『ビッグイシュー日本版』は、ホームレス状態の人たちに仕事を提供するため作られ、主に路上で販売されている雑誌です。
しかし、路上での販売を「違法行為」だとして通行人の方からクレームをいただくことがあります。
誤解されることも多いのですが、路上でのビッグイシュー販売は違法ではありません。
テーブルを設置するなどして「占有」する場合は違法ですが、ビッグイシュー販売ではテーブルなどの設置をすることはなく『移動販売』の形式をとっていますので、道路法上の占用許可(同法32条参照)等は必要ない※のです。
*参考までに、弁護士の見解をご紹介します。
https://www.bengo4.com/c_18/n_796/
ビッグイシューは2024年に創刊20周年を迎え、販売開始当初よりはずいぶん多くの方にその意義や活動を知っていただけるようになりましたが、それでも時々、直接的/間接的に「邪魔」「移動しろ」等の苦情を寄せられることもあります。
兵庫県の宝塚駅もそのひとつ。宝塚駅は、JRと阪急の乗り換えの方が多いため、10年近く多くのお客さんがビッグイシューを買ってくださっていました。
bontenmaru/photo AC
しかし、コロナ禍に突入した2020年に通行人からのクレームがありました。通報を受けた市役所や警察のご担当者から「決して排除したいという意図ではありませんが…」と丁寧にご連絡をいただいたのです。その後、同様のクレームが続いたこともあり、宝塚には4年近く販売者が立てていません。
コープこうべさんから「ショーウィンドウをお貸しします」のご提案
そんな折、NPO法人ビッグイシュー基金が生活協同組合コープこうべさんと「あまがさき住環境支援事業」*でご一緒させていただいたことをきっかけに、有限会社ビッグイシュー日本も、コープこうべさんの主催イベント「地域つながるフォーラム」で販売者による出店の機会をいただきました。ありがたいことに、コープこうべのスタッフの方も、組合員の方々も、ビッグイシューの取り組みに高い関心を寄せてくださったのです。*住まいのない人向けに、兵庫県尼崎市、生活協同組合コープこうべ、阪神間の支援団体などと協働して、市営住宅の空き室を活用する事業。
公営住宅の空き室を活用した「あまやどりハウス」
https://bigissue.or.jp/2023/03/23033101/
関連記事:
・ビッグイシュー出張販売レポート/コープこうべ主催「地域つながるフォーラム」で持続可能な社会づくりを考える
コープこうべさんとお打ち合わせするなかで、現在、宝塚には販売者がいないことをお伝えしたところ「逆瀬川にあるコープ宝塚のショーウィンドウが空いているので、ビッグイシューのディスプレイをしてみませんか」とお声がけいただきました。
そして、ビッグイシューとしては初のショーウィンドウによる告知に挑戦することになりました。 ビッグイシュー販売者も快く協力してくれ、販売者がメッセージボードを持った写真を大きくあしらったビッグイシューの紹介をショーウィンドウでさせていただくことになったのです。
ディスプレイの設置当日、朝からスタッフがウィンドウ周りの掃除や窓拭きから開始。
販売者の等身大くらいのポスターや、雑誌、ポップなどを配置していきました。
コープこうべさんも準備の段階からいろいろとサポートをしてくださり、ショーウィンドウで興味を持った方が店内でも資料を手に取れるようにと、資料スペースまでご用意いただいたのです。
市制70周年を迎えた宝塚市の周年記念事業のキャッチコピーは、「誰もが輝けるまち 宝塚」だそう。「誰もがありのまま尊厳をもって生きられる包摂社会」を目指すビッグイシューの販売者やスタッフも、その一員として「協働」「共創」の視点をともに育んでいけたらと願っています。
(お近くの方は、よかったらSNS等でシェアいただけると幸いです!)
ショーウィンドウの販売者からのメッセージ
「どうかつなぐ心が笑顔豊かでありますように」
JR高槻駅南口デッキエスカレーター下Y・Tさん
「路上でお会いすることを楽しみにしています 地に花 人に心」
西宮北口 アクタ西宮連絡橋 近藤さん
関連記事:桃谷高校定時制課程の生徒がビッグイシュー販売者へ質問「なぜ生活保護を受けないのですか?」
「お客様に、はげましと応援の言葉をいただきうれしく思います」
京都 西院駅 高口さん
「自立を目指しながらビッグイシューの良さをお伝えしています」
淀屋橋南詰 松井さん
関連記事:大阪市立大の学生が感じた「ビッグイシュー販売者への親近感」とは?
最後に、コープこうべのご担当者さんからのメッセージもご紹介します。
“偏見のない社会になればと思いご提案”
ビックイシューの活動を通じて一人でも多くの方にビックイシューを認知してもらい、思いやりのある地域をつくっていきたい。ビックイシューさんの取り組みは、「貧しい人々、弱い人々が救われるのは施しによってでもなく、経済の仕組みの中で人間を大切にし、お互いを尊重する相互扶助の組織をつくる」―このように感じます。
これは生協の創設者である賀川豊彦の活動に通じるものがあり、協同できればと思いお声掛けさせていただきました。
(コープこうべ 第1地区本部長 前田裕保さん)
コープこうべの店舗は「つどいの場」であり「情報発信の場」でもある
コープこうべの店舗は物販のみならず、地域の方々の「つどいの場」であったり「情報発 信の場」でもあると感じています。
また、日々の業務で組合員との交流の中から、「何か社会へ貢献をしたい」と考えられている方もたくさんおられます。そんな中、ビッグイシュー様からのお話を頂き、コープの店舗でどのようなことができるか思案し、今回のショーウィンドウの活用に至りました。現在では、宝塚付近でのビックイシューの販売活動が停止しているとのことでしたので、今回のコラボ企画が地域の方々への情報発信となり、今後の活動にお役に立てればと感じています。
(コープ宝塚 店長 宇都宮正樹さん)
生活協同組合コープこうべ
https://www.kobe.coop.or.jp/
コープ宝塚(阪急逆瀬川駅より徒歩1分)
https://shop.coop-kobe.net/shop/detail/index.php?id=3410
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『販売者応援3ヵ月通信販売』参加のお願い
3か月ごとの『ビッグイシュ―日本版』の通信販売です。収益は販売者が仕事として"雑誌の販売”を継続できる応援、販売者が尊厳をもって生きられるような事業の展開や応援に充てさせていただきます。販売者からの購入が難しい方は、ぜひご検討ください。
https://www.bigissue.jp/2022/09/24354/
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ビッグイシューについて
ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。
ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊450円の雑誌を売ると半分以上の230円が彼らの収入となります。