー基金への応援、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。」

認定NPO法人ビッグイシュー基金
有限会社ビッグイシュー日本

記事作成協力:屋富祖ひかる



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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊450円の雑誌を売ると半分以上の230円が彼らの収入となります。