年の暮れに、読みたい、聴きたい、見たい、珠玉の作品たち。

こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部です。現在路上で発売中の「ビッグイシュー日本版」277号から、読みどころをピックアップいたします。

本号では年の暮れだから読みたい本、聴きたい歌、見たい映画をまとめています。ここではその一部を紹介しましょう。

人生の船底へ降りた者がわかる輝き

名脚本家山田太一のエッセイ集『夕暮れの時間に』は日々のささやかな出来事から紡ぎ出される、思考と感情の断片は、読む人の心に深く届くでしょう。

敗戦から10年ほどあとの渋谷駅前の大衆食堂は込み合う時間は相席となる。
そこは「学校の交際の会話とはちがう世間」を垣間見れる。
今やカフェやレストランなどでは相席を皆嫌い、「一人一人」の光景を前に「時折、食堂の相席がなつかしい」。

現代の少子化で兄弟が少ない現状に、自分は7番目のこども、現代なら生まれていない。だから、「自分が生きていることの不思議に立ち止まったりする」。

このような表現に読者はハッとさせられること間違いなしです。

本号では、その他にも5名の作家さんのおすすめ本を紹介しています。

余裕のない人、未練と後悔の人も

今年大ブレイクした「水曜日のカンパネラ」がおくる『私を鬼ヶ島に連れてって』は、テンポの遅いビートにラップのような語りのような歌のような…不思議なヴォーカルを乗せた独特のサウンドを聴かせてくれます。

夏休み、ゲーム遊びにうつつを抜かしていたら祖父母に叱られてしまった少年の話を、昔話になぞらえた名曲「桃太郎」が大ブレイクのきっかけを作った楽曲で、私たちを不思議に懐かしい感買うへと誘ってくれるでしょう。

これといって、大きな変化のあった年ではないけれど、気がつけば忙しいばかりで余裕のない一年だったな…という人、自宅で過ごす時間くらいは、人間関係のストレスから解放されたい…と願っている人。

そんな、肌も心もかさついているときこそ、水曜日のカンパネラの不思議な世界で脱力してください。

死を見つめることで人生の意味に気づけた

入院中に知り合った叩き上げの自動車整備工と孤独な実業家。がんで余命わずかとなった高齢の2人が”やり残しリスト”を元に最期の贅沢旅行をしていく様を描いた『最高の人生の見つけ方』は人生を見つめ直すきっかけを与えてくれる一作です。

財力にものを言わせ、一緒にリストを埋めていく2人もやがて虚しさを感じていくのです。そして、結局欲望にはきりがないことに気がついた2人は生涯の友を得たことこそが幸せだったのではないか、という結論に達するんです。

1年間の締めの時期だからこそ、自分の人生を見つめ直すきっかけ見てもらいたい一作です。

師走ということで、雑踏を駆け抜けるような日々を送っている人ほど、少しだけ立ち止まって自分の足元を見る時間を作ってはいかがでしょうか?

本号で紹介した作品がそのきっかけになればと思います。

最新号では他にも、

・リレーインタビュー  有森裕子さん

・スペシャルインタビュー  リチャード・ギア

・ビックイシューアイ  TPPがもたらす”投資家主権”の社会

・ホームレス人生相談×枝元なほみの悩みに効く料理

などなど、多彩なコンテンツが掲載されています。ぜひ、路上にてお買い求めください!

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