雑誌『ビッグイシュー日本版』は、2023年9月で創刊20周年を迎えます。これを記念し、8月の終わりに野外イベント「川辺の風待ち音楽ナイト〜あなたと楽しむ“ギブ&ギブ”〜」を開催しました。会場は、大阪・中之島公園の芝生広場。販売者やスタッフと共に夏の夜を楽しんだこのイベントをレポートします。 

「さまざまな人の力を借りて、開催が実現。路上で生活する人を想い、野外で開催」

イベント開始は19時。気温が下がり、会場周辺のビルや橋の明かりがつきはじめた頃、有限会社ビッグイシュー日本共同代表の佐野章二からのあいさつで幕を開けました。

20230819_190556


「この20周年記念イベント、たくさんの人のお力があり開催することができました。コロナ禍では”ステイホーム“と言われましたが、私たちの関わる人のなかには、路上で暮らしている方もおり、野外で開催することとなりました。みなさんどうぞ、よろしくお願いします。」

続いて販売者を代表し、JR高槻駅の販売者Y・Tさんと四条河原町駅の販売者・山田さんが開会宣言。

Y・Tさん「遠方からも来ていただいているということで、とてもありがたく思っています。こうしたみなさんが集まってくださるからこそ、ビッグイシューが20年も続いているんだなと感じます。みなさん、今日は楽しんでいってください。」

4種類もの民族楽器から生まれる優しい音色、この日しか聴けない即興演奏

続いて目玉企画の一つである、ロビン・ロイドさんの民族楽器を使った演奏の時間。19時台と20時台の2部に分けて演奏が行われました。

20230819_191626

その場にいる人の状態や表情を見て、ほぼ”即興“で演奏するというロビン・ロイドさんは、雑誌『ビッグイシュー日本版』454号にも登場し、その演奏スタイルについて語っています。今回は、カリンバや尺八、中国で生まれたという横笛や角笛を使い、その音を響かせていました。

「もしよかったら、私の出している音にあわせて手拍子をしてください。やりたい人だけでいいですよ。」

「私が使っているカリンバという楽器は、電気がなくて、星がいっぱい見えるアフリカの村楽器。目を閉じて、遠い街を想像して聴いてもらえたらと思います。」

ロビン・ロイドさんの言葉と優しい演奏にあわせて手拍子をしたり、夜空の下、目を閉じて演奏に聴き入ったりと、会場にはゆるやかな一体感が生まれていました。

販売者の「得意」や「好き」を活かした企画に、子どもも大人も盛り上がる

認定NPO法人ビッグイシュー基金では、販売者が中心となって運営するクラブ活動を積極的にサポートしています。今回のイベントでは、講談部、鉄道部、茶道部、フットサルクラブ、それぞれのクラブメンバーも大活躍。 

講談部による講談コーナーでは、「私が初めてビッグイシューを売った日」をテーマに、玉玉亭壱秀さん、玉玉亭播秀さん、玉玉亭秀洛さん3名の講談を披露。体験談をもとにした安定感のある講談に、みなさん熱心に耳を傾けていました。

01
講談を披露する玉玉亭壱秀さん

鉄道部からは、鉄道にまつわるクイズを出題。「大阪メトロ御堂筋線のシンボルカラーである赤は、血管の動脈を表している。○か×か?」といった豆知識クイズでは、正解が発表される度に大人も子どもからも歓声が上がり、会場は大きな拍手で包まれました。

20230819_194736
○×クイズに回答する皆さん  

フットサルクラブがお届けしたのは、フィンランドのゲームをもとに作られたスポーツ「モルック」体験。年齢や性別を問わず、誰でも参加できるスポーツとあって、老若男女の笑顔が溢れていました。


02
参加者も販売者も、モルックで白熱

茶道部は、ステージから少し離れた場所で静かにお茶を点て、落ち着いた空気感。販売者それぞれの好きな活動や特技を活かし、参加者とふれあう楽しい時間となったようでした。

20230819_201602
丁寧にお茶を点てる松井さん

読者と販売者、スタッフがつながる企画も目白押し

ステージの周りには、体験型コーナーも充実。「ギブ&ギブコーナー」では、参加者やスタッフがお気に入りの”一冊“を持ち寄り、おすすめポイントやコメントを添えて出品し、自由に持ち帰ることができます。夏物の衣類や植物の種も交換できるこのコーナーでは、本や洋服を介して参加者同士やスタッフ、販売者との会話が生まれる場所となっていました。

03


販売者がオリジナルメッセージカードを書き、参加者にプレゼントするコーナーも盛況でした。常連さんが「いつもは販売場所でビッグイシューを買っているので、イベントにも来てみました」という方や、「もうすぐ試験があるので、応援メッセージを書いてもらいたいです」という声もあり、販売者と会話を楽しむ方や、来場の記念に立ち寄る方もいらっしゃいました。

20230819_202836


そのほか、生活協同組合コープこうべさんより提供いただいた段ボールを活用した椅子づくり体験、『はりねずみのハリー鍼灸院』の木本先生による整体と占いコーナーにも常に行列ができ、参加者で賑わいました。

20230819_201801

20230819_185836

                

「新たな一歩を踏み出して、これからも頑張りたい」

約2時間に及ぶイベントも、あっというまに終演に近づきます。共同代表の水越洋子より参加者の皆さんへご挨拶。

04


「今宵はたくさんの方に集まっていただき、本当にありがとうございます。今日のイベントに力貸していただいた方に御礼を申し上げます。今年の9月11日で、ビッグイシューは創刊20年を迎えます。新たな一歩を踏み出して、これからも頑張りたいと思いますので、ぜひ続けて応援していただけたら嬉しいです。」

最後に、ロビン・ロイドさんがサプライズで演奏してくださったのは、夏の風物詩である”盆踊り“の曲・炭坑節。

20230819_205406


笛の演奏に太鼓の音も加わり、皆さんの笑顔と踊りで真夏の”音楽ナイト“はフィナーレを迎えました。

取材・記事作成協力:屋富祖ひかる

20周年各種企画はこちら

https://www.bigissue.jp/2023/07/26702/


『販売者応援3ヵ月通信販売』参加のお願い
応援通販サムネイル

3か月ごとの『ビッグイシュ―日本版』の通信販売です。収益は販売者が仕事として"雑誌の販売”を継続できる応援、販売者が尊厳をもって生きられるような事業の展開や応援に充てさせていただきます。販売者からの購入が難しい方は、ぜひご検討ください。
https://www.bigissue.jp/2022/09/24354/



過去記事を検索して読む


ビッグイシューについて

top_main

ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊450円の雑誌を売ると半分以上の230円が彼らの収入となります。